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美容師を一生楽しむために

熊本市東区で長い事美容室を経営していて
本当に毎日楽しいんですよ

51歳美容室オーナーがどのくらい楽しいかって?
いーーーっぱい楽しい(笑)
それはお金がメチャクチャ稼げるって事ではないんです

「美容師としての生き方」の自分なりの考えです
美容室をオープンしたけど、思ったのと違った
美容師になったけど、周りが良く見える

そんな、ちょっと「美容師ってどうなの?」
って方々に読んで頂けると幸いです


新人美容師時代

今でこそ美容師というお仕事が大好きで
このお仕事につけて本当に良かったって言っていますが
30年以上美容師をやる中で、ブレブレになる事もありました

「また、おじさんの昔話か」などと言わず、どうか最後までお読みください
両親が美容師だった事もあり、中学生の頃からお店のお手伝いでシャンプーやお掃除をしていましたので
「僕は美容師になるんだろうなぁ」
「なんとなくオシャレそうだし、まっいっか」
なんて軽い動機で高校生の頃から通信教育で美容学校に行きます

その後県外の美容室に入社
朝8時から練習含めると22時までお仕事
休日はセミナー、お給料は6万円なので「生きる事」以外は何も出来ません
最初の一年は遊ぶ暇も無いし、友達と交流も出来ないし
「社会人ってこんなもんなんかなぁ」って思いながら必死でお仕事していましたが、帰郷した時に大学生になった友人達が楽しそうに毎日学生している姿を見てビックリしました

え?!そんな風に生きても良いの?
メッチャ楽しそうだし、俺のお給料バイト代より安いし
えー!うらやまし過ぎるんだがっ!!

って、そんな時に限って更なる試練が来ます
先輩から叱られたり、お客様からクレームを受けたり
なんだこれ、頑張っても報われない毎日全然楽しくない
先輩もいちいちうるさいし、遊ぶ時間もない
えーい!美容師なんてクソツマラナイお仕事辞めちゃえ!!
って、親にも相談せずに社長の家にピンポンしに行きますが
今となればお陰様で軽く説得され美容師を辞めることは出来ませんでしたが
「美容師というお仕事」に対する不満は残ったまま

じゃあ、頑張って技術覚えてお給料上がるように話してみよう
誰にも負けないように誰より練習しよう
先輩が邪魔だから先輩より出来る美容師になろう

そう決めて「負けず嫌い」全開で美容師に取り組みます
大きな間違いの始まりです

勝った負けたのお仕事

まずは職場の先輩達
そして、周りにいる美容師さん達「勝つ」為にそれなりに努力して
コンクールなんか出ちゃったりして賞をもらうと嬉しくって
先輩よりも沢山のお客様が欲しくって異常なまでの自己アピール

新しい技術があれば積極的にセミナーに行き取り組んで
新しい商品があれば買いまくって色々と検証して販売

そして自分が「良い美容師」になってるんだなと実感し
キャリア10年目になると僕は王様みたいになっています

王様はすでに誰からも学ぶことが無くなったので27歳でお店を出します
熊本市東区に今も現存する「age(アージュ)」という美容室です
スタッフが入ってきてからはとにかく厳しくしたように思います(たぶん)
自分と同じように昼夜問わず努力を重ねて良い美容師になって欲しかったからです(これは本当)
王様ですから僕が言っていることは絶対で反抗は許しません
順調にお店も忙しくなり

と、言いたいのですが経営はお世辞にもあまりいい状態では無かった
スタッフに「もっとがんばれ、もっとがんばれ」って言う
自分に「もっとがんばれ、もっとがんばれ」って言う
どんどん美容師が辛くなりました

ずっと喉が渇いてる感じ
ずっと不満を持ってる「まだまだ」って
ずっと不安に思ってる「負けたくない」って

やっとスタイリストになれて、それなりにお客様を担当する事も出来て
借金してお店まで出して「望んでいる自分」になってきているはずなのにゴールが全く見つかりません

美容師ってずっと時代と流行に合わせて努力してそれが何なんだ?
これずっと続けていくのか?  だる
という葛藤の中で美容師第二次反抗期がやってきて楽しくなくなります
もーそれなりに成果も出たし、やめよっかなーって
他の仕事も休み多いし給料高いし楽しそーだなーって、、、

本当に失礼な思考ですみませんでした

アージュなりの「美しいコトとヒト」

大前提として伝えておきますと
僕は「負けたくない、もっと良くなりたい」という気持ちや
「努力を積み重ねていく事」に関しては全く否定していません
むしろ楽しいのであれば練習なんて昼夜問わずやっていくべきだと思っています

大事な事は「自分の為」なのか「お客様の為」なのか
その違いが当時の僕の反抗期の原因
飽くまで僕の経験からくる意見に過ぎないのですが
仕事って自分の成果の事ばかり考えていても、最初は良いんだけどいつか楽しくなくなります
だって見てるのが自分しかいないんだもん

これが「お客様」をよくする事に
もっと言うと「お客様の生活をよくする事」に自分の仕事が多少でも絡んでいるという事になると話が全然違ってきます
だって沢山の人達を見ることで自分の技術の幅が広がる

こないだのパーマ良かったよ
ヘアカラーめっちゃ良くてテンションあがっちゃった
カットが良かったから朝の時間が楽になった

毎日ありがたい事に魔法のような言葉を頂き意欲が湧きます

パーマ良かった?嬉しいわー
パーマって人によって好みも似合い方もセットの考え方も違うから
ピタッとはまるパーマかけれるなんて奇跡だね

ヘアカラーでテンション上がった?
雰囲気に合うかなーって思ってやったんだけど
思い切ってやってみて僕も良かった!

スタイリングに時間かけるって朝は本当に大変なんだよねー
仕事が出来る忙しい人の朝の時間は宝物だから
その時間頑張ってお仕事して社会貢献してね!!

そう
僕たちの「美容師」って言うお仕事は
お客様の人生の一部に喜びや豊かさをプレゼント出来る特殊な仕事

お客様の魔法の言葉を頂いて
お客様が喜ぶ魔法をヘアスタイルを通して提供出来ること

こんなに美しいお仕事は無いなと思います
これがアージュなりの「美しいコトとヒト」
そしてアージュが出来る最大の社会貢献は「寄り添い人を彩る人になる」ことだと思い経営理念にしました

お客様の日常にこだわる為に

「今の若い子は」って言いますけど
ちょっとその前に考えて欲しい事があります

昔「今の若い子」だった頃言われたことありませんか?
「ゆとり」とか「新人類」とか「戦争を知らない子供たち」とか
面倒くせぇなぁと思います

たぶん平安時代以前からずっとこのワードは使われていて
恐らくあの頃だったら「これだから鎌倉産まれは」なんて言われて
若い人達はいつもこの「これだから」に傷ついてきたことでしょう
人類を代表して謝ります。ごめんなさい

それはさておき、お陰様でアージュ美容室は忙しくお仕事をさせて頂き
去年から少しづつ若いスタッフが増えました
毎日、楽しそうにお仕事してくれて何よりで
同時に「どんな美容師になっていくんだろう?」と見ていてワクワクしています
まずはお掃除やシャンプー等から始めるのですが
新しく入ったスタッフは一生懸命にお掃除します
「このお店を綺麗にしなきゃ」って
でも一生懸命過ぎてお掃除をやる時の音がガシャガシャ聞こえる

僕は「営業終了間際にスタッフが必死でお掃除してたらどう思う?」
って聞きました
すると「お客様が早く帰って欲しいのかなぁと思われちゃいますから、気を付けます」

って!!
きゃーーーーー!!

何よ!!

な!に!よ!!!

誰よ!!

だ!れ!よ!

「今の若い子は」って言ったやつ!
きちんと理由と考え方を伝える事が重要で
「何も考えてない」なんて一切思っていません
同じ美容師を目指すナカマですから
表現の仕方が違うのとまだ知らない事が多いだけなんです
だって僕もそうでしたから

なんて、エピソードはさておき
アージュは「技術者」である前に「寄り添える人」になるべきなんです
「寄り添えるための武器」として「技術力」はもちろん必須なのですが
それ以上にちっちゃい頃に教えてもらった
「自分がされて嫌な事は人にしない事」も接客上重要な一部かもしれません

アージュ美容室がお客様の日常に寄り添う美容師にこだわりたいと思うのは
結局の僕の葛藤と過程の結果かもしれませんが
毎日お客様が嬉しそうに美容室に来てくれる
自分の家族や大事な人たちを紹介してくれる
そして今、その中でスタッフが「寄り添うために」楽しそうに練習している

そんな様子を見ていて
ああ、間違ってなかったなぁ、美容師って素晴らしいなぁ
って本当に思います

最後まで読んで頂いてありがとうございました

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