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【絵本レビュー】 『こんぶのぶーさん』

作者/絵:岡田よしたか
出版社:ブロンズ新社
発行日:2013年3月

『こんぶのぶーさん』のあらすじ:


まんざいしをめざすことにした、こぶまきのぶーさん、相方オーディションをひらきます。めざしに、あずき、ゆでたまご、モンブラン。なかなかぴったりの相方はみつからなくて・・・。

『こんぶのぶーさん』を読んだ感想:

漫才に初めて出会ったのは小学校の低学年の時、祖母の家でした。前にどこかで書きましたが、うちはテレビが禁止で、父が見るのもニュースか動物のドキュメンタリーくらいだったので、漫才というものすら知りませんでした。祖母の家に行くのは年二回、お盆とお正月だったので、漫才との初めての出会いもその時だったと思います。

学校の体育館の舞台をちょっと豪華にしたようなところに1本マイクが置かれ、大抵二人組の漫才師が出てきて話をするというものでした。関西弁を聞いたのもその時が初めてだったと思います。舞台の一人はもう一人を怒鳴りつけたりぶったりしてして、私はただただびっくりするばかりで、伯父や伯母がどうして笑っているのかよくわかりませんでした。でもそのあとクラスでみんなが「なんでやねん」と言って軽く叩いている理由がわかり、なんだか私もみんなの仲間入りができたようで嬉しかったです。それまでの私はテレビに関しては、まるで火星人並みの外れようでしたからね。

そうはいっても年二回のテレビ鑑賞では全くみんなに追いつけず、結局火星人は卒業できなかったのですが、それから何年も経ち今の旦那に出会った頃、テレビっ子だった彼はガンガンテレビネタを振ってきました。しかも南米のコメディ番組。ぽかんとしている私に「知らないの?」と真面目な顔で聞く彼。それでも懲りずに南米ジョークを投げてくるのですが、さっぱり笑えません。ある日「私たちさ、ジョークの観念が違いすぎるよね」と言ったのです。ところが彼はそれすら冗談と捉え、ケラケラワラシ出すではありませんか。「なんなんだこいつ」と思ったことは顔に思いっきり出ていたらしく、彼はさらに笑います。その後しばらくしてから会った弟にもその言葉をそのまま伝えていたので、よっぽどツボにはまったものと思われます。

そのあと一緒に住みことになった時、私はテレビを持たないことにしました。今はYouTubeでなんでも見れるので、彼はよく懐かしの南米コメディを見ているのですが、最近では私の笑いのツボを少し理解したようで、私好みのコメディアンがいると「見て見て!」と呼ばれます。私が笑うと満足そうにしているので、残り90%のジョーク観念の違いは、まあ大目に見てあげることにしましょう。

『こんぶのぶーさん』の作者紹介:

岡田よしたか
1956年 大阪生まれ。 著書に、『おーい ペンギンさーん』『特急おべんとう号』(福音館書店)、『ちくわのわーさん』『こんぶのぶーさん』『うどんのうーやん』(ブロンズ新社)、『ハブラシくん』(ひかりのくに)などがある。奈良県在住。 2012年『ちくわのわーさん』(ブロンズ新社)で、第3回リブロ絵本大賞を受賞。


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