あなたがZWIFTで戦っているのは「フックの法則」である(その2)

前回のつづき。

さて、パワー測定と校正の基本(実際にはいろいろ複雑ですが)が理解できたとして、下のグラフをみてください。

スクリーンショット 2020-05-14 12.34.46

これは、私の近所にある5−8%くらいの上り坂でタイムを測定したものです。縦軸に区間内平均パワー[W] 横軸に時間を取っています。平均パワーが大きければタイムが短くなっています。青と緑はパイオニアのパワーメータ(左右クランク)とStagesPower (左クランクのみ)です(ちなみに体重+バイク重量はほとんど変わっていません)。同じ区間を同じ人が走っているので、もし2つのメータのパワー値が同じならグラフは重なるはずですが、一見して、パイオニアの方が10Wくらい高く出ているのがわかります。

(もうひとつの注目は、同じパワーメータでも、測定点のばらつき(分散)がやはり10-20W(つまり10%くらい)くらいあります。Stagesの方が分散は大きいようです。この分散の原因はいろいろです。前回解説した校正の問題、風、タイヤ空気圧や駆動系の抵抗の違い、着てるものの違い、などなど。しかし、今回の話のテーマは室内練習なのでこちらは気にしないことにします)

ここからわかることは、

同じ人でも、測定器が違うとパワーの絶対値は数%は違っても不思議ではない

ということです。私はパワータップ(ハブで測定)、StagesPower(左クランクのみ)、パイオニア(左右、左クランクのみ)しか使ったことしかありませんが、同じ条件で10-20Wくらいは違いました。そして、問題は、それらのメータが表示する数値のうち、

どれかが正しいということはない

ということです。ホントのパワーというのはわからない、ということです。

さて、ここからが今回の表題に戻るのですが、ここまでの話は「自分だけ」の場合でした。一方、仮想空間上でのバトルは相手があります。自分だけの場合なら、いつも同じパワー計(あるいはスマートトレーナー)をつかっていれば、機器固有の誤差だけ(つまり数%くらい)気にしていればよいのですが、相手がどういう機器を使っているかはまったくわかりません。

毎度の校正をしていないかもしれないし、校正をしていてもそもそも機器固有の問題で値がずれる(上の例でいうとパイオニアとStagesPowerのように)のが普通です。なので、自分と相手のパワー値が同じ表示でも、10%くらいパワーが違っていても全然不思議ではないわけです。

10%違うと、上のヒルクライムの例だと1分くらいタイムが違ってきます。ZWIFT内で1分も違ったら、見えないですよね。1時間のヒルクライムなら6分です。それは極端だとしても抜きつ抜かれつの競争をしているときには、画面上のライダーの「前後」にはあまり意味がない可能性があります

まあ、そういうのも含めてゲームなのですが、原理的に条件を完全に揃えることができないので、ほんとのレースの代わりにはなりません(たとえ、同じ会場に同じメーカのスマートトレーナーを揃えたとしても、誤差の問題はつきまといます。なので、プロが生活をかけて戦う場にはなりえない)。そう思って気楽に楽しむのがよいと思います。(了)

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