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サロン帰りのヘアスタイルを日常に

どんな客層ですか?って聞かれると困ります
だって30年以上美容師やってて、25年オーナーやってますから
強いて言えば、色んな人達が来てくれては僕を楽しませてくれますから
うちのサロンの客層は「気持ちのいい良い人達」です

「○○系美容室」ってあった方がお客様もお店を選びやすいだろうし、そんなのがあればスタッフだって働きやすいのかな?
そう思いブランディングをお願いしたりホームページを作ってもらったりして、自分達がやりたいことを言語化して少しづつスタッフやお客様にも浸透してきたのかなぁと思います

age美容室が大事にしている事は「一人一人の日常に寄り添い、サロン帰りのヘアスタイルを日常にすべきだ!」という事なのですが
そもそもこれは長年美容師をやってきた僕の中の「違和感」から産まれてきました

今回は「スタイリストを目指して頑張っている美容師さん」「自分で上手にセット出来ないと悩んでいる方」に読んで頂けると幸いです

美容師のヘアセットの覚え方

美容師になるとまずはシャンプーを習い、ヘアカラーなどをやりつつ
もちろんお店によって違いはあると思いますがヘアセットを習いだします

ヘアセットには結婚式の時などに行う「アップスタイル」と
カット後に行う「ブローやアイロンワーク」がありますが
この「ブローやアイロンワーク」を習いだすといよいよ美容師として
「形」を創るコトが出来るようになりだすのですが
まあ、これがそう簡単ではなく先輩にはシコタマ怒られました

先輩のカット後に僕がブローする

先輩は僕のブローが気に入らないので濡らしてやり直す

お客様が帰った後に注意を受ける

って
これ3回くらいループしちゃうと先輩は僕にパスを出してくれなくなります
「どうせあいつに渡したってシュート外すやろ」って無視されます
それで、練習せずに帰ろうものなら先輩ってそういうのはしっかり見ているのでこれは練習するしかない!

ドライヤーの角度、ブラシの持ち方、ブラシの角度、パネルの取り方、アイロンの温度、毛先の逃がし方、ダッカールの止め方!!!!

なんて同時に色々と考えながら学ぶと道具に手が慣れてきます
おっとデンマンブラシちゃん、昨日まではずっという事聞いてくれなかったのに今日はどうしたの?!まるで自分の指のようだよっ
おおっとアイロンさん!昨日まで僕のこと嫌いって言ってたのにいきなり何なんだ!イメージ通りにスルスル巻ける!ボクニモデキル!!!

って瞬間は技術の仕事をしていると理解してもらえると思いますが
ふと降りてきて二度と離れなくなる瞬間があります
これが「経験」となり「技」が磨かれ、自由自在にヘアセットが楽しめるようになったらやっと先輩からパスがもらえるようになるんです

髪様の落とし穴

そうして僕はどんなベースカットでも自由自在に髪型を創る事が出来るようになりました

うれしい
うれしくてたのしくてわくわくして仕方ない!
髪型の事だったらなんだって任せとけって海外の雑誌や専門書やなんやかんや色々と見ては創り見ては創りと試行錯誤しながら色んな髪型を創ります

「おれ、こんなの創れる」「あれも出来る、これも出来る」
って無我夢中にやれますのでカットも同じテンションで覚え、何でも創れるようになったのでコンクールやヘアショーに出ては自分の作品にウットリします

すごいなぁ、おれ   
って

この時の「おれ」はヘアスタイルを創る時も「おれ」しか見ていません
ヘアセットにヘアケア商品を加えたらどうにでもなるんですから
髪型なんて自由自在。まさに「髪様」になっていましたが
お客様からこんなことを言われるようになりました

「明日からこの髪型にならないんだよねー」って…

その当時の僕は髪様ですから威厳タップリにこういいます

「少しだけブローして2種類のセット剤を使うと簡単ですよ。前髪をこうして、横をこうして、これを付けて、ちょっと崩したら最後にこれをっ!そしうしたら同じ感じに出来るようになりますよ!」

「んーちょっと頑張ってみよ」

ってお客様は苦笑いで言いました

これが僕の違和感の始り
どんなに頑張っても頑張っても
僕の力だけではお客様は本当に安心してくれません
例えば今日カットをして2か月後の次回カットまで60日間
「髪様」である僕はお客様の髪型を創る事は出来ません
飽くまでお客様の髪型は「おれの作品」ではなく「お客様の髪型」なのです
僕は「美容室帰りの瞬間だけ」を楽しんでもらえる美容師を辞めようと決意しました

そういえばヘアセット
沢山の努力無しに出来るものではありません
「髪様」は当たり前の事をお客様に押し付けてました

お客様の日常を美容室帰りと同じにミッション


いざ決意はしたものの自分で全部やるよりはるかに難しい事でした

ミッションⅠ
全てのお客様の日常を聞き出せ ~日常の煩わしさから解放せよ~
ミッションⅡ
多方面から見る美しさの表現 ~お客様が「どう見られたい」のか考えよ~
ミッションⅢ
髪型に使用する時間を削除せよ ~日常からスタイリング時間を奪え~
ミッションⅣ
美容室帰りを日常にせよ ~美容室帰り=次回までの60日間~

などなど、そこから派生するもの全て考えていくと派生しすぎて、それってもう曼荼羅なんだけど「髪様」の時より楽しくって仕方ない
きっと「ほと毛」になろうとしてるんだろな

全ての事を書いてしまうとたぶん一冊の本になってベストセラー間違いなし
芥川賞とか芥川賞とか取っちゃって印税でお金持ちになってしまって、調子に乗って外車のオープンカーで通勤しちゃって(サングラスもしてる)好きな事ですかー「髪…かなぁ」って情熱大陸で言っちゃいそうなので止めますが、「お客様がどうやったら思い通りの髪型になるのか?」を考えた時にまずはカットの見直しをしました

乾かすだけでどうやったら落ち着くのか?
それを追求する為にうちのサロンでは殆どヘアセットしません
普段のお客様のお手入れ方法と同じやり方でカットを追求したいからです

あと「流す」「ボリュームを出す」「動きを出す」
と言うヘアセットの代用として「パーマ」を採用し
その為に毛髪理論を勉強しています
ダメージ毛ではヘアスタイルを上手に表現出来ないからです

今ではお客様から「セットがやりやすかったから来なくてよかったー」

って言われると「ありがとうございます」ってスッとした顔しながら
心の中でカミラカベロの曲に合わせてラテン系の奴で踊ってます

自分でセットがしやすくて毎日美容室帰りなら
僕もお客様も本当に嬉しいなと「ほと毛様」は曼荼羅を今日も作り続けるのです

age美容室の日常

本当にオシャレが好きだったら「毎日」が良くないですか?
僕達美容師は「特別な日」ももちろん力になりますが
「毎日」オシャレにいかになれるかを考えるべきだと思います

客層は「いいひとたち」ですが
年齢層はデータ上ハッキリわかっていて
10代以下20% 20代20% 30代20% 40代20% 50代以上20%と、面白いくらい綺麗に分かれていて
冒頭でお伝えしたように長い事美容室をやっているので
ファミリーで来店して頂く事も多いので
「子供だったあの子の子供が」って事も少なくありません
本当にありがたい事で近頃は苦手だった子供のカットも結構やる事が増えました

子供ってヘアセットも何もしません
なのに何であんなに可愛いんだろうって髪型目線で考えたことがあります

一つ目は隠すことが何も無いから見たまま思ったまま伝えてくれること
二つ目はいつもお母さんやお父さんを意識していること

「前髪だけはまっすぐに切ってくれ」って言う5歳の男の子がいます
理にかなってたりかなって無かったり
何のこだわりか理解しがたいですが、以前に前髪をまっすぐにした時に
お母さんから「可愛いー♡」って言われていたのを覚えています

なので、彼は前髪まっすぐ
性格もまっすぐな良い男になるかもね
なんて思いながら切り終わった後の顔もママをまっすぐニヤッと笑いながら見つめる姿も可愛い

ママの成人式の髪型も僕がしました
そんな家族を見ながら日常を彩る事が出来れば
僕が美容師として今やっている事は間違いないなぁと思える日常でした

一人一人の日常に寄り添い、サロン帰りのヘアスタイルを日常に
これからの僕達の大テーマですが応援していただけると幸いです

最後まで長文をありがとうございました

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