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小学生の頃の仕事

私は小学生の頃、毎日仕事があった。

お風呂を洗って、水をはり、薪を焼べてお風呂を沸かす。それが私の仕事だった。

台所では姉達が母の手伝いをしている。
末っ子の自分は、ばぁちゃんとお風呂を沸かす。お手伝いと言うよりは、毎日の私の役割だったので、仕事なのかなと思う。

私はその仕事がスキだった。たぶん。
毎日、学校の帰り道に落ちている茶色くなった杉の葉を拾って帰る。
その杉の葉と小枝や薪を風呂釜に入れて火を付ける、じいちゃんが作った竹筒を一生懸命吹いて、火を起こした。
薪の積み方とか工夫しながら自分なりに頑張った。
雨の日は、中々火が付かなくて苦労したりもした。
子供なりに、お風呂を沸かす事は自分の仕事だと一丁前に責任を持っていたので、杉の葉を拾っているのを上級生の男の子にバカにされても気にしないでいた。

火が燃える。

それをずっと見ているのがスキだった。
チラチラ燃える火をずっと見ていた。
パチン と火が爆ぜるとちょっとビクッとしながら。

「もう、ええよ」
ジィーっと、風呂釜の前に居る私にばあちゃんが言う

ずっと風呂釜の蓋を開けてると、ばあちゃんに怒られるので、時々、開けては木を焼べて
またじいっと火をみつめる。

夏はすごく暑いけど、冬はとても暖かい。

お風呂を沸かし終えて、木が燃え尽きると炭が出来るので炭鉢に炭を入れておく。 
これで、一通りの仕事は終わり。

お正月などに都会から親戚の子が来ると、自信満々に火の燃やし方を教えていた。

中学生の頃になると、家の方も少し便利になったのでガスで沸かせるお風呂になった。
私の仕事も無くなった。

社会人になってから私はずっと働いている。
普通の会社員で特に自慢出来る仕事でも無い。
やりたい事を仕事にしている訳でも無く、生活の為に仕事をしている。
小学生の頃、楽しかったのは、何故だったのだろう。と考える。

多分、上手だねと褒めてもらえたし、喜んでくれる人が居た、単純にスキだったんだろうなとも思う。

先日、美容室で見た雑誌で、有名な人の記事を読んだ。
そこには、深く考えないで、何でも一回挑戦してみたら良いと書いてあった。何でもいいと。やらなきゃスキかどうかは分からないから。楽しく無ければやめて次を探したら良いと。

今更、今の仕事を変わる事はないと思うけど、
死ぬまでには、誰かに喜んで貰えて、自分が楽しくて、自慢出来る仕事を見つけたいなぁ。

人生はもう少し残っているので、
コロナでちょっと時間に余裕が出来たので、
今からでも夢中になれる「何か」を見つける旅にでようかな。

見つけられたらラッキーくらいな気持ちで。

#はたらくってなんだろう #思い出 #仕事
#人生

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