「アイデア次第でさまざまなものを包むことができる汎用性のある形状を追求しました。」
宮田里枝子(DESIGNTALK) / 白倉重樹(株式会社プラグノーツ代表取締役)「_go(アンドゴー)」デザイナー・インタビュー
スマートフォンやPC、携帯ゲーム機などのモバイルデバイス、そして、持ち運びに忘れてはいけない付属のケーブル類や充電器、モバイルバッテリー。さらに身のまわりのお手入れ用品など、お仕事やプライベート、旅行にと、私たちはいつも、生活で必要なあれこれを持ち運び、そのたびにバッグの中で必要なものを探しています。
これまでの収納ポーチや機器専用のケースの問題点は、ケース自体がバッグの中でかさばって、重いこと。また入れ替わりの多いデジタルデバイスでは、その都度、ケースを用意しなければなりません。
バッグの中でかさばらず、計量で使い勝手の良いケースを作ることはできないだろうか。そんな着想から、古くからの繊維産地である新潟県栃尾地域で、20年近くベストセラーを続けている「ほぼ日ハラマキ」を製造する町工場の技術によって生まれたのが、まったく新しい収納ツール「_go(アンドゴー)」です。
伸びる、簡単、瞬間パッキング。360度あらゆる方向に伸びる新素材で作られた「_go」は、サイズの異なるデジタルデバイスやそのアクセサリー、ケーブル、生活の中のいろいろなモノを包み込みます。
ひとつわずか10グラム前後と、驚くほど軽い。しっかり伸びてフィットするので、機種が変わるごと、持ち歩く内容が変わるごとに専用ケースを用意する必要もなく、洗って乾かせばきちんと伸びが戻る。たった一本の糸から編まれた収納ツールです。
高度な繊維技術、染色技術、そして先進的な新潟県・栃尾のニットづくりから生まれた「_go」というこれまでにないプロダクトについて、デザイナーの宮田里枝子さん、ニットエンジニアの白倉重樹さんにお話をうかがいました。
宮田里枝子(DESIGNTALK)さん
白倉重樹(株式会社プラグノーツ代表取締役)さん
- この製品をつくる、きっかけとなった出来事を教えてください
白倉 PCのアダプタ、ケーブル、モバイルバッテリーなど持ち歩くメインのプロダクトが増えるたびにその付属物も増え、それらが小さめのバッグでもしっかり収まる方法を探し続けてきました。
メーカーはそれぞれの専用ケースやバンドは作っていましたが、それらはそのプロダクトのことしか考えておらず、とてもかさばりました。私はエンジニアです。無いのならばつくりましょう。そのための素材と技術についてずっとずっと考え続けてきました。
デザイナーの宮田さんと会って、それを形にすることを決心しました。それが「_go」をつくることになったきっかけです。
宮田 ニットエンジニアの白倉さんが開発した「_go」の元となる素材サンプルを見せてもらったことがきっかけです。めちゃくちゃ伸びて丈夫な素材を作ったが、ケーブルやガジェット類を包むのに使えないかという相談を受けました。
私自身も日常的にノートPCやタブレットを持ち歩きますが、ケーブル類のうまい収納方法が見つからず不便を感じていたのでこの問題に取り組んでみたいと思いました。
- 最終的な製品の形状やデザインが出来上がるまでに気をつけたことを教えてください
白倉 エンジニアとしては、どんなユーザーが使ってくれるかが一番の関心でした。形、素材、色などを決めることはユーザー層を絞ることです。どんな人がどう使うのか?自分たち作り手が想像できていない使い方があるのではないか?そういったところに一番悩みました。
「_go」は主役のプロダクトではありません。大事なものを包むものです。ユーザーが何を包もうと考えるか?この素材と技術でそれが満たせるのか?そこが一番気をつけたところです。
宮田 ニットというと衣類や靴下が想起されやすいため、それらとは一線を画する「プロダクト」としてのたたずまい、使い心地の実現を目指しました。また、ケーブル類を包めるだけでなく、ユーザーのアイデア次第でさまざまなものを包むことができる汎用性のある形状を追求しました。さらに、中身が出し入れしやすい仕組み、ケーブルに負荷がかからない包み方、かさばりにくさ、持ち運びやすいかたちを追求した結果、CIRCLE、OVAL、SQUAREの3種類が出来ました。カラーは明るいもの3色とグレー系2色の5色展開にしました。
できるだけ最小限の素材で作ることにもこだわりました。気軽に使え、汚れたら洗える素材です。最後には雑巾として使えますし、燃えるゴミとして廃棄できる点は環境にも配慮しています。パッケージデザインも最小限の大きさのクラフト紙で作りました。
- この製品で使われている素材について、エピソードはありますか?
白倉 古くからの繊維産地である新潟県栃尾地域にある小さな町工場のみんなと「1から」考えました。世にストレッチ素材はたくさんありますが、「伸びる」は簡単でも、「きちんと戻る」のは実はむずかしいのです。伸びきってはいけないということはこの素材開発の大きなハードルでした。そのために染色、撚糸、編立の全ての工程を見直して独自に作った専用素材です。作り手として、世界中で自分たちにしかできないものができたと思っています。
宮田 「_go」はたった1本の糸で編み上げられています。通常はこういうかたちを実現しようとしたらいくつかのパーツを作って縫製で繋げて立体にします。
1本の糸だけで作られているメリットは、360度あらゆる方向に伸びて様々なかたちのものを包みやすいこと、洗濯してもほつれにくいこと、伸縮性を復元できること、廃棄時に燃やせることなどです。一見単純に見えるこのプロダクトは新潟県栃尾地域の職人の技術が掛け合わさって実現しました。
- AssistOnのお客様にメッセージをお願いします
白倉 とにかくたくさんのモノを入れてみて欲しいです。お持ちのケーブル類やモバイルバッテリーはもちろんですが、衣類や金属モノやメガネなど、持ち歩く物をいろいろ入れてみて欲しいのです。そういうことができるように丈夫で、軽くて、洗って乾かせば伸びが戻るように作りました。あなただけの使い方があったら是非おしえてください。
宮田 学生の頃から当時原宿にあったAssistOnに客として通っていました。当時買ったもので印象に残っているのはカメラバッグです。機能性もさることながら、見た目のデザインやカラーに気が利いていて使っていて楽しい気持ちにさせてくれました(今も現役で愛用中です)。この度、AssistOnを支えるモノラバーな方々に「_go」をご紹介いただけることをとても嬉しく思います。どうぞよろしくお願いします!
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