きっかけ 3

妻が帰ってきた。妻もそんなことがあったとは知らず、「ただいまー」と言うと帰宅後の片付けを始めた。僕は妻に声をかけて話そうとするがうまく声が出ず子供を抱いて妻の後をついて行った。そんな僕の様子に違和感を感じたのか妻が「どうしたの?」と不審そうに僕に尋ねた。そこでやっと「〇〇が死んじゃった…」と小さく言葉にできた。その途端堤防が決壊したかの様に涙が溢れ出てその場に崩れるように座り込んだ。妻も「えぇ!?どうして?ホントなの!?」と驚いていろいろと聞いてきたが、僕もほとんど情報がなく「分からない…」と言うばかりだった。その後妻は子供の諸々の世話を済ませて寝かし付け未だ動けずに座り込んでいる僕の隣に来て寄り添ってくれた。日付も変わろうとする頃、連絡がつかなかった親友から電話が来た。

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