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FC岐阜 vs カターレ富山 試合前考察

はじめに

4月10日の第5節でFC岐阜はアウェイ富山運動公園総合競技場でカターレ富山と対戦する。岐阜は第3節でアスルクラロ沼津に敗れた後、チーム内で新型コロナウイルスの陽性者が複数人確認された影響でトップチームの活動が一時停止。第4節ガイナーレ鳥取戦は延期となった。月曜日にチーム活動が再開されたが、2週間ぶりのリーグ戦ということ、一時活動停止による影響は大きいため、富山戦も厳しい戦いが待っていることは予想されるが、今季の1つの特徴である選手層の厚さを武器に、チーム一丸となって勝利を収め、その次に待つ松本山雅戦につなげたい。
 
一方の富山も序盤苦戦を強いられている。開幕戦で愛媛FCに2-1と逆転勝利を収めたものの、その後、FC今治、ギラヴァンツ北九州と連敗。前節はいわきFCに1-1のドローに終わった。ここまで1勝1分2敗の勝ち点4で11位に沈んでいる。気になるのは、4試合中3試合で相手に先制を許しているということだ。石崎信弘イズムが浸透した3-3-2-2のシステムで戦い、決定機は昨季同様作り出しているが、生かすことができず、セットプレーから3失点と守備面も昨季ほどの安定感が未だ発揮されていない。今季2戦目のホームゲームということで、ホーム初勝利を是が非でも狙ってくるだろう。
 
両チームの過去の対戦成績は、岐阜の6勝5分6敗と全くのイーブン。ただし、富山のホームでは、岐阜は3勝1分5敗と2つ負け越している。昨季は1勝1敗と互いにホームで勝利を挙げた。

両チームのスタッツ比較

富山戦 スタッツ比較

上表はこれまでの戦いでの両チームのスタッツだが、岐阜に関しては、1試合少ないため、沼津戦までの数値となっている。
 
相手にボールを持たせる時間と自分達で保持する時間を使い分け、相手に持たせている時は、ボールホルダーに対しての連動したプレス、攻撃時は人数をかけサイドから崩しにかかるサッカーを主としている富山だが、今季はここまで苦しい戦いが続き、特出して秀でた数値はないが、今回は「奪取ポイント」を加えている。富山は奪取ポイントで3位を記録している。守備時は、サイドに逃しながら、人数をかけて、ボールを奪い取る。
 
一方の岐阜は1試合少ない中で、トップを記録しているのが、ボール支配率だ。58.1%と約6割のボールを握りながら、素早い攻撃よりも、チームで連動した動きで崩すサッカーを目指しているが、それを表す数値となっている。チャンス構築率も10.9%とリーグ6位。中盤の底や最終ラインでボールを落ち着かせ、相手の守備バランスが崩れたところで、効果的な縦パスとロングパスで攻撃を作り出す。

富山戦 ホットゾーン

両チームのホットゾーンを見てみると、富山はやはりウィングバックのポジショニングが攻撃の鍵となる。どちらかというと、右サイドからの攻撃が多いようだ。一方で岐阜は、ボランチのあたりでボールを回しながら、両サイドの高い位置にボールを回し、人数をかけて、クロスや中央へのパスで相手の守備を動かすことでシュートまで持っていく。この試合は、富山の右サイド、岐阜の左サイドが勝敗の鍵を握りそうだ。

両チームの予想布陣

富山戦 予想スタメン

岐阜はいつも通りの4-4-2を予想。メンバーについては、これまでの戦いを主とするだろうが、コロナ陽性者が複数人出たため、大幅なメンバーの変更も予想できる。ここでは、3試合のメンバーを中心に予想しているが、スタメン出場の可能性がありそうなメンバーも括弧で記している。GKは桐畑和繁か松本拓也。鳥取戦での考察で一度記したが、松本のスタメンも十分に可能性は高いだろう。4バックは右サイドバックに菊池大介を予想。前節のように終始ハイプレス苦しむ展開ではないだろうが、よりサイドからの仕掛けに強い菊池を抜擢した。中盤のボランチに前節怪我から復帰した柏木陽介をスタメン予想。沼津戦をみる限り、スタメン起用でも心配はなさそうだ。前線、サイドはこれまで同様に、右に畑潤基、左に藤岡浩介、2トップは田中順也とンドカ・チャールス。ただし、それぞれのポジションでスタメン起用の可能性がありそうなメンバーも記している。
 
一方の富山は、これまで同様に3-3-2-2で臨むだろう。前節ドローに終わったが、そのいわき戦からは1枚のみの変更を予想。GKで言うと、富山は4試合で3人起用している。今季キャプテンを務める西部洋平、背番号1をつける山田元気、さらに、齋藤和希も北九州戦で出場している。ここでは前節に続いて山田がゴールマウスを守ると予想した。3バックは大畑隆也、林堂眞、鎌田翔雅の3人だろう。1アンカーに末木裕也、ワイドは右に松本雄真と左に安藤由翔。今回変更を予想したのが、2列目。これまでトップ起用だった古巣対戦の川西翔太がトップ下に下がり、姫野宥弥とコンビを組む。これはいわき戦で川西がより低い位置でボールを受けることで、攻撃に違いを生んだ。今節はこの形で来るのではないかと予想している。そして2トップにここまで途中出場から3ゴールを決めている大野耀平をスタメン予想。マテウスレイリアと並ぶ。ただ、トップ下に姫野と椎名伸志、2トップを川西とマテウスにして、大野を途中から起用するこれまでの起用法も十分に考えられる。

富山戦に向けた個人的見解による岐阜の戦い方

基本的には、岐阜がボールを保持する時間が長く、富山がブロックを組んで守るような戦いが予想できる。自分達がボールを握りながら、相手の隙を突く縦パス、プレスに来た相手の裏のスペースに走り、最終ラインからのロングボールで崩す。ポゼッションサッカーを軸に戦うスタイルを貫くことが重要である。

富山戦 狙いとなるサイドのトライアングル

富山を崩すポイントとして、狙いとなるのは、図のように、両サイドのウィングバックと2列目、3バックの一角との間にできるトライアングルの中央に両サイドハーフか、トップの選手がポジションを取ることだ。4試合見る限り、今季の富山はこのエリアが広く開けてしまう傾向にある。3-3-2-2というシステムである以上、アンカーが両サイドのここをケアすることは厳しいため、このトライアングルの間で受けることができれば、そこからサイドバックの上がりや中央のFWなど攻撃への選択肢を十分に作り出すことができる。富山の守備は5-3-2に近い形で守るが、今季はここのエリアが開きやすい。2列目に川西を起用してくれば、脅威であることは間違いないが、ボールサイドに寄りやすいため、ここのトライアングルをよりポジショニングしやすい可能性もある。
 
次に、最終ラインでのボール回しにキーパーも加わることだ。沼津ほど超ハイプレスではないが、ポゼッションサッカーをする以上、受け手のポジショニングとキーパーの組み立て参加は必須事項だ。中央に人数が集中しやすいため、ボランチが降りる位置でキーパーが参加することで、そこからサイドにボールが渡ったときに、両ボランチが両サイドにフォローにいきやすい。サイドで人数をかける攻撃も有効的であり、深い位置を取れれば、クロスのチャンスもあるため、2トップにあまり下がって受けさせないためにも、ボランチはこれまで以上に高いポジショニングを意識したい。

富山戦 中盤のバランス

一方で警戒すべきポイントは、図の灰色で囲んだあたりが数的不利になりやすいことだ。例えば最終ラインの林堂からアンカーの末木に縦パスが入り前を向かれると、低い位置といえども、強力な前線が待っているため、一気にピンチを招く。

富山戦 4-2-1-3の守備

中盤に縦パスを入れさせないためにも、岐阜の守備としては、2トップの一角が1列下がり、4-2-3-1、あるいは、4-2-1-3の形が良いと感じる。図のように、両サイドに散らしてくれれば、サイドで同サイド圧縮の守備に持ち込みやすい。中盤を2-1で組むことで、マンマーク気味に厳しいチェックをかけられれば、そう簡単に中盤で前を向かれないだろう。川西が2列目に来た場合は、対峙するのを庄司、へニキら対人に強い選手を配置し、ほぼマンマークでついていき、前を向かせないことが重要だ。下がって受ける川西について行き、4-1-4-1のような形など、そこは流動的にポジションを変えていけると良い。

警戒すべき選手は、やはり川西とゴールゲッターの大野。試合全体的な動きを見ていると、まだ川西はやりにくさを感じている部分もありそうだが、一瞬でDFの背後を突く動き、ゴールに迫る迫力は健在。昨季は頼りになったスコアラーとしての能力が今季は大きな脅威である。そしてその川西と大野の連携は開幕からお互いがお互いを感じ取れている。大野の3点中2得点は川西のアシストであるため、スタートから2人が揃うか、途中からかどうかは定かではないが、2人がピッチに揃った時は、かなりの集中が求められる。

さいごに

コロナによる中断があり、2週間ぶりのリーグ戦となる岐阜。活動停止期間もあったことから、おそらくコンディション的な部分では富山に分がある。交代枠も含めて、岐阜はこれまで以上にチームとして90分間戦うことが必要だ。4節を終えた段階での順位を見ると、これ以上上位陣と離されたくない。厳しい相手ではあるが、敵地で勝ち点3を持ち帰ることができれば、大きな自信にもつながる。開幕スタートからまた新たに「新化」した岐阜を見せ、富山を退けたい。



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