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【絵本レビュー】 『さかさことばでうんどうかい』

作者/絵:西村敏雄
出版社:福音館書店
発行日:2015年6月

『さかさことばでうんどうかい』のあらすじ:


がんばりやのゴリラ、悲劇に見舞われるキリン、玉入れでいかさまをするイノシシ、華麗な舞を披露するウマ、意外な走りを見せるブタなどとぼけた動物たちがくり広げる運動会。どれも憎めない動物たちです。

『さかさことばでうんどうかい』を読んだ感想:

さかさことばが楽しい時期ってありますよね。うちの4歳児にはまだちょっと早いかなあ。私が子供の時のさかさことばブームは小学校の1、2年生の頃だったから、息子がキョトンとしていても気にしない、気にしない。

私は一人っ子で、友達のほぼいないとても年配の父に育てられました。本や新聞を読むのが好きだった父は、年齢的なものもあったでしょうが、難しい言い回しやことわざをよく使いました。聞いた言葉は使ってみたくなるたちだったので、同じくらいの年齢の子たちに「慌てる乞食は貰いが少ないんだよ〜」とか「朱に交われば赤くなるだもんね〜」などと言って、かなり引かれていたような気がします。

それもあってか、学校以外では大人と話すのが好きでした。大人だったら私の言っていることもわかってもらえるし、時には「そんな難しい言葉知ってて偉いわねえ」なんて褒めてももらえます。だから公園などに行ってもいつも大人を探していたように思います。今息子を公園に連れて行くとまっすぐにお母さんたちの方に歩いて行って話しかけ始めるので、恥ずかしいと言うか、せっかく一人でいるのに知らない4歳児の相手をしなくてはならなくなったお母さんに同情してしまうのです。そして真剣に話し込む息子を見て、うちの両親もこんな気持ちだったのかなあと今更ながら当時の私自身のことを考えます。

それはともかく、海外生活も20年を迎えようとしている中、ようやくこの数年日本語の面白さに気づき始め、大和言葉の本や詩集を買ったりしています。息子が立派に話せるようになった時言い負かされないよう、今から腕を磨いておきます。

『さかさことばでうんどうかい』の作者紹介:

西村敏雄
1964年、愛知県生まれ。東京造形大学デザイン科卒。インテリアとテキスタイルのデザイナーとして活動後、絵本の創作を始める。第1回日本童画大賞優秀賞受賞。絵本に『バルバルさん』『もりのおふろ』『どうぶつサーカスはじまるよ』(福音館書店)、『どろぼうだっそうだいさくせん!』『もじもじさんのことば劇場 オノマトペの巻』(偕成社)、『そこにいますか―日常の短歌』(岩崎書店)、『うんこ!』(文溪堂)、『どうぶつぴったんことば』(くもん出版)他多数。


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