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【絵本レビュー】 『せつぶんだ まめまきだ』

作者:桜井信夫
絵:赤坂三好
出版社:教育画劇
発行日:2000年12月

『せつぶんだ まめまきだ』のあらすじ:


昔、冬から春へと季節が変わる頃に、人々は豆をまき、いわしを焼いてその頭をヒイラギの枝にさして、悪い鬼を追い払うことを始めました。そんな節分の行事の由来をお話で。

『せつぶんだ まめまきだ』を読んだ感想:

今週は節分だったので、鬼スペシャルと題して鬼の出てくる絵本を読みました。この絵本はまめまきの由来を説明したものです。

「鬼は外 福は内」は皆さんもよく知っていると思いますが、「鬼は内」というところもあると知りました。確かに悪い鬼ばかりではないので、いい鬼にはうちにいて欲しいですよね。

うちの父はなぜか節分が好きで、毎年私に豆の入った袋をもたせて、あっちにまけだのこっちにまけだのと家中を連れて周りました。それがすっかり終わると年齢と同じ数だけ豆を分けさせられ、「食べていいぞ」というとさっさと自分の部屋へ引き込んでしまうのが常でした。私の楽しみは豆を食べることと、翌日玄関先や庭に散らばった豆を靴で踏むことでした。食べ物を踏んでいるという罪悪感と、パリパリという感触がなんとも言えず楽しかったのを覚えています。

絵本の子供たちもそうでしたが、私ももっと豆が食べたくて、「早く大きくならないかなあ」と思っていました。袋に入った豆はさっさと片付けられてしまうので、両親が見ていない時にこっそり絨毯の上やソファーに落ちた豆を食べることもありました。でも今考えると、特に味もない豆がなんであんなに美味しく感じたんでしょうね。

今年の我が家では、日本の母とビデオチャットをし、ママ友達から感化されて作ったオムレツとスパゲッティの鬼に母が画面の向こうから豆を投げる、というなんとも不思議な節分を行いました。豆まきもバーチャルな時代なんですね。

『せつぶんだ まめまきだ』の作者紹介:

桜井信夫
1931年、東京生まれ。日本の詩人・児童文学作家。 妻は児童文学作家の中島信子。 ... 1999年に長編叙事詩集『ハテルマシキナ よみがえりの島・波照間』で第29回赤い鳥文学賞、第39回日本児童文学者協会賞、第3回三越左千夫少年詩賞特別賞受賞。 日本民話の会会員。2010年逝去。

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