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フルマラソン2時間20分切るまでの取組み~④まとめ編(1)

全3回の記事で約半年間の取組みを振り返ったところで、最後に自分なりの考察をまとめます。

と、その前に、私の初マラソンは2014年に出場したびわ湖毎日マラソンで、記録は2時間43分でした。

当時、出場するランナーの中で持ちタイム(5000m:14'22、10000m:30'13)は良いほうでしたが、いざ出場してみれば筋疲労で足が攣り、30kmを前にエネルギー切れで失速、最後は歩いて完走という有様で、非常に苦しい思いをしました。

その後何回かフルマラソンに出場し、2時間30分前後で走れるまでになったわけですが、そうした過去の経験も踏まえつつ、今回サブ20できた要因を考察したいと思います。


1.基本戦略

・諸説ありますが、フルマラソン完走に必要なエネルギーは約2500kcalとされる一方、運動時のエネルギー源となる糖質(ここでは筋グリコーゲンを指す)の体内貯蔵量は約1600kcalとされ、ギャップが生じます。

・このギャップを埋めるために、終盤までいかにグリコーゲンを温存し、且つグリコーゲン以外のエネルギー(特に脂質、乳酸)を活用できるかが、フルマラソンにおけるエネルギーコントロール上の基本戦略となります。

・今回は早い段階から基本戦略を明確にしていました。結果的に、その後の練習計画やレース戦略、レース選びといった準備・検討がスムーズに行えたように思います。


2.練習計画

・基本戦略達成に向けて重要なのが練習計画の落とし込み方で、切り口の1つとしてエネルギー代謝の考え方を参考にすることが効果的でした。

・エネルギー代謝のメカニズムは割愛しますが、フルマラソンのような長距離運動においては有酸素系の代謝が大部分を占めるとされます。

・そのため、フルマラソン対策として有酸素系のトレーニングが推奨されるわけですが、これだけでは完走できてもサブ20を達成するのが難しいのは想像に容易いかと思います。

サブ20達成のためには、レースペース(平均キロ3'19ペース)をどれだけ楽に感じて走れるかが重要と考え、練習方向性として、①基礎的な有酸素能力の維持、②有酸素系のうち脂質由来の代謝強化、③代謝過程で生じる乳酸のエネルギー利用率向上の3点を意識しました。

・実際には全ての練習が上述の方向性に沿ったものではなく、時に練習意図を後付けしたこともないわけではないですが(笑)、方向性が立ったことで計画的かつ着実に能力開発が進められたものと思います。


3.具体的な練習と狙い

・上述の方向性のもと、具体的に以下の練習を行いました。

<基礎的な有酸素能力の維持>
・主な練習はロングjogやペース走、距離走で、狙いは心肺機能の維持・強化、ミトコンドリア増加、毛細血管拡張(血流増加に伴う酸素供給量向上、回復力強化)、脚筋力向上など。

・ミトコンドリアは筋肉内に存在し、糖質や脂質、乳酸からエネルギーを産生する体内器官の1つで、有酸素系の練習(低~高強度)を通じ総量が増加するとされます。

・一連の練習でミトコンドリアの総量が増加、通年の取組みにより常に高い有酸素能力を維持できたことが、サブ20を達成するうえでの基礎走力(ベース)として機能したものと思います。


<有酸素系のうち脂質由来の代謝強化>
・主な練習はペース走(閾値走)やロングjogで、狙いはLT値改善、ミトコンドリアの脂質酸化力向上など。

・LTは過去の経験則からキロ3'00~10前後と仮定。姫路城マラソンではキロ3'15前後ペースにも十分対応できた(=体感の運動強度は低めに感じられた)ので、サブ20レベルの設定としては妥当な水準だったのではと思います。


<代謝過程で生じる乳酸のエネルギー利用率向上>
・主な練習はインターバルやレペティションで、狙いはミトコンドリアの乳酸代謝速度向上など。

・運動強度の高いスピード練習を行う中で無酸素系(解糖系)の代謝を機能させ、ミトコンドリアにおける乳酸のエネルギー利用率向上を図りました。

・ただし、無酸素系(解糖系)の代謝強化はグリコーゲンの消費加速に繋がる側面もあるということで、フルマラソン直前期は練習頻度を抑えるなど留意しました。

・と、色々取り組んだわけですが、まとめると時にメリハリをつけながら有酸素系と無酸素系のトレーニングを継続することが、サブ20に必要な各種能力を強化・底上げするうえで効果的だったと思います。


4.レース戦略

・レース戦略は深く考えず、フルマラソンの基本戦略に立ち返り、ペースコントロールの徹底に努めました。

・姫路城マラソンでは、ペースを上げすぎない(=運動強度を高めてグリコーゲン消費を加速させない)ことや、勝負どころまで前に出ない(中途半端な揺さぶりをして消耗しない)ことを意識したのみでしたが、結果的に十分対応出来たように思います。


5.その他

・サブ20の確度を高めるうえで欠かせないのがレース選びで、開催時期やコース特性、過去の3位入賞ライン、有力選手の出場可否、エリート参加枠の有無などから総合的に判断することが、練習以前の段階で重要と思います。

・姫路城マラソンは、冬のレース、3位入賞ラインが2時間20分前後、フラットコース、実業団選手の招待あり、ということで、サブ20を狙う上での条件は良かったと思います。(資格があれば、エリート参加枠のあるレースに出場することが効果的なのは言わずもがなです)

思ったよりも長くなってしまったので、別記事でまとめ(2)として、トラックとフルマラソンの両立に向けたポイントを考察して締めたいと思います。


※半年間の取組みは以下記事にてまとめています。


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