経済学で考えるアンジャッシュ渡部氏の一連の騒動

アンジャッシュ渡部氏に限らず、芸能人の不倫に対して、「夫婦間の問題だから他人がとやかくいう問題じゃない」というスタンスを取るコメンテーターが一定数いらっしゃるかと思うのですが、経済学もしくはマーケティングの観点からすると賛同できないなと思い、もやもやしているので、今日はその点整理したいと思います。

不倫したのが一般人であれば同意するのですが(といっても、一般人でも夫婦間以外にも子供や親戚など迷惑を被る人はいるでしょうから、単純に二者間で収まる話でもないとは思いますが。。)、今回のアンジャッシュ渡部氏のように「クリーンなイメージを売りとして、その対価を得ていた人(芸能人)」に対しては、その対価を支払って番組やCMに起用していたスポンサーや、その対価の元手となる番組の視聴者、その番組やCMを見て商品を購買した消費者にとっては、アンジャッシュ渡部氏に対して直接・間接的に金銭を支払ってきた関係性あり、純粋な“他者”とは言えないと思うので、クレームする権利はあると思うのです。(これは清純&元気&裏表ない的なイメージを売りにしていたベッキー氏にも通ずるところかなと思います。)

「クリーンなイメージ」を売りにしていたアンジャッシュ渡部氏を、「無農薬有機栽培を売りにしていたトマト」に置き換えて例えるともう少し分かりやすくなるかと思うのですが、ある家庭のお父さんが家庭菜園で育てていたトマトを「無農薬で作ったトマトだよ。美容にも健康にもいいよ!」と言って奥さんに毎日食べさせていたところ、これが実は農薬をたくさん使って、化学肥料もバリバリ使って栽培していたとしたら、どうでしょうか。

これに対して、怒っていいのは、騙されて、農薬・化学肥料漬けのトマトを食べ続けた奥さんだけなんだと思うのです。(これが、一般人の不倫のケース)

一方で、「無農薬有機栽培を売りにしたトマト」を有名レストランに卸したり、TVやインターネットで宣伝して直接消費者に売り出していたらどうでしょう。これが実は「農薬&化学肥料バリバリのトマト」だと判明した瞬間に、立派な詐欺になってしまいますよね。(これが、芸能人の不倫のケース)

この場合、レストランのオーナー、シェフ、そのレストランでそのトマトを食べてしまったお客さん、直接インターネットやスーパーでこのトマトを買ってしまった主婦などなど、全員からクレームが来て当然だと思いますし、謝罪し、損害を補償する義務があると思います。

さらに、今回のケースでは、「多目的トイレ」や「一万円」などなど、トマトの例でいえば、農薬や化学肥料を使っていたこと以外に、実はアルバイトがトイレに行って手を洗わずにトマトを素手で仕分けしていた、とかトマトをキレイに見せるために表面にワックスを塗りたくっていたとか、様々な「顧客の気分を害する」補足情報が出てきてしまったという点が、アンジャッシュ渡部氏が今まで対価を得るべく売りにしてきた「クリーンなイメージ」を著しく毀損し、商品価値を暴落させたということなのだと思います。

逆に言うと、例えば同じお笑い芸人でも、ダウンタウン浜田氏や千鳥の大吾氏などは、そもそも「クリーンなイメージ」を売り(=提供するサービス)としておらず、むしろ「ちょい悪なイメージ」や「毒舌」、「面白さ」などを売りにしており、スポンサー、視聴者、CMを見て商品やサービスを買う消費者も、お二人には特に「クリーンさ」は期待していないので(申し訳ない言い方ですが笑)、お二人に不倫報道があってもそれを“詐欺!”、“裏切られた!”と感じる人は少ないので、あまりお咎めがないということなのだと思います。

ということで、題名ほどに経済学的な難しい話はないのですが、まとめると①一般人か、②芸能人(+政治家などの公人も含む有名人)か、さらに②の場合も「何を売りにして、公の場に露出し、対価を得ていたのか」によっても、不倫によって被る影響・損害は大きく異なるので、“不倫は夫婦間だけの問題で、他人がとやかくいうものではない”と一般化して論じるのは、あまりにも乱暴かなと思い、もやもやしていたので、ひろゆき氏的に少しロジカルに考えてみました。

更に言うと、アンジャッシュ渡部氏の場合は、奥様である佐々木希氏のクリーンなイメージにも乗っかってCM出演なども夫婦でしていたと思うので、佐々木希氏のクリーンなイメージに対価を支払っていた方々をも裏切ったという意味ではさらに罪は重いのかなと思いました。

この先、同氏がどのように復帰するのか、については再度「クリーンなイメージ」を売りにして信頼回復を狙っていくのか、もしくは「ちょいワルおやじ」にリブランディングして売り出していくのか、芸能人を商品としてはたから見ている分にはマーケティングのケーススタディとして楽しみであります。(今まで、ベッキー氏やモー娘。矢口氏などは、いずれもリブランディングは失敗していると思うので、中々難易度高そうではありますが。。)



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