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コロナ禍で学ぶ災害支援とチーム医療-最前線を支える心理職の現場レポートから学ぶ-

2020年3月。
日本赤十字社が発行した「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~」というガイドブックをご存じない方は支援職では少ないのではないだろうか。

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この日本赤十字社が刊行されたガイドブックは、新型コロナという未知の感染症に対して、支援職がどう向かい合ったらよいかという方向性を示してくれたように思う。

本研修の講師は、このガイドブックの作成者のお一人である日本赤十字医療センター メンタルヘルス科 公認心理師・臨床心理士の秋山恵子先生だ(以下、先生ご本人のご希望のため、敬称は「さん」で表記します)。

〇心理職は不要不急の存在ではないかという問い

新型コロナが世界中で拡大をし、日々感染者が増大していき、マスクや防護フィルムなしに人と会話をすることすらできなくなっていく中で、人と出会うことが仕事の始まりである我々心理職のこころにはこのような問いが脳裏をかすめたことだろう。

「コロナ禍の中で心理職は一体何ができるのか」
「心理職は不要不急の存在ではないのか」

医療現場の最前線で働かれる秋山さんも、この問いにぶつかられたという。

秋山さんがコロナ対策に関わられることになったのは、2020年2月。
まだ日本国内の一般社会では「コロナの脅威の真偽」が疑われていたころだ。

そこから2021年1月現在までの約1年。医療現場の最前線では一体どんなことが起こり、そして、その中で心理職として何を目指したのか、そして、今とこれからについて、第一線に立たれている秋山さんに現場レポートを中心に語っていただく事が本研修会の趣旨である。

未曾有の大災害と言われる新型コロナウィルス感染症の拡大。講師の秋山さんは、この緊急事態の中で前述したガイドブックの作成のみならず、先行して刊行された「新型コロナウィルス感染症に対応する職員のためのサポートガイド」の作成にも当たられ、2020年4月には最前線で働く医師や看護師をバックアップするべく、職員のための後方支援体制を築くためにスタッフサポートチームの構築にも従事され、その活動は現在も継続している。

研修会に先駆けて秋山さんにお時間を頂き、Assembleではインタビューをお願いしたが、その時にこの職員のためのサポートガイドについてお話を伺った際、こう語られた。

『(前略)組織に働きかけることが個人を守ることにつながるっていうことがあると思っていて、そして、フロントライナー、つまり最前線にいる人をどう孤立させないでいけるのかっていうことが心理社会的支援という文脈においても重要だと思っているので、あの二つ(サポートガイドと3つの顔を知ろうガイドブック)を1年前に出せたということは割と大きな意味があったかなと、今、振り返って思います。』

〇二つの大災害におけるチーム支援から学ぶ

 この言葉の裏には、10年前に日本で起こった、同じく未曾有の大災害と評される、東日本大震災の災害支援でのチーム支援の経験がある。

2011年の東日本大震災が起こったその年、秋山さんは日本赤十字医療センターに入職をされた。その際は東京都内に設置された避難者のための2次避難所で保健師と共に健康相談に当たられたという。この時の経験から支援を考える際には「こころとからだをセットで見る」という視点がすでにご自身の中にはあり、この経験から心理職一人で出来ることは少ないが、看護師や保健師など支援職でチーム支援をすることの有効性を実感されたとの事だ。

〇未曾有の事態だからこそ、皆で一緒に知恵を出し合う

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 チーム支援を行うのは、医療現場に限ったことではない。
 教育、福祉、司法、産業。心理職がかかわるすべての現場において、関連職との協働が必要になる。一瞬一瞬の判断が人の命を左右する医療現場において行われるチーム支援は、現実として「人の命の危機」に関わってくるというその責任の重さにおいて他の領域に類を見ない。

 だからこそ、緊急事態におけるチーム支援の在り方の工夫は、今、全ての支援職が知るべき示唆が多く含まれているのではなかろうか。本研修会の狙いの2つ目は、このチーム支援の在り方を学ぶことだ。ただチーム支援と一言で表しても、それは一朝一夕にできることではない。そのためにどんなことに配慮をし、どんな工夫を凝らせばよいのか。ワンチームになるために、何ができるのか。大災害の中でのチーム支援を二つも経験されたからこその技がそこにはあるだろう。


〇心理臨床家「秋山恵子」の仕事から学ぶ

 さて、新型コロナについて特別企画と銘打たれ、特集を組まれた2021年1月刊行の『こころの科学215号:コロナが変える社会とこころ』を皆様はもうお読みになられただろうか。

 講師の秋山さんはこちらにもこの1年での活動の様子を『心理臨床の危機と回復』と題して執筆をされている。研修会に参加される方にはぜひ一読されることをお勧めしたい。
 そうすれば、この研修会がどれほど意義深いか、そしてこの「秋山恵子」という心理職がこの一年行ってきた支援が、どれほど多くの人のこころを支えたかがお分かりいただけるだろうし、それが何より本研修会の講師に立たれる秋山さんのお人柄をよく理解して頂けると思う。 

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 研修会では第3波の真っただ中で、最前線におられる秋山さんの生の声で語られる、コロナ禍における心理臨床の在り方の本質をぜひとも聞いていただきたい。そして心理職だけでなく、人を支える仕事に携わるすべての支援職に秋山さんの言葉に触れて頂きたい。そこには支援職が自身に力を入れすぎず、しなやかに人と出会うエッセンスが多分に詰まっている。そのため、今回の研修会の参加対象は「対人支援に携わる方すべて」としている。

 きっと研修会で語られる秋山さんのことばに、多くの方が「明日も現場に立とう。また出会う人のために」と、エンパワーされ、自身の仕事に誇りと自信を持って日々に向かい合うエネルギーを得られる事だろう。

*参考資料:本文中に紹介した日本赤十字社のカイドブック*

新型コロナウイルス感染症対応に従事されている方のこころの健康を維持するために

新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~

【研修会詳細】
2021/2/20(土)19時-21時(録画視聴期間 2/27~3/27迄の1ヶ月)
当日参加/録画視聴 2800円
※両方 4500円 +PDF配布 500円
※ご友人紹介チケット500円引き(両名とも)

対象:心理/福祉/教育領域などの対人支援職や学生
場所:zoom 申込締切:2/13(土)23:59

申し込みはこちら

災害支援1枚チラシ


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