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「一つ一つ表情が違い、同じものはありません。それぞれがたった一つの存在になります。」

湯ノ里デスク 佐々木武、田代信太郎 「文庫スタジオ」製作者インタビュー


リビングのサイドボードや、机の上など、いつでも手の届く場所に置いておける、とっておきの文庫本を収納しておく小さな本棚「文庫スタジオ」。

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上質な仕上げの木材、さらに木目が繋がるように1枚の板から作り上げられた、この「文庫スタジオ」は、北海道ニセコ連峰のふもと、蘭越町字湯里にある工房、湯ノ里デスクでひとつひとつ、丁寧に作られています。

大きな木々に囲まれるようにして立つ、湯の里デスクの工房は、2002年3月に閉校した「湯里小学校」の校舎。この山の学び舎で2002年8月、湯ノ里デスクはスタートし、優れた木工の技術で、木の肌を生かした丈夫で美しい木工家具を作り続けています。

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この製品をつくる、きっかけとなった出来事を教えてください

「文庫本」という存在そのものが、むかしからずっと好きだったんですね。サイズ感や装丁など、全てが胸にグッと来るというか。

装丁が見えるように収納したい、と最初に意識したのは、まだ木工を始める以前に買った、星野道夫さんの「旅をする木」(文春文庫)でした。文章にしびれたのと装丁の素敵さが相まって、一つの存在として宝物のように感じました。いつもそばに感じられるよう、身近に置きたい、と。

その後10数年を経て、あの時に抱いた感情が形になりました。

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最終的な製品の形状やデザインが出来上がるまでに気をつけたことを教えてください

装丁を身近に感じたいのですから、側面をガラスで構成するのは必然的でした。厚みも、中に納まる文庫とのバランスを考えると(コスト高だけど)5ミリは必要。割れる危険もあるし、重たくなるけれど…アクリルではなく、ガラスの質感が大事でした。

本を多く収納することは意識せず、手のひらでひと掴み分の寸法が気持ちいい、と考えました。文庫のサイズ感の心地よさを、そのまま立方体にしてしまおう、という気持ちで。

本を取り出しやすいように指一本分のクリアランスを設けるのは、以前に書店員だった頃の経験則です。意外と気付かれない部分としては、木目がつながるように1枚の板から加工されている点。一つ一つ全て表情が違い、同じものはありません。それぞれがたった一つの存在になります。

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この製品で使われている素材について、エピソードはありますか?

ナラ材は、できれば道産材をメインで使いたかったのですが、数が減ってしまったため、安定して入手出来ない状況です。現在は主にロシア産のミズナラを使用していますが、やはりナラはいいですね。大好きな素材です。

ダークブラウンのウォルナット材は、とても高価だけど、やはり魅力的。高級感があってとても美しく、こちらも大好きな素材です。

着色はせず、クリアーな植物性のオイルで仕上げています。木の自然な色合いを生かしているので、例えば同じウォルナットでも、色の濃さにはバラツキがあります。同じ日本人でも、肌の色が少しずつ違うように。

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木目も木によってそれぞれ異なります。それはその木がどんな条件の中で育ったのか、それぞれに違うからです。平地か、山の中の傾斜地か、日当りはどうだったか、風がどの方角から吹き付けたか・・・生育の途中でケガをしたり、ちょっとした病気にかかることだってあります。また、同じ1本の木でも、どの部分をどうカットしたかで見えてくる表情が変わります。その意味で、ここにある一つの木工品は、世界にたった一つの存在であるとも言えるのです。

私たちが使っているミズナラやウォルナットなどの木は、ゆっくり時間をかけ、少しずつ育つ樹種です。通常、家具などの木工品に使う太さになるまでに、100年以上はかかるとされています。1年にわずかずつしか成長しないので、木目が緻密で美しく、硬く、重みがあります。一つの木工品には、その木のある時代の、ある時間が込められていることになります。

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AssistOnのお客様にメッセージをお願いします

僕自身もAssistOnさんのサイトを以前からよく見ていました。丁寧にお仕事をされている様子が伝わってくるお店で、とても好きでした。

このお店には何か楽しい、気持ちいい、自分が大切に思えるモノがある。今日もそうやってお店を訪ねてくる皆さんに、湯ノ里デスクの製品を見ていただけることをとてもうれしく思います。北海道ニセコ山麓の工房より、皆さんとの出会いを楽しみにしています!

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こちらも湯の里デスクのアイテムです。

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「木おく」
いつも側に置いておきたい一冊の文庫本。お気に入りのポストカードを、今聴いているCDを。さっと置くだけで使える上質な木製の、小さな額縁。


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「木りつ!」
今、聴いているCDのアルバムを。お気に入りの書籍や文庫本の表紙を飾るために。置き場所を取らずに、気軽にお使いいただける天然木のスタンド。


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「ペンスタンド」
お持ちの筆記具の中から、とっておきの2本を選んで、こちらへ。よい素材を使って丁寧につくった、ナラとウォルナットの筆記具スタンド。


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