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フルマラソン2時間20分切るまでの取組み~④まとめ編(2)

前記事ではフルマラソンのサブ20達成要因をまとめました。

最後に、一連の取組みの中で感じた、競技としてトラック(中長距離)とフルマラソンを両立するうえでのポイントを、トラック主軸のランナー視点で考察したいと思います。


1.ターゲットレースの分散

・近年では時期問わず各地域でレースが開催されるようになり、年間通して多数のレースに出場することも可能です。が、これらすべてにハイパフォーマンスな状態で臨むのが困難なのは想像に容易いかと思います。

・一般的にトラックとフルマラソンでは必要な能力が異なるため同時期の両立が難しく、記録を狙ううえではターゲットレースの時期を分散して設定することが推奨されます。

・私自身、昨シーズンは秋にトラック、冬にフルマラソンのターゲットレースを設定しトレーニングに励んだわけですが、各期において十分な準備期間を設けることが出来、それぞれに必要な能力開発をじっくり行えたことが好記録達成要因の1つと感じています。


2.有酸素系基軸の練習アプローチ

・トラックとフルマラソンのどちらを主軸と捉えるかにもよりますが、いずれもしても有酸素系のトレーニングを中心に様々なバリエーションで取り組むことが基本的な練習アプローチになるかと思います。

・一般的なトラックシーズンは4月~11月で、この後にフルマラソンのメインレースを設定した場合であれば、トラックシーズン中も一定強度の有酸素系のトレーニングを行っておくことがフルマラソン(ロードシーズン)へのスムーズな移行を図るうえで効果的と思います。

・私自身はかねてよりトラックを主軸としてきた一方で、ここ数年10000m~ハーフを重視してやってきた経緯もあり、最近は年間通じて一定の有酸素能力を維持できていたように思います。実際にロードシーズンへの移行もスムーズでしたし、基礎走力養成(いわゆる"足づくり")期間を短縮・効率化できたことで、その分を特異的な練習に充てられるなどプラス影響もありました。


3.種目特性に合わせた能力開発

・トラックとフルマラソンのいずれにおいても、種目特性に合わせた能力開発を行うことが重要なのは想像に容易いかと思います。

・基礎走力(有酸素能力)をベースに、トラックであれば無酸素系(解糖系)の代謝能力強化、フルマラソンであれば有酸素系(脂質由来)の代謝能力強化といった形で、それぞれの能力底上げに必要なトレーニング(特異的な練習)を行うことが欠かせません。

・一方、トレーニングの設定については必ずしも高強度にこだわる必要はなく、コンディションや調子次第では腹7~8分目程度でこなすだけでも十分というのが最近の持論です。(実際に昨シーズンはそんな感じでした)

・というのも、レース結果は必ずしも練習の出来と相関せず、コンディションやモチベーション、時の運など様々な要因に左右されます。トレーニングの設定のみにこだわりすぎず、それ以外の要素(ピーキングやモチベーション(後述))を含め全体でバランスをとっていくことが重要ではないかと感じる今日この頃です。


4.ピーキング

・ターゲットレースに向けベストな状態に仕上げていくうえで重要なのがピーキングで、特異的な練習を通じて底上げした各種能力を融和させつつ、練習量調整(テーパリング)しながらコンディションアップを図る流れが一般的に知られています。

・個人的にはトラック、フルマラソンとも概ね3~4週間前からピーキングを意識するようにしていて、昨シーズンの結果だけみれば十分対応できたように思います。

・なお、感覚頼りになりがちな"各種能力の融和"について、私自身はかねてより「能力値の合計を100%とし、種目ごとの目標能力値(※)に割り振る」イメージを持つようにしています。複数種目を両立するうえで、それぞれに必要な能力を(頭の中で)可視化する手段として効果的だったように思います。

(※)種目ごとの目標能力値例
●トラック⇒有酸素系(糖質由来)30%:有酸素系(脂質由来)30%:無酸素系(解糖系)40%
●マラソン⇒有酸素系(糖質由来)40%:有酸素(脂質由来)40%:無酸素系(解糖系)20%


5.モチベーション

・いろいろ書きましたが、トラックとフルマラソンを両立するうえで一番重要なのはトレーニング継続のためのモチベーション維持と思います。

・人によってモチベーションは様々ですが、観光を兼ねたレースに出る(非日常感)、場所を変える(マンネリ化解消)、成果を感じられるトレーニングをする(成長実感)等々、日常の取組みの中に楽しみを見出すことがモチベーション維持のうえで効果的と思います。

・また、高い目標をもって複数種目を両立する場合、必要なトレーニングが増える分だけ何かと余裕がなくなりがちです。サブ20レベルであれば無理に40km走を行う必要もないように感じますし、心と体がすり減りすぎないよう自分自身の限界点を把握しておくことが重要と思います。


【総括】

・目標やレベル、生活環境などの違いによって若干異なる部分はあるかと思いますが、

①基礎的な走力(有酸素系能力)の維持・強化
②種目特性に合わせた特異的な練習の実施
③全体的な能力融和と調整によるコンディションアップ
④モチベーションの維持

以上がトラックとフルマラソンの両立、および記録を狙ううえでのポイントと思います。

・なお、今回私自身はサブ20を目標に掲げ、トラックレース主軸の傍らフルマラソンに臨んだわけですが、年間通して無理した感覚はありませんでした。トレーニングの再現性も高い印象ですし、生活環境が変わらない限りは今シーズンも同じ流れを踏襲できそうな見込みです。

・また、サブ20の目標自体も、何かと制約のある市民ランナーが目指すものとしては現実的なレベルだということを再認識できました。(逆にサブ15の難しさを痛感したのも事実ですが・・・)


【終わりに】

・少々古い記事ですが、ランネットの記事によると、フルマラソンの自己ベストが2時間30分切り(いわゆるサブ30)のランナーは全体の0.2%とされます。

https://runnet.jp/project/ranking/2019/pdf/ranking2019.pdf

・サブ20だと当然ながら更に割合は減ります。参考までに、私が出場した姫路城マラソンでのサブ20割合は全体の0.05%(3人/5486人)でした。

・一方、現在ではトレーニング環境の改善や高機能シューズの一般流通等により全体のレベルが底上げされ、市民ランナーでもサブ20を目指しやすくなりました。また各地の有名マラソン大会ではサブ20が優勝や入賞の目安となり、そういった大会で上位入賞を目指すランナーにとってはサブ20は目指すに値する目標と思います。

・私自身、サブ20はまだ1回しか達成していませんので、これを2〜3回と達成していく過程で、更なる自己ベスト更新を図るべく、今後もトラック種目との両輪で取組んでいこうと思います。


最後までお付き合いくださりありがとうございました。
今後も不定期で各種情報を発信する予定です。
ご意見などありましたらお願いします。


※まとめ編(1)の内容は以下よりご参照ください


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