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赤い傘

今日は学年末テストの最終日。
このところ遅くまで机に向かっていて、毎朝起きると数字の33みたいな目になっていた娘だったが、今朝は晴れやかな顔。午前中で終わるので久しぶりに友だちと町をぶらぶらして、おしゃべりしてくるとのことだった。

小腹満たし用のおにぎりだけでいいというので、お弁当の準備時間分だけわたしも早く支度が終わる。
一緒に家を出た。今朝はすこし寒いねと言いながら歩く。それでも娘はマフラーを巻かずに手に持って、傘をさしている。小雨が降っていた。
入学式の朝もほんのすこしぽつんぽつんと雨が降りだして、あのときは赤い傘を持って家を出た。
桜の木の下で撮った写真。
写真を撮るからと、たたんで手に持った傘の赤が紺色の新しい制服に映った。

電車待ちのホームで片足を持ち上げて、教科書やノート、水筒などもろもろでパンパンの通学鞄を、よっ!と腿に乗せ、慣れたしぐさでファスナーを開く。たくさんあるプリントの中から器用に目当てのものと、暗記用の赤シートを取り出し、またうまい具合にファスナーを閉じた。その間15秒くらい、片足立ち。

プリントに集中し始めた娘の横顔を見ながら、あの赤い傘は何処へ行ってしまったかなあと考えていた。


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