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FC岐阜 vs カマタマーレ讃岐 試合前考察

はじめに

4月30日の第7節でFC岐阜はアウェイPikaraスタジアムでカマタマーレ讃岐と対戦する。前節松本山雅FCに敗れ、今季2敗目となった岐阜。またも昨年9月以来の「連勝」とはならず、1試合少ないとはいえ、順位も10位に落とした。終始試合をコントロールし、ボールを動かしながら松本ゴールに迫ったが、3試合連続で先制点を相手に許す苦しい展開に。前半終了間際に菊池大介が同点弾を決めたが、後半は思うような攻撃パターンは作ることができず、松本が得意とするセットプレーから2失点を喫した。開幕5試合で7得点6失点と攻守ともに良い状態とはいえない中で、今節迎える讃岐戦は確実に勝利を収めたいところ。
 
一方の讃岐は、開幕6試合2勝1分3敗。開幕5連敗に終わった昨季と比較すると、良いスタートを切っている。何より受け身の展開が多かった昨季に比べ、今季は自分達でボールを保持しながら、ドリブル突破などキレのある攻撃からここまで8ゴールを決めている。前節はアウェイでヴァンラーレ八戸に2-1で勝利。ピッチ状態が悪い中でも、連携の取れた攻撃を繰り広げるなど、チーム力の差も見せつけた。昨季以上に厄介な相手であるだろう。
 
両チームの過去の対戦成績は、岐阜の7勝3分4敗と3つ勝ち越している。カマタマーレ讃岐のホームで言うと、岐阜の4勝1分2敗とアウェイの地でも相性が良い。讃岐は岐阜戦直近3試合連続ノーゴールに終わっている。ただ讃岐ホームでの前回対戦は、スコアレスドローに終わった。その前の岐阜のホームでは、4-0と岐阜が快勝。この試合で村田透馬がプロ初ゴールを記録している。

両チームのスタッツ比較
[両チームのスタッツ比較]

上表はこれまでの戦いでの両チームのスタッツだが、岐阜に関しては、1試合少ないため、松本戦までの数値となっている。
 
攻撃面では、攻撃ポイント、パスポイントともに岐阜が上回っている。これまでの戦い同様に、この試合もおそらく試合をコントロールするのは、岐阜だろう。ボール支配率を見ても、岐阜はここまでの5試合でリーグトップの58.4%を記録している。相手のバイタルエリアに入り込むことができれば、岐阜は多くのチャンスを構築できるはずだ。守備面で言うと、奪取ポイントでは讃岐は567.69でリーグ4位、守備ポイントでは105.25でリーグトップの数値を記録している。
 
この試合どちらかというと、岐阜が攻撃的、讃岐が守備的で戦うと予想するのは、次の数値が関係している。

[両チームの被攻撃スタッツ比較]

上表は相手に攻撃を許した回数、シュート数、チャンス構築率、ゴール数などを数値化したものである。これを見ると、讃岐は守備ポイントでリーグトップだが、被攻撃回数が多いために、この数値が高くなっている。リーグ17位の被攻撃回数ながら、被ゴールでは岐阜とほぼ変わらないことから、ゴール前でシュートブロックやキーパスをカットしていることが推察できる。岐阜はリーグ5位の被攻撃回数で被シュート数(相手に打たれたシュートの平均)はリーグトップの少なさながら、被成功率、つまり、失点につながった割合が12.8%とリーグ17位。少ないチャンスをモノにされている。松本戦はまさにその通りだった。

[両チームの今季のホットゾーン]

上図は両チームのホットゾーンを比較したものだ。ピッチでのプレー幅は、両チームともに同じような形となっている。中央低い位置から左サイドにかけてのスペースが中心となって、攻撃を組み立てている。つまり、両チームともに右サイドの守備は警戒する必要がある。
 
上表や上図のホットゾーンを見ると、岐阜が試合をコントロールする展開が続くだろうが、ここまでの総シュート数を比較すると、讃岐は51本で、岐阜の38本を大きく上回っている。今季の讃岐はシュートまで完結する力を持っているだけに、奪われてカウンターからシュートまでの流れなどには気をつけなくてはならない。

両チームの予想布陣
[予想スタメン①]

今回の予想スタメンでは、岐阜のスタメンを2パターンで予想してみた。①では4-4-2の布陣を予想。GKは桐畑和繁。4バックの右に舩津徹也、左に宇賀神友弥を予想。右は山内寛史が3試合ぶりにサイドバックとして出場する可能性もある。センターバックはフレイレと岡村和哉。岡村のポジションでは藤谷匠も考えられる。ボランチ2枚に庄司悦大と柏木陽介。中盤でボールをコントロールできることを考えると、パサーになれる庄司と柏木が岐阜のバランスを整えてくれるはずだ。サイドハーフは右にコンディションが良い窪田稜、左に前節移籍後初ゴールを挙げた菊池大介を予想しているが、両サイドハーフともに選手層は厚く、畑潤基、藤岡浩介、村田透馬らも控えている。2トップは山内寛史とンドカ・チャールスを予想。山内がサイドバックで出場する場合には、田中順也がここに入るだろう。
 
一方の讃岐は、前節同様に3-4-2-1のフォーメーションを主としてくると予想。今季は3-4-2-1と3-3-2-2を併用してきているが、岐阜の布陣を考えると、2ボランチの方が守りやすい。GKはここまでハイパフォーマンスの続く高橋拓也。3バックは右に伊従啓太郎、左に遠藤元一。中央に西野貴治。前節と同じ3人を予想。ボランチ2枚に長谷川隼と西本雅崇。ウィングバックの右に内田瑞己、左に渡辺悠雅。2シャドーに前節2ゴールの青戸翔と後藤卓磨、1トップに松本孝平を予想する。

[予想スタメン②]

もう1パターンが上図の②。岐阜の布陣をここ2試合と同様の4-2-3-1を予想。メンバーとしては、キーパー、4バックは①と同様。ボランチに庄司と山内彰。2列目のトップ下に柏木を予想し、1トップに山内寛史を予想する。山内を右サイドバックで起用する場合には、田中やンドカ、藤岡らが起用されるだろう。ここ2試合フルコンディションになった柏木が高い位置に入り、起点を作る布陣を採用してきたが、松本戦の後半のように、窪田のサイドを必要以上に警戒されると、1トップが孤立気味になったことが課題に挙げられた。松本戦の状態、2試合欠場だった主力組の復活を考えると、もう一度4-4-2に戻すことも十分に考えられる。

讃岐戦に向けた個人的な見解による岐阜の戦い方

序盤から岐阜がボールを保持しながら、讃岐の守備陣形をサイドに揺さぶりながら、守備の穴を上手く突いていきたい。この試合特に意識したいのは、先制点。こういった自分達がボールを保持できる展開
が予想される試合では、早い時間に先制点を奪うことがより優位に試合を進めるきっかけとなる。逆に良い時間にゴールが割れず、焦れる時間帯が続くと、富山戦や松本戦のように、ワンチャンスから先制点を相手に献上する苦しい展開となってしまう。2試合連続で前半終了間際に同点に追いつくことができたが、勝点3を持ち帰るためにも、「先制点」は必ず岐阜が奪いたい。

[攻撃時の効果的な形(サイドからの攻撃)]

讃岐を崩すためにも、岐阜のストロングポイントでもあるサイド攻撃からのクロスを供給する攻撃スタイルがかなり効果的だろう。さらにポイントとなるのが、クロスの質と中央の選手の動き。上図は、岐阜の右サイドの崩しの例を表した図。今季の讃岐のウィークポイントの1つとして、クロスボールに対し、ボールウォッチャーになる瞬間が多く、バイタルエリアが開きやすい傾向にある。八戸戦もその間を突かれ、失点した。前線の選手が相手ディフェンスをひきつけ、逆サイドハーフとボランチがこのエリアに進入したい。そしてサイドからのクロスで重要なのが、サイドバックの追い越す動き。松本戦はこの動きがなかったがために、後半は窪田の突破を封じられ、右サイドからの攻撃が停滞した。ボランチの一角がリスク管理を行い、サイドバックはより攻撃的にオーバーラップをしたい。この動きでサイド深い位置に入り込み、クロスを上げる動きや、その動きを警戒した相手ウィングバックがサイドバックにひきつけられたところでカットインのドリブルからゴール前に迫る動きなどサイドの崩しがより活性化するだろう。

[守備時の警戒ポイント]

一方で讃岐の攻撃で警戒すべきなのが、ウィングバックから中央へのパスに対して、2人、3人が絡む動き。今季の讃岐はサイドに展開してから、縦へのドリブル突破というよりも、シャドーの一角が近い距離にポジショニングをとり、パスの受け手となる。八戸戦では、サイドからのボールに対して、シャドーの青戸とトップの松本が近い距離でパス交換し、ディフェンスを引き出した裏のスペースを青戸が突き、ドリブルからシュートまで持ち込む動きからゴールを決めた。このように讃岐は、岐阜のバイタルエリアで前線が人数をかけて、ディフェンスを剥がしにかかる。相手ウィングバックに対して、サイドハーフとサイドバックで挟み込むように守備する形で縦への突破を封じ、バイタルエリアへのパスには、ボランチ2枚がマーキングとゾーンディフェンスを使い分けて、対応する。そして、ディフェンスラインでは、センターバックと逆サイドバックがしっかりとスライドして、飛び出したサイドの穴を埋める。この時、逆サイドのサイドハーフもしっかりプレスバックを行うことも意識したい。

警戒すべきプレーヤーは、前節2ゴールを決めるなど状態が良い青戸翔。彼がバイタルエリアや相手ディフェンスの間にポジショニングを取り、讃岐の攻撃の起点となる。このエリアで青戸に前を向かせると、かなり危険な存在になるだろう。彼に対しては、ボランチ、センターバックが厳しいチェックで対応したい。

さいごに

前節松本に敗れ、今季2敗目を喫した岐阜。昇格のためには「連勝」と同様に重要なのが、「連敗」しないこと。今季ここまでチームコンディションの良い讃岐相手だが、相性の良さも活かしながら、ここは確実に勝点3を奪いたい。ゴールデンウィークということもあり、この後2試合は中3日でのアウェイ連戦となる。讃岐の次は、藤枝MYFC戦が待っている。連戦だが、豊富な選手層も活かし、「連敗」せずに「連勝」を掴み取りたいところだ。

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