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アメリカン・プレジデント②

私がこの映画の登場人物になれるとしたら、なってみたいのはヒロインのシドニーではなく大統領秘書官のジェニーだ。

この映画の冒頭は、大統領がホワイトハウスのプライベートゾーンを出て執務室に向かう "出勤風景 " を描いている。

大統領が居室を一歩出たらシークレットサービスがどのように動き、側近がどのようにスタンバイするかがよくわかって面白い。
このシーンのカメラワークは名ドラマ「ER緊急救命室」のそれを彷彿とさせる。

このシーンで最初から最後まで大統領の側に張りついているのが、秘書官のジェニーだ。

「ガラスの仮面」の人気キャラである水城秘書をちょっと可愛らしくしたようなジェニー。
Wikipediaによると正式な肩書きは専属補佐官となっているので、もちろん相当なバリキャリだ。
大統領のスケジュール管理や身の回りの補佐をしているっぽい。

この冒頭の出勤風景にも、彼女の能力が伺いしれる場面がある。

執務室へ向かう渡り廊下の近くで庭木の剪定をしている庭師が、大統領に挨拶をする。

庭師 : おはようございます大統領!
ジェニー : (小声で)チャーリー
大統領 : やあチャーリー!

執務室に近づいた頃、それまで大統領の一歩後ろを歩いていたジェニーが、小走りで大統領の前に出る。
そして、廊下に立っている女性スタッフに声をかける。

ジェニー : お誕生日おめでとう、ローラ
大統領 : ローラ、誕生日おめでとう!
   (小声で)彼女に花を
ジェニー : 贈りました

ジェニーはまた大統領の後ろに下がる。
大統領に誕生日を祝われたローラはさぞ嬉しかっただろう。

"スタッフのことを把握しているボス" 像は、こうした秘書の涙ぐましい配慮によって造られている。

そのボスの命令にすべて「Yes, sir!」と即答する彼女が唯一聞き返したのが、このトップ画像のセリフだ。

シドニーと晩餐会デートをした大統領が、翌朝どうしても自分で手配した花を贈りたいと言うのだ。
ジェニーは自分が何か不手際をしたのかと大統領に問うが、彼も譲らない。
そして電話番号をゲットした大統領は果敢に花屋に電話をするのだ。

ここで思い出すのは、大都芸能のプレジデント、我らが速水社長だ。
彼は紫のバラの手配を、きっと部下に丸投げしているに違いない。
そんなことだからイマイチ気持ちが伝わらないのだよ。

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