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FC岐阜 vs 藤枝MYFC 試合前考察

はじめに

5月4日の第8節でFC岐阜はアウェイ藤枝総合運動公園サッカー場で藤枝MYFCと対戦する。ゴールデンウィークということもあり、中3日での連戦となる。前節アウェイで讃岐に敗れ、「連敗」を喫してしまった岐阜。4試合連続で前半から岐阜がボールを保持しているにもかかわらず、先制点を許してしまい、自ら苦しい展開に持ち込んでしまった。3試合連続で同じように前半終了間際に追いつくことに成功しているが、次節の藤枝戦では、「先制点」にこだわってほしい。最近4試合で5得点8失点、2連敗と悪い流れが続いてしまっている。2戦連続でアウェイでの戦いとなるが、ここでその悪い流れを断ち切らなくてはならない。
 
一方の藤枝は、ここまで3勝1分3敗の勝ち点7で10位につけている。前節の前時点で2試合得点がなかったが、アウェイ北九州の地で3試合ぶりに得点を奪い、虎の子の1点を守り切って、3試合ぶりの勝利を手にした。勝利した3試合はいずれも無失点と守備から入ることができれば、藤枝の強さが発揮される。サイドや前線に若い選手が多く、積極的な仕掛けからチャンスを繰り出している。
 
両チームの過去の対戦成績は、岐阜の2勝1分1敗と1つの勝ち越し。藤枝MYFCのホームスタジアムでの成績で言うと、1勝1敗の五分。昨年の藤枝ホームでは、大雨の中で、岐阜が幸先よく先制点、追加点を奪い、前半で3点をリード。後半に1点返されるものの、3-1で勝利した。

両チームのスタッツ比較
[両チームの主なスタッツ比較]

上表のスタッツを比較すると、攻撃ポイント、パスポイントともに、藤枝がリーグトップの数値を記録している。さらには、守備面でもある奪取ポイントも藤枝はリーグ2位の数値で、岐阜と大きな差がついている。ボール支配率は岐阜がこれまで同様リーグトップの58.3%の数値を記録しているが、藤枝も53.6%でリーグ4位と両チームともに自分達でボールを保持しながら攻撃のプランを模索するスタイルである。
 
攻撃ポイントは118.72と7戦を終えて、かなり良い数値を記録している。攻撃的なパス、ドリブルが多く、攻撃チャンスが試合を見ていても多いため、この数値、そしてパスポイントが連動してトップに立っている。チャンス構築率も藤枝が10.5%で、岐阜の9.4%を上回っている。それだけ攻撃的な部分でかなり警戒する必要がある。 

[両チームのゴール期待値に関するスタッツ比較]

上表はゴールに関する数値を比較したものだ。ゴール期待値を見てみると、藤枝1.400、岐阜1.071と差がついているが、平均ゴール数で言うと、岐阜が1.3で藤枝を上回っている。藤枝はゴール期待値と約0.5のマイナスとなっていて、岐阜はゴール期待値から約1.3のプラス数値を記録している。つまり、攻撃的なパスやドリブルが多い藤枝だが、ゴールまでつながる形がそこまで多くない。逆に言うと、被ゴール期待値は岐阜の方が1.024と藤枝よりも低い数値にもかかわらず、平均被ゴール数は1.3で藤枝よりも高い数値となってしまっている。これらのデータを比較すると、ゴール前でのチャンスは藤枝の方が作るが、岐阜は少ないチャンスをものにしたいところだ。

[両チームのホットゾーン]

両チームのここまでの戦いによるホットゾーンを比較すると、やはり同じようなプレーエリアの割合になっているが、岐阜は両サイドとボランチの位置が濃い緑色になっていて、このエリアでボールを回しながら攻撃を組み立てる。一方で藤枝は両サイドが中盤より少し高い位置をキープしながら、攻撃の起点となっている。サイドに渡ってから縦への仕掛けを意識していることから、アタッキングサードでもサイドの位置が中央よりも濃くなっている。

両チームの予想布陣
[両チームの予想スタメン①]

讃岐戦の敗戦を受けて、メンバーも変化を加えてくることが予測されるため、岐阜のスタメン予想は少し難しい。今回も2パターン予想してみた。①では4-2-3-1の布陣を予想。GKは松本拓也を予想。ここまで桐畑和繁がゴールマウスを守ってきたが、ここで守備陣も少し変化を加えるのも必要ではないかと感じる。4バックはフレイレの退場を受けて、センターバックは藤谷匠と岡村和哉を予想。ただ相手の前線にスピードがあるため、それに対応するためにも、小山新や大西遼太郎らも可能性がある。サイドバックは右に舩津徹也、左に宇賀神友弥を予想。右サイドは山内寛史が戻ってくることも十分考えられる。ボランチ2枚は庄司悦大と山内彰。サイドから中にくるパスや縦パスのカットが巧みな本田拓也をスタメンで起用するのも面白い。2列目は、右に窪田稜。左に村田透馬。ここはスピードがある若いアタッカーを選択してみたが、その理由は次のパートで述べる。トップ下に柏木陽介が入り、1トップには讃岐戦でも機能していた石津大介を予想。トップはンドカ・チャールスや復帰した田中順也もいる。
 
一方の藤枝はこれまでの戦い同様に3-4-2-1を予想。相手の布陣で変化をさせるチームではないため、おそらく布陣はこれでくるはずだ。GKは内山圭。3バックは右から小笠原佳祐、川島将、神谷凱士の3人を予想。今季非常に効いているボランチ2枚に水野泰輔と鈴木淳。ウィングバックは右に久保藤次郎、左に榎本啓吾。2シャドーと1トップには、横山暁之と押谷祐樹、岩渕良太を予想。前節ゴールを決めた土井智之を1トップに、横山と岩渕を2シャドーというのも考えられる。

[両チームの予想スタメン②]

もう1パターンとして、②のようなスタイルを予想する。システムは①と同じ4-2-3-1。①と違う点としては、トップ下予想の柏木が庄司と共にドイスボランチと予想。トップ下に吉濱遼平が入るプランにしてみた。中盤3枚でパサーが入るプランも面白いと感じる。ディフェンシブサードに庄司が入り、ミドルサードに柏木、アタッキングサードに吉濱とパサーが3ブロックにそれぞれ入ることでオフザボールの動きと連動すれば、攻撃へのキーパスはかなり期待できる。ただ、昨年感じたように、吉濱と柏木の思考がかなり似たものがあり、ポジションが被りやすい傾向にあるため、そこが整理できれば、面白い布陣になるだろう。途中からでも、楽しみなメンバーだ。

藤枝戦に向けた個人的な見解による岐阜の戦い方

藤枝は、讃岐と同様に、3-4-2-1の布陣を敷き、両ウィングバックが讃岐よりも高いポジションを積極的に狙ってくる。ここのリスク管理をチーム全体で行いながら、ウィングバックが出てきたならば、その裏を素早く突きたい。この試合でより求められるのは、「遅攻」と「速攻」の使い分け。普段同様にボールを保持しながら徐々に全体を押し上げる戦い方に加えて、藤枝もボールを保持する時間を作ってくるので、奪ってから速攻に持ち込むことも考えたい。そのために、予想では、窪田と村田というスピードアタッカーを左右に配置した。

[岐阜の「遅攻」のポジショニング]

藤枝を崩すポイントとして、前述の通り、「遅攻」と「速攻」が鍵となる。まずは、遅攻。これまで同様にパスで回しながら、相手の守備をスライドさせ、ギャップをつく縦パスを供給して、人数をかけながら、ゴール前に迫る。ここで重要なのが、讃岐戦の戦術分析でも述べたように、選手間が近い距離にポジショニングをとり、ボールを受けてから人を探すことなく、ツータッチ以内で細かいパスを回して、相手を動かしていきたい。そのためにも、攻撃時は下図のようなポジショニングをとっていきたい。理想的なのは、3-3-4のような形で、サイドバックが中にポジションを取る動きも求められる。庄司が最終ラインのパス回しに参加して、最終ラインでの横パスのスピードが緩くなることを避けたい。中盤にボールが入ったときには、柏木がもう1列降りてきて、3-3-1-3のような形になるだろう。

[岐阜の「速攻」の狙い]

次に「速攻」の部分。ここまで岐阜は自分達がボールを保持する時間が圧倒的に長かったので、そこまでカウンターの形から素早い攻撃は仕掛けていない。ただ藤枝もボールを保持しながら全体を押し上げてくるため、ディフェンシブサードでボールを動かされ、岐阜陣内でのプレー時間もこれまでより多くなるだろう。そこで効果的なのが、「速攻」。狙いとしては、両ウィングバックの裏のスペースにサイドハーフの2人が入り込む。ここへのスピードを生かすために、窪田と村田を予想した。さらに、ここへの守備意識を藤枝に持たせれば、センターバックとボランチ、ウィングバックのトライアングルが広がってくる。その間のスペースにFWやサイドハーフが中にカットインできれば、より高い位置でチャンスを創出することができる。藤枝戦は、「遅攻」と「速攻」の切り替えに注目したい。

もう1つ、得点を奪う上でポイントとなるのが、セットプレーだ。藤枝はここまでセットプレーからの失点はないが、幾度となく危ないシーンを作られている。狙いとなるのが、キーパーを越えるようなボールでファーサイド。このようなボールに対しての処理が藤枝はかなり不安定で、北九州戦もそこからピンチを招いた。柏木や庄司、吉濱などセットプレーで正確なボールを供給できる選手が多いだけに、ここを狙いにして、中の選手もここでしっかり準備したい。

[藤枝の攻撃プラン]

一方で藤枝の警戒ポイントとしては、やはり両ウィングバックの縦への仕掛け。ワイドに入ると予想される榎本啓吾と久保藤次郎は、守備時は5バックに入るが、ボールを奪えば、積極的に高いポジションを取ってくる。ミドルサードからアタッキングサードのエリアでボールを受ければ、間違いなく縦に仕掛けて、クロスを供給してくる。さらに、そのサイド突破に厚みを増すべく、シャドーとボランチがフォローに来るため、そこも警戒する必要がある。

もう1つ警戒すべきは、2シャドーと1トップが近い距離感でプレーしてくることだ。ゴールキックやセンターバックからのロングボールに対して、この3選手の連動した動きやポストプレーからの攻撃はかなり迫力がある。さらに、シャドーの選手にボールが入ったときに、トップの選手がディフェンスの背後を突く抜け出しと連動して、スルーパスを出してくる。センターバックの一角がしっかりトップの選手をマークし、ボランチの選手が最終ラインまで落ちてきて、抜けた穴を埋めるなど、守備時の連動性も求められる。ここ数試合攻守において、全体的に連動性が落ちてきているため、90分通して、集中切らさず、味方が抜け出した箇所はケアしていくことが大切だろう。

さいごに

まだ序盤戦とはいえ、既に6試合消化してしまっている。(岐阜は1試合未消化)今後の展開を考えても、これ以上上位に話されるわけにはいかない。そのために、もう一度チーム状態を整理して、必ず連敗を止め、勝ち点3を持ち帰りたい。そのために最重要なのが、「先制点」。試合を優位に進めるためにも、先制点をしっかり岐阜が奪うことが、ポイントとなる。勝ち点7の14位に沈んでいるが、上位は混戦状態なので、ここで立て直すことができれば、まだまだ取り戻すことができる。この後も中2日で天皇杯の岐阜県予選決勝が控えているが、まずはチーム一丸で3試合ぶりの白星をとってほしい。


↓カマタマーレ讃岐戦の戦術分析


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