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【絵本レビュー】 『キスなんてだいきらい』

作者/絵:トミー・ウンゲラー
訳:矢川澄子
出版社:文化出版局
発行日:1974年3月

『キスなんてだいきらい』のあらすじ:


子ねこのパイパーは、ママに言われることにはなんでも反対します。ママのやさしいキスまで大嫌い! 反抗期の子どもの心理をうまく描きます。

『キスなんてだいきらい』を読んだ感想:

題名に惹かれて手に取った一冊です。というのも私は大のキス好きなのです。だから、「ええっ、なんでよ?」と気になって取ってしまったというわけです。

私の家ではキスは割と普通のことでした。しょっちゅうするわけではないけれど、おやすみのキスは小学校6年生まで毎晩行われていました。うちはテレビが禁止でその代わりに洋画をほぼ毎日見せられていたので、キスが特別だとは気づいていませんでした。それが高学年になって友達の家にお泊まりをするようになり初めて、他の家の様子を知ることとなったのです。いとこの家に遊びに行っても、伯父や伯母がいとこたちを抱きしめていることさえありませんでした。今でこそ子供にキスをしたり抱きしめたりする両親は増えてきているようですが、当時はまだまだ少なかったのかもしれないですね。

今息子は4歳で、「ママ、ママ!」とキスも持ってけ泥棒状態でしてくれます。私の顔を小さくて暖かい(というより熱いよ!)手で挟み込み、顔をじっと覗き込んで顔中に盛大に「ちゅうううう」としてくれます。あんまりにも真剣な顔をしているので、私は笑わないように必死で違うことを考えようとしますが、目をそらすと怒られるのでなかなか難しいです。

これが「キスなんてだいきらい!」とゼロ状態になるのか。。。と思うと、息子との毎日のキスがとても大切な瞬間のように思えてきました。「道で名前呼ばないでよね!」なんて言われるようになった時、「小さい時うんと楽しませてもらったからいいもん」と思ってカラカラ笑うことができるよう、今のうちにたくさんしてあげて、そしてしてもらっておこうと思うのでした。

『キスなんてだいきらい』の作者紹介:

トミー・ウンゲラー(Tomi Ungerer)
1931年フランスのストラスブール生まれ。1956年にアメリカに移住し、画家・漫画家・絵本作家や広告美術など幅広く活躍。ヘラルド・トリビューン賞、国際アンデルセン賞画家賞等を受賞。主な絵本に、『すてきな三にんぐみ』(偕成社)、『ぺちゃんこスタンレー』(あすなろ書房)、『へびのクリクター』(文化出版局)、『ゼラルダと人喰い鬼』(評論社)などがある。



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