バロタが何言ってるかわからん、という人向けの解説(その7)

4. 非真円ギアの利点と欠点

ここまでの話が理解できたとして、最後に楕円ギアとは結局何か、その利点と欠点をまとめてみましょう。非真円ギア(楕円ギア)は、

パワーをトルクに振り替える

装置だといえます。

パワー= ケイデンスxトルク

の関係は常に成り立っているので、使えるエネルギー(パワーx時間)が同じであれば、3時の位置のトルクが大きくなるかわりに、ケイデンスが落ちる、ということです。逆に、上下死点のトルクは小さいので、ケイデンスは大きくなります。

それゆえに、バロックギアの利点、力の入りにくい上下死点をさっと飛ばして、より長く踏める、と表現する人もいます。

ところが、エネルギー的には、図6で説明したように、1周ギアを回したときに、楕円ギアで得られるエネルギーは、真円大ギアで得られるエネルギーよりも小さくなります。逆に真円小ギアと比較すると、楕円ギアの方がエネルギーが必要になります。

同じエネルギーで比較したら、楕円ギアの方が真円の大ギアよりもたくさんペダルを回さなければなりません。
別の言い方をすると、

真円大ギアの3時付近のトルクを、より少ないエネルギーで得る

もしくは、

真円小ギアを回すより少しエネルギーを使って、3時付近で大ギア並のトルクを得る

というのが楕円ギア(バロックギア)の本質といえます。

ところが、これまで強調してきたように、

消費したエネルギー = 得られる速度

なので、真円大ギアを回すときよりエネルギーが少ないということは、同じケイデンスであれば、ある時間で得られるスピードは楕円ギアの方が遅くなるとも言えます。これは欠点といえなくもないですが、エネルギーを節約して、トルクを得るのを目的にするなら、理にかなっているとも言えます。

また、図6でみたように、バロックギアではペダルを回している間のトルクとケイデンスの変動が真円ギアよりも大きくなります。

これは利点でもあり欠点でもあります。滑りやすい路面で、トルクの変動が大きくなると、後輪がスリップしやすくなります。自分が入力した力の変動よりも、トルクが大きく変わるので、それを(身体が)理解していないと、ぎくしゃくしたペダリングになりかねません。

また、これまでの説明ではパワーとケイデンスは無関係のように仮定してきましたが、本当は関連しています。したがって、トルクとケイデンスも独立ではないので、下手なペダリングをすると、逆にトルクを出すのを妨げてしまう、ということもありえます。

(あと1回で終わる。。。予定)

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