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宇宙物理学が専門ということになっている自転車乗り。 自転車の合間に研究していると言われ…

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宇宙物理学が専門ということになっている自転車乗り。 自転車の合間に研究していると言われたりしているが反論できない。

マガジン

  • ぶつりな自転車

    自転車やサイクリングって「物理学」のエッセンスが詰まっています。自転車が好きだけれど、「物理」がなんだかよくわからん、という人向けに易しい解説を書いていきたいと思います。

  • はじめてのロードレース2020

    Amazon Kindleで発売中の、はじめてのロードレース(和田、岸本)の上梓から7年たち、古くなった記述や、付け足したいことなどいろいろと出てきましたので、このnoteに随時、補足・改訂して行きたいと思います。

最近の記事

相対論的Zwift論: Zwifterは井の中の蛙大海を知らず、なのか

フォロアー14000人を数える強豪アマチュアの@RX_Takaokaさんが、「… 強豪ズイフターのレベルは半端なく、(中略)なんであんなにZwift強い(パワー出せる)のにロードレースでは勝てないんだろう」 とつぶやいてたので一部で話題になってると思いますが、パワーウエイト比を鍛えればロードレースに勝てるというわけではないのが面白いところです。 Zwift嫌いが3ヶ月Zwift縛りしてみた〜で何回かに渡って書いたように私は怪我や雨で走れないとかよほどでなければ室内練はしませ

    • Zwift嫌いが3ヶ月Zwift縛りしてみた〜Zwiftな物理(おまけ)

      もうやめようと思ったんだけど(笑、ちょっと書き忘れたことがあって。 Zwiftやってる人はよく「登りで千切れた」とか「レースの登りでアタックした」とか言ってますよね? ここで言う「登り」ってなんでしょう?あるいは「下り」でもいいのですが、実際の運動は画面の前の固定された(あるいは3本)ローラーです。スマートローラーを使っている人は画面上でアバターが「登り」に差し掛かると勝手に負荷が重くなると思いますが(あるいはリフト装置がついて勝手に前輪が持ち上がったり)、実際には何も起こ

      • Zwift嫌いが3ヶ月Zwift縛りしてみた〜Zwiftな物理(その4)

        前回までにZwifの加速度の扱いが変で気持ち悪いという話をしたのですが、なんと言っても一番気持ち悪いのは単純に他のライダーに突っ込むという仕様です。突っ込まないまでもめちゃめちゃ接近してアバターが走っています。集団に至ってはアバターが重なってます(笑 グラフィックスが遅いとたまにライダーの目玉だけが残って表示されたりして気持ち悪いです。 この仕様をZwiftの中の人が気にしていないというのが全く不思議です。たとえば、集団に追いつこうとすると結構踏まないとなりませんが(そこは

        • Zwift嫌いが3ヶ月Zwift縛りしてみた〜Zwiftな物理(その3)

          アバターの動きがいまいちリアルじゃない理由の一つがブレーキを掛けられない(つまり、負の加速度がない)ことなら、簡単な解決策はペダルを止めたらブレーキがかかるようにする、ことなんじゃないかとふと思いました。 リアルの状況でも前後輪のブレーキを掛けているときにはたいていはペダルを止めています。コーナー前とか下り坂とか。集団走行のときなど、ペダルを止めると後ろの人の迷惑になりかねない場合はゆっくり回しながらブレーキ掛けたりしますが。 ブレーキ用に新たにデバイス(BTなボタンとか

        相対論的Zwift論: Zwifterは井の中の蛙大海を知らず、なのか

        • Zwift嫌いが3ヶ月Zwift縛りしてみた〜Zwiftな物理(おまけ)

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          Zwift嫌いが3ヶ月Zwift縛りしてみた〜Zwiftな物理(その2)

          Zwiftになぜ馴染めないのかはいろいろ自己分析してますが(テレビゲームを一切したことないので、そもそも家でゲームをするという習慣がないとか)、たぶん加速度がない世界が気持ち悪い、のだと思います(他の理由は別途書きます) 加速度がない世界を慣性系といいます。重力もありません(重力と運動による加速度が区別できないことを等価原理といいます。一般相対論の基本原理です) 高校物理の最初で習うことですが、加速度はベクトル(大きさと方向を持っている)で、速度ベクトルの変化です。つまり

          Zwift嫌いが3ヶ月Zwift縛りしてみた〜Zwiftな物理(その2)

          Zwift嫌いが3ヶ月Zwift縛りしてみた〜Zwiftな物理(その1)

          お久しぶりです。タイトルがユーチューバーみたいですが(笑、訳あって、3ヶ月外乗りが一切できず、しょうがないので大嫌いな室内ローラー練縛りをしていました。私はZwiftが大嫌いで、どれくらい嫌いかというとSNSでZwiftの画面が流れてきたら、無意識に飛ばすくらいです(笑 Zwiftというよりローラー練が嫌いなんですけど。 そんな私が6月中旬から9月中旬まで1mmも外を走らず、室内で固定ローラーを踏んでいたのは、ご想像の通り落車の怪我のせいです。ニセコのレースで大落車(単独)

          Zwift嫌いが3ヶ月Zwift縛りしてみた〜Zwiftな物理(その1)

          (番外編)指数関数的増加の恐ろしさ

          コロナ禍において、こういう図をよく見ます。縦軸は感染者数です。                     出典:Googleの統計情報から これは日本全国の感染者数の推移ですが、4つ山があるのが明確で今(6/25)は4回目の谷になっていることがわかります。ピークと谷の高さは徐々に大きくなっているようにみえます。沖縄と東京はそれぞれ以下です。 しかし、こういうプロットは相互に比較したり、時間的な変化の傾向を見るのに2つの点で適していません。一つは縦軸の単位が「人」になってい

          (番外編)指数関数的増加の恐ろしさ

          プロトンの流体力学

          今年のゴールデンウィークも各地の高速で大渋滞が発生したというニュースが流れると思いますが、クルマの流れを流体に見立てて解析する研究のことを交通流といいます。流体とは多数の小さな構成要素(水流ならH2O分子とか、空気の流れなら窒素分子とか酸素分子)が相互作用(衝突)している物体なので、クルマを分子のようなものだとして、たくさんのクルマが道路を流れていると流体力学を応用することができるのです。 さて、ここではプロトンについて考えてみましょう。物理でプロトンと言えばproton

          プロトンの流体力学

          物理神はpush and pullを与えた

          例によって、西薗さんの自転車ポッドキャストside by side radioのフォローアップですが、最新のep.90で、kossyさんが "プッシュ・アンド・プルはブランコと同じ" と言っていて、目からウロコが落ちました。 push & pullとはBMXやCX、MTBで凸凹のあるところを走るときに加速する技術です。その語感からなんとなく、ハンドルを押して・引く、みたいなイメージを持っていましたが、全然違って本質は重心を下げて・上げる、ということなんですね。 ブランコを

          物理神はpush and pullを与えた

          【番外編】 流行りに乗ってClubhouseのroom開設してみます

          2/13(Sat) 16:30から1時間ほど、「スポーツと疑似科学」をテーマに緩くおしゃべりしてみましょう。

          【番外編】 流行りに乗ってClubhouseのroom開設してみます

          bikeは立てると滑らない

          前回、前々回に引き続き、#sxsradio #ep.86 のフォローアップです。番組で@kossyさんが言っていて、少し議論になりつつも結論がはっきりしていなかったこととして、 1. コーナーでbikeと立てたまま曲がると、(横方向に)滑らない(リーン・インで曲がると滑りにくい) 2. コーナーでトルクかけて踏む方が滑らない(惰性で曲がると滑る) がありました。2.はちょっと難しいので次回以降に回します(まだ完全に理解できてない)。一方、1.は簡単な理屈です。図2枚

          bikeは立てると滑らない

          回した方がグリップしやすい?

          前回の続きで、#sxsradio ep. 86 のフォローアップです。 Kossyさんが番組の中で言ってた、(正確じゃないですが)「コーナーでは踏んだ方がグリップする(ような気がする)」についてちょっと考えてみました。 グリップする、とは「摩擦が増して、滑りにくくなる」ということですが、バイクを倒しても流れなかったり、後輪が空転しないという状態を指します。 「踏んだほうが」というのは「トルクを掛けた状態」ということですが、そのときにタイヤと地面の摩擦が増えるでしょうか?

          回した方がグリップしやすい?

          コーナーはどう曲がるべきか? #sxsradio ep.86

          元プロロードレーサーの西薗さん@NishizonoRyota が各界のいろんな人とお話をする一部のマニアに人気のポッドキャスト Side by Side raido  ですが(私の出た回はそっとしておいてください(^^; )、第86回(1/23現在、正式版はまだpushされてませんが)では、シクロクロス(以下 CX)のトップカテゴリー C1 で走る御三方(こっしーさん @mkossy、ざいこーさん@Zaikou、たかだくんさん("たかだくん"は固有名詞))@offcours

          コーナーはどう曲がるべきか? #sxsradio ep.86

          キャンプとフォレスター2019

          あんまりクルマ好きじゃなくて、運転もあんまり好きじゃないので参考にもならないインプレですが、1年たったので。14年乗ったBPアウトバックからの乗り換えです。14年も立つといろいろクルマ進化してて凄い。 SK9 Premium 2.5L DOHC  全長4.625m 全幅1.815m 全高 1.730m 良い点 剛性高くて、フワフワしないので車高高くてもコーナーであまり振られない。ハンドリングが低速でも高速でも素直。取り回しも楽。パワーも十分。Sモードにしたらキビキビ走

          キャンプとフォレスター2019

          バイクがなぜ安定して走るのか、実はわかってない(最終回)

          6回にわたって解説してきたのですが、結局、バイクが勝手に安定して走る物理的理由・機構、は今回の紹介した論文ではよくわかりませんでした。残念です。もうちょっと新しい論文を検索してみたのですが、未だに解明されていなさそうです。 ただし、わかったことは、ハンドルが切れる、というのが必要条件であるということです。もう一つ大事な要素は前輪付近の微妙な重量配分です。これらを適宜調整すると、すごく変なジオメトリーのバイクでも安定する場合があります。 当たり前じゃないか、と思われるかもし

          バイクがなぜ安定して走るのか、実はわかってない(最終回)

          バイクがなぜ安定して走るのか、実はわかってない(その6)

          前回は、単純化したバイク(ジャイロ効果なし、トレールゼロ)が力学的に安定である、という解析結果を紹介しました。これは、専門的には「線形安定性解析」と呼ばれる手法です。力学系に限らず、何かの物理現象が安定かどうか、不安定になるとしたらどういう条件で起こるか、というを調べる標準的な手法です。簡単に言えば、システム(今回の場合バイク)にちょっとした揺らぎ(今回の場合は、傾きやヨー角を揺らす)を加えて、それがどんどん成長するか(不安定)、揺らぎがゼロの方向に収束するか(安定)を調べる

          バイクがなぜ安定して走るのか、実はわかってない(その6)