コーヒーブレイク(”=”の意味)
数式をみるとたいていの人はアレルギー反応を起こすのですが、基本中のきほん、全人類がマスターしておかなければならないことを書きます。それは、
数式の左辺と右辺は「同じ」でなければならない
ってことです。当たり前?
では、以下の数式は正しいでしょうか?
1 = 1 (1)
はい、これは正しいです。ではこれはどうでしょう?
1 m = 1 kg (2)
はい、これは間違いです。では、これはどうでしょう?
1 = 100 (3)
これは間違いですね。では、こうすると?
1 m = 100 cm (4)
もちろん、正しいですね。つまり、式の=の左側と右側は数字が同じかどうかは関係なく、最低でも「次元」が同じでないとならないのです。次元というのは、長さ、重さ、時間という性質、です。
(2)が間違っているのは、 長さ = 重さ という性質を違うものが同じという式になっているからです。(4)が正しいのは、 長さ= 長さだからです。
でも、
1 km = 1 mile (5)
は正しくありません。長さ=長さと次元はあっているけど、単位が間違っているからです。でも、この間違いは、次元を間違うよりは罪は軽いです。
数式の左辺と右辺は「同じ」でなければならない、という「同じ」というのは、次元が同じという意味の他に、
スカラー量=スカラー量
ベクトル量=ベクトル量
でなければなりません。 ベクトル量というのは、矢印で表されるような量のことで、大きさと方向を持っています。たとえば、速度はベクトル量です。一方、スカラー量は、大きさだけの量です。ひとつの数字で表されます。たとえば、速さはスカラー量です。ベクトル量は、スカラー量のいくつかの組み合わせ、つまり、いくつかの数字の組み合わせ、でできています。たとえば、a がベクトル量だとすると、
a = (1, 2, 3)
みたいなかんじです。なので、たとえば、b がスカラー量で、 b = 1 だとすると、
a = b
みたいに書くのは間違いです。これは、
(1, 2, 3) = 1
と書いてしまっているのと同じだからです。
10 km/sの速度 = 10 km/sの速さ
と書くのは間違いです。正しくは、
10 km/sの速度の大きさ = 10 km/sの速さ
です。左辺の「大きさ」というのがポイントですね。ベクトルの大きさはスカラーなのです。
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