バロタが何言ってるかわからん、という人向けの解説(その2)

1. ワット、エネルギー、トルク、仕事率、、、って何?

このマンガにはいろいろと物理用語が出てくるので、まずはそれらの意味と、
相互の関係}を知らないとだめなのだバロ。ちなみに、筆者はバロックギアを使ったことはないのだバロ。よって、以下は純粋に頭の中だけで考えたことで、実際に使う印象とは違うかもしれないのだバロ(以下、面倒なので・・・バロは省略)。

1.1 エネルギー


まず、一番基本のエネルギーからいきましょうか。これは宇宙の中のすべての物質、物体が持っている「保存する何か」です。

何かってなんだよ(怒、って思うかもしれませんが、ここでは「保存する」という性質が大事なことで、実態はいろいろです(「保存する」とは、時間的に変化しないことだととりあえず思ってください)。

エネルギーには種類・形態がいろいろとあります。運動エネルギー(速くて重たいものは大きく、遅くて軽いものは小さい)、熱エネルギー(熱いものは大きく、冷たいものは小さい)、核エネルギー(原発や原爆で使われている)、
(重力による)位置エネルギー(高いところほど大きく、低いところは小さい)、光エネルギー(太陽光発電の源)、電気エネルギー、、、
などなど。

エネルギーにはいろいろな形態はあるのですが、大事なのは相互に変わるけど、総量は変わらないということです。

例えば、発電所は、何か(石油とか天然ガスとか核燃料とか)を燃やして(核燃料を「燃やす」というのと石油を燃やす、というのでは「燃やす」意味が根本的に違いますが、ここでは気にしなく良いです)、「熱エネルギー」を取り出します。その熱エネルギーで熱い蒸気を作って、それでタービンを回すと
「運動エネルギー」に変わります。その運動エネルギーで発電機を動かすと「電気エネルギー」に変わります。電線で、電気エネルギーを運んで家庭に来ると、それを使って電気ストーブでまた「熱エネルギー」に変わります。この間にエネルギーの総量は変わりません

「え、送電ロスとかあるでしょ?」と思った人もいるかもしれませんが、その「ロス」はまた何かの形のエネルギーになっています
(例えば、電線が温まるとか、タービンの摩擦熱とか)。そういうロスまで全部ひっくるめると、エネルギーは保存します(というより、保存するものにエネルギーという名前を付けた、と思えばよいです。名前は別になんでもよくて、タコ、とかでもよいのです)。

で、みなさんは(たぶん)自転車乗りですから、自転車に関係した用語で言わないとわかりにくいですよね。エネルギーの一つの表現(単位)がカロリーです。ざっくりと省略すると、自転車に乗るっていうのは、

食べ物のエネルギー(カロリー) ⇒  自転車の運動エネルギー

に変換する、という行為です。例えば、「坂バカ」という人達は

自分のもつエネルギーを消費して、位置エネルギーを得て、それを運動エネルギーに変換する行為をしている

と言い換えてもよいです(まったくロマンが感じられませんね)。

注)上 の⇒部分には、実は身体の中での化学エネルギーの筋肉のエネルギーへの変換とか、いろいろなエネルギーの変化が含まれていますが、そこも今回の話には関係ありませんので無視してよいです。

1.2 運動エネルギー

運動エネルギーは、自転車乗りにとって一番身近なエネルギーなので、
もうちょっと説明します。物理学によると、

運動エネルギー = 重さ(人+自転車)x 自転車の速さの2乗  (1)

です。

注)ここで、1/2 m v^2(2乗の意味)じゃないの、1/2はどこいったと高校物理を思い出した人がいるかもしれませんが、1/2という「係数」は以下の話に無関係なので無視します

上の(1)式で、=は左辺と右辺は変換できるということを意味しています。「重さ」が一定なら、速さが2倍になれば、運動エネルギーは4倍になる、ということが式からわかります。

以下の話を理解する上で、「2乗」かどうかは大事ではないので、


運動エネルギーを大きくすると、速さが増える

というのがわかればよいです。

1.3 ワット

じゃあ、「ワット(W)」って何、と思うかもしれません。パワー計が表示する数字で、みなさん一喜一憂するやつです。


ワットというのは 単位時間あたりのエネルギーの単位です(単位時間あたりのエネルギーには仕事率という名前がついています。英語で言うとPowerです)。

「カロリー」同様、エネルギーの単位である、「ジュール」を使うと、1ワットは、1秒あたり1ジュール、のことですが、ここではその単位は重要ではありません。重要なのは、パワーとエネルギーとは違う!ってことです。


自転車の運動エネルギーを例に取ると(以下、いろいろなロス、例えばチェーンとか空気抵抗とかタイヤの抵抗とか全部無視します)、

運動エネルギー = パワー × 継続時間  (2)

です。 

注)物理っぽく言うと、パワー を時間積分したのがエネルギーです。

 運動エネルギーと自転車の速さは (1)式の関係があったんでしたよね? つまり、自転車で速く走りたいなら、運動エネルギーを大きくすればいいのだけど、それには、パワーが大きくてもだめで、パワーx継続時間 を大きくしないとならないってことが、(2)式からわかります。

例えば、速さを2倍にしたければ、(重さが同じなら)運動エネルギーを4倍にしなければならないのだけど、そのためには、パワーを2倍にして継続時間を2倍にしてもいいし、継続時間は同じままでパワーを4倍にしてもいいし、パワーは同じままで継続時間を4倍にしてもよい、ってことです(無数に組み合わせがあります)。

別の言い方をすると、

パワー = 運動エネルギーの瞬間的な変化

です。

注)物理っぽく言うと、運動エネルギーの時間微分がパワー。


ポイントは「瞬間的な変化」です。ある瞬間に、運動エネルギーがどれくらい変化(増える or 減る)しようとしているか、ということです。
なので、ある瞬間のパワーが大きくても速くはならない、ってことです。

(つづく。。。本題になかなか入れない。。。)

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