詩 _ 「抗う」
流れに抗いきれずに
落ちていった
ここは滝壺のなか
底はあるのかまだ知らない
くぐもった水の音
すべてのことを巻き取るような水流
もっていた苦しさは
落ちていく間に水にとけていった
あんなに必死でふるい落とそうとしても
痛いぐらいにしがみついていたのに
苦しみはどこからどう生まれるのだろう
いつだって底までまだ距離があって
だけどそうは思えなくて
孤独が近づいてくる
もともと滝壺のなかにいたように
投げ出したくなるのは事柄か感情か
なぜふたつはつながるのか
何を恐れているのかたどってみると
ひとりだったのだと自覚する
もうだれも知らないところまできたから
何もかもから手を離す
抗うことをやめれば
きっとそこは静寂のなかの
新しい場所
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