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詩 _ 「透明な八月」

セミが鳴いている
太陽の音みたいに鳴いている
呼吸をすると八月がわたしの体を出たり入ったりする

透明なボウルに氷をカラカラといれる
水を注ぐ
いっぱいになるまで

透明と透明がいっしょになった
透明は八月のなか

両手をいれてみたら
つま先へ真冬が流れていった

セミが鳴いている
太陽の音みたいに鳴いている
手のひらは八月から逃れている

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