アウター縛りは意味あるか?

昨日、登り大魔神な強い人と練習したのですが、Fさん、ずっと「アウター縛り」でした。つまり、インナーギアを使わないわけです。どんなに急勾配でも。すごいパワーです。

そもそもなんで「アウター縛り」するのでしょう?この練習は軽いギアをあえて使わない、つまり、常に強い力でペダルを踏みつづけないとなりません。ということは強いトルクで回す練習、ということになります。

ここで、ちょっと質問ですが、ギア比を変えるとどうしてペダルが重くなったり、軽く感じたりするのでしょうか? そんなの知っているという人は読み飛ばして最後の結論だけ見てください。

自転車を進める源は後輪のトルクです。前のギアと後ろのギア、チェーンの模式図が下です。後輪ギアのトルクを t、フロントギアのトルクをT  とします。チェーンにかかっている力は Fで、後ろと前で同じ(向きは逆)です。クランク長を C として、ペダルを踏む力を f  とします。rとRはそれぞれ、リアとフロントギアの半径です。

そうすると、トルクは ギアの半径x力 なので、 tと Tは上のようにかけます。後ろと前のトルクはちがいますが、前ギアとペダルのトルクは共通です。力 F  が同じなので2つの式から消去すると、結局、

f  =  R/r  x  t/C  

となります。後輪トルク tとクランク長は変わらないとすると、ペダルを踏む力 fは、R/r   に比例します。チェーンの歯の間隔は同じなので、ギア半径の比は、ギア歯数の比と同じです(円周長=コマ数xコマの長さ、は半径に比例する)

つまり、ペダルを踏む力は、ギア比 R/r に比例する、ということです。なので、前のギアを例えば 52 後ろを 11なら、 ギア比52/11 ですが、これを 前を36に落とすと、36/11になるので、同じトルクを出すのに必要な力は、(36/11)/(52/11) で、 36/52、約70% になります。

というわけで、ギアを変えて、ギア比がどうなるかをグラフにしてみると以下のようになります。

縦軸はギア比なので、これがペダルを踏む力に比例します。このグラフを見れば、「アウター縛り」が意味あるギアがどれか一目瞭然です。

たとえば、フロント52(53でも大差ありません)で、リアを21T, 23T, 25T, 28Tあたりを使うならギア比は2.5より小さいので、フロントを36で、11T~14Tの方が必要な力は大きくなります。

フロントアウターで、リアを大きめのギアを使うなら、フロントはインナーに落としてリアを小さめのギアを選んだ方がよい、ということになります(あくまで、ペダルを踏む力を増やしたいなら) 。

ただし、52x 28とか、 36x 11 のようなギアを選ぶとチェーンラインが斜めになって、チェーンもギアも傷む(下手するとチェーンが切れる)ので止めましょう。

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