見出し画像

[大荒れ不可避]Mr.Childrenアルバムランキング

閉ざされたドアの向こうの秩序の無い現代にドロップキックかましたら成り行き任せの恋に落ちて君は誰かを傷つけてキーボードSUNNY~(爽やかな甲高い声)でもう一回もう一回僕はこの手を離さない三代目齋藤飛鳥涼です。

もう何度目かわかりませんがここ最近自分の中でミスチルブームが再燃しまして、ちょくちょくアルバムを聴き返す機会が多いんですよね。そういうわけもあってせっかくだし独断と偏見で選んだ個人的ミスチル全アルバムランキングを公開しようかなと思った次第です。

んで以前Twitterの方では独断と偏見に基づいたミスチル全アルバムランキングを公開していたんですけど、今回また改めてnoteの方で記事にしようとしたのは色々要因がありまして、まずはランキングを公開していたアカウントの方が凍結されてしまったことが一つです笑。

二つ目の理由は昨年末に傑作「SOUNDTRACKS」がリリースされたこと。

この「SOUNDTRACKS」というアルバム、個人的には非常にクオリティの高い作品だと感じていまして、リリース直後に思わずレビュー記事まで出してしまったほど好きな作品なんですよね。そんな「SOUNDTRACKS」のリリースからだいぶ日が経って、フラットな目線でランキングに組み込めることが出来るのかなと思ったのも今回のランキング作成に至った経緯です。

三つ目の理由はこれを機に多くの人々にミスチルの作品に触れてほしいなということ。

というのも意外とミスチルって曲単位で聴くことはあれど、アルバムで触れることは意外と少ないバンドなのかなと思っていて、これはメジャーなバンドの宿命なんですけど名盤ランキングとかでも中々出てこない印象があるんですよね。

そして我が宿敵こと関ジャムがゴールデン2時間SPでミスチルの名曲ベスト10を発表するらしい。

あの今民放の音楽番組でもっっっっっっとも質が高くて、もっっっっっっとも密度が濃くて、もっっっっっっとも面白いと言われる関ジャムが選ぶミスチル最強の10曲非常に楽しみなんですが、これに負けじと僕も一音楽ファンとしてアルバムの方でランキングを発表しようじゃないかという魂胆なわけなんですね。

ミスチルに対する雑感

ランキングを発表する前にここで筆者である僕の音楽に対する考えやミスチルに対する認識を一度確認していきたいと思います。

まず筆者はただのロック小僧であり、楽曲を聴くうえで一番大切にしているのはメロディの請求性であるということ。そして次点でサウンドやアレンジの良し悪しであり、歌詞についてはメッセージ性についてはあまり重視しておらず、どちらかと言えば語感とか響きの良さを重視している節はあります。

続いてミスチルに対する認識ですが、個人的にはミスチルは大衆が待ち望んでいた唯一無二の普通のバンドという認識です。

というのもこれは「SOUNDTRACKS」のレビュー記事でも触れたんですが、邦楽の歴史において1994年時点で音楽性、サウンド、ルックスというあらゆる角度から見てここまで5点中4点のきれいな五角形を描けているバンドで珍しくて、ある意味手が届きそうな親しみやすさを兼ねそなえた普遍的かつ最強のバンドなんですよね。(同系統のスピッツのブレイクはちょっと先だし、同じく国民的バンドのサザンだって最初はコミックバンドという扱いだった)

しかしながらミスチルの同期ってスピッツやピロウズを始め、イエローモンキーにブランキージェットシティ、ルナシー、フィッシュマンズという後の邦楽シーンに大きな影響を与えた個性の強いバンド群が多く存在し、少し上にはフリッパーズギターをはじめとした渋谷系がいるわけで、海外に目を向ければちょうどオルタナティブロックが最盛期を迎えほぼ同時期にレディオヘッドという先進的なバンドがいます。

このように同期のバンドが音楽性を飛躍的に進化させる中で、もはや身動きが取れないレベルでの大成功を収めてしまったがゆえに、「普通のバンドである自分たちのアイデンティティとはなにか?」ということがバンドのテーマとなっていきます。90年代は大衆への絶望と音楽性の進化を推し進め、00年代に突入すると国民的ロックバンドという使命を真摯に受け止め、10年代中盤からはその使命を一旦終わらせまたロックバンドとしての血肉を取り戻すための活動をしていきます。

そしてこれはミスチルというバンドのユニークな特性なんですけど、実はミスチルって代表曲と呼べる代表曲が無いんですよ。

というのもあまりに長期間売れているため、世代間で代表曲に対する認識がばらけることが多いです。例えば90年代のミスチルフィーバーを知っている人からすれば「innocent world」や「名もなき詩」が代表曲になるでしょうし、少し後の今30代後半ぐらいの人からするとドラマの影響で「youthful days」や「Sign」が代表曲になり、もう少し若い世代になると「HANABI」と「GIFT」、ちょうど筆者(20代前半)ぐらいになると細田守作品で聴いた「Strating Over」か「HANABI」あたりの楽曲の知名度が抜群に高い印象があります。

他のバンドとかだとB'zには「ultra soul」、サザンの「勝手にシンドバッド」みたいなアップテンポで盛り上がる系統の代表曲は無く、かといってスピッツの「ロビンソン」、「チェリー」、「空も飛べるはず」のような三種の神器もミスチルにはありません。このような圧倒的代表曲不在がミスチルが幅広い世代に請求力を持つ要因であり、世代間で評価がマチマチな印象を与える要因でもあるのかなと感じています。

その他で言及する点で言えば、作詞家としての桜井和寿の特異性って所ですかね。彼の作詞って非常に説明的でリスナーの想像力に委ねようとはしないタイプの作家なんですけど、これってよっぽどフロントマンに説得力が無いと厳しいタイプのスタイルなんですよね。同系統のフロントマンがBUMP OF CHICKENの藤原基央なんですけど、どちらも詞がすっと入ってくる曲作りをしており、国民的ロックバンドとして大衆からニーズがあるので非常に納得がいきます。(同じく説明的な歌詞という秋元康という例もあるが、、、)

最後に言及しておきたいのがプロデューサーの小林武史についてです。直近の2作を除いては全ての作品にプロデューサーとして参加している小林武史だが、90年代までの彼の仕事ぶりは非常にバンドにとってポジティブなものだと思うが、00年代以降の小綺麗なサウンドプロダクションについては首を傾げる節はあります。特に00年代後半ぐらいから第5のメンバーとして介入し始めたあたりからバンドの存在意義を希薄させ、ミスチル=ありきたりなつまらないサウンドのJ-POPのグループというイメージを付けた点についてはあまり良く思っていないです。

長々としてしまいましたが、早速ランキングの発表に行きたいと思います。


17位 Everything

1992年リリース

記念すべきデビューアルバムがまさかのこの順位なわけですけど、これに関してはミスチルファンも納得の順位だとは思います。デビューアルバムといえど7曲しか収録されておらず、どこかプロダクションとしてもしっかり定まっていない印象は拭えず、とりあえず最初だしまぁいっか笑的なノリだ作られた感。

国民的ロックバンドの偉大な第一歩にしてびっくりするくらいレイドバックしてる「君がいた夏」、バンドサウンド全開なのに甘ったるめな歌詞が印象的な「CHILDREN'S WORLD」などが収録。またジャケットや「Mr.Shining Moon」、「友達のままで」といった楽曲を聴くと、彼らがフリッパーズギター直系の渋谷系をルーツとしていることが見えてくるのも今作の魅力ですね。


16位 SENCE

2010年リリース

ミスチルファンの間でも人気がある印象を持つ作品なんですけど、正直に白状すると個人的にはミスチルの作品の中で一番印象に残ってない。この作品の前ぐらいからサウンドが小林武史が前面に出始めて、一気にサウンドがチャチくなったうえに、大作志向が災いしてか大味な感じになってしまって残念っていうのが率直な感想。あとこのアルバムをフェイバリットに挙げている奴は十中八九ONE PIECEが好きだし、体育祭とかで背中向けて拳を天につきあげて写真撮りがちだし、絆って言葉大好きだし、インスタグラム英語で登校しがちだと思う。

号泣不可避のクッソ名曲「365日」、エッチな桜井和寿節全開の「ロザリータ」、なぜかこの曲だけ音が飾ってないのなんでなんだ「Howl」とか収録。他にもいろいろ入っていた気がするけど、どれも小綺麗にパッケージングされた特に個性もない曲たちがいっぱい、さすが小林武史()といったところでしょうか。


15位 REFLECTION

2015年リリース

このアルバムについて一言で表すならば「気合の空回り」でしょうか。制作過程の途中において小林武史との決別(よくやった)、それに伴いバンドとしては初の試みであるセルフプロデュースが敢行されたわけだが、新たな船出ということもあってかまさかの23曲も作ることに。カニエの「Donda」も27曲で1時間48分なのに、「REFLECTION」はそれより4曲少ないのに2分長い。それでいて発売形態を{Naked}と{Drip}に分けたのだが、{Naked}はクッソ長くてダレるし、{Drip}は物足りないしでう~んんんといたった感じです。

小栗旬でイエッヘッヘな「足音~Be Strong」、桜井さんの振り絞るようなボーカルに胸が熱くなる「Starting Over」、アルバムの最初と最後どっちにおいてもしっくり来る「未完」とか諸々収録。あと聴いてて思うのはこの数年コバタケサウンドに侵食されすぎて、バンドとして音を鳴らした時(「fantasy」とか「REM」あたり)めっちゃ貧弱になっていて聴いてて悲しくなってしまうのよね。それでも「運命」みたいな軽めなアレンジの曲を聴くと、ミスチルの絶対的な肝であるメロディセンスにはまったく錆びてなくて安心するのです。


14位 VERSUS

1993年リリース

最近聴いてみてアレ?こんな良かったっけ?ってなったアルバムですね。タイトルの通りポップな楽曲と内省的な楽曲が対となる構造となっており、また海外レコーディングということもあってサウンドも妙に艶やかな感じで良きなんですよね。しかしながらこれといったキラーチューンがあるわけでもないので地味な印象は拭えず、結果この順位に落ち着くことに。

楽曲の方は軽装備なチャゲアス+水を足しまくった渋谷系という趣で、初っ端なから内省的な「Another Mind」、ミスチルの中でも最も渋谷系している「and I close to you」を始め、桜井さんのえっちぃボーカルを堪能できる「さよならは夢の中へ」といったダークな楽曲は光るものがありますね。とはいえ「LOVE」しかり「my life」といった楽曲はまぁとにかく軽い笑。


13位 I LOVE U

2005年リリース

スーパーウルトラアルティメット神ofゴッド全世界涙不可避の大名曲「Worlds end」で始まり、スーパーウルトラアルティメット神ofゴッド全世界涙不可避の大名曲「Worlds end」で終わってしまったアルバム。結構アルバム全体で聴いてみるとどこか荒涼とした空気感を楽曲もあれば、打ち込みっぽい感じもあったり、小林武史の満面の笑みがよぎったりと、どういう方向性で行きたいんやってツッコミたくなる一枚です。

こんな爽やかな大学生活を送ってみたかったでお馴染みオレンジデイズの主題歌「Sign」、自転車かっ飛ばしてポカリスエットが飲みたくなる「未来」、コールドプレイやU2を彷彿とさせる広大なサウンドスケープの「and I Love You」など、シングルとしてリリースされた楽曲はめちゃくちゃ強いです。とはいえこのアルバム最大の誤算は「Worlds end」というド派手なナンバーを1曲目に持ってきてしまったことで、その後インパクトで勝てる曲が出てこずダラっとした印象を与えてしまったことに尽きますね。


12位 SUPERMARKET FANTASY

2008年リリース

近年のミスチル作品の中でも知名度の高い楽曲が多く収録されていることから人気が高い作品ですよね。作風も歴代の作品の中でもかなりポップな部類で、本人たちも聴き手を意識したと言っている通り、いわゆるみんなが思い浮かべるミスチル像を一番体現している作品なんじゃないかな。

少し脱線しますが桜井和寿という人間は他のアーティストから受けた影響をアウトプットしやすい性質がありまして、例えば90年代中盤から共演した桑田佳祐の砕けた歌唱法を取り入れてみたり、後述する90年代後半の某アルバム然り。それは歌詞の部分においても~○○になりたい、といった感じの願望欲が見える瞬間がチラホラあります。これは先述した「普通のバンドである自分たちのアイデンティティとはなにか?」というテーマに自覚的であるが故の反動なんですけど、00年代に入ると今度はバンドの作品でそうした願望欲を昇華させず、ap bank fesとBank Bandでのカバーで納める傾向に落ち着きます。

そうした願望欲を上手く昇華した楽曲というのがなにを隠そう名曲「HANABI」でして、この曲の前年にリリースされBank Bandでも後々カバーすることになるフジファブリックの「若者のすべて」だと思われます。ミスチルの楽曲でも珍しい楽曲構成(半音チューニングでの作曲にBメロの異様なキャッチーさ)と、両者ともに花火というキーワードを用いている共通項が見えてきます。

まぁそんなわけで長々と脱線してしまったが桜井和寿がこれまで溜めこんできた願望欲を、名料理人の小林武史(褒めてます)の手によってエッセンスとして上手くポップスに落とし込んだ意欲作でもあるんですよね。とはいえ僕はミスチルの時々見せるソリッドな部分が好きだったりするんで、少し低めの順位です。


11位 重力と呼吸

2018年リリース

10年代後半のミスチルの活動には失われたバンドアンサンブルへの回帰というテーマ性が孕んでいて、今作はその過渡期的な作品という位置づけで久しぶりに作品全体でギターが目立つ作品となっている。特に2015年に10年ぶりに行われた対バンツアーでエレカシ、くるり、アジカン、その後もワンオクやRADといった後輩バンドと対バンをこなしたことが相当刺激になったように思え、ミスチルが過去一でロキノン系っぽくなってるのも大きな特徴だろう。とはいえサウンド面は未成熟な印象があることやポップなキラーチューン不在が仇になったせいか、往年のファンからはあんまりウケがよろしくないイメージもある。個人的には普通に好きなんだけどね。

90年代中盤の楽曲を彷彿とさせる正統派なメロディラインが印象的な「SINGLES」、ミスチルなりのロキノン系に対するアンサーとも取れる「海にて、心は裸になりたがる」、田原そんないぶし銀のようなイカちぃソロ弾けるのか「here comes my love」、浜辺美波ありがとう「himawari」といった具合に、しっかり聴けば全然過去作とも肩を張れる作品なのではないだろうか。


10位 Q

2000年リリース

好き嫌いが分かれる作風なせいか、最早踏み絵みたいな立ち位置にいるほんまもんのラスボス。コアなファンからは最高傑作としても呼び声の高い一枚だが実態はかなりの曲者で、曲のテンポをダーツの合計点を決めたというエピソードが象徴するようにラフな制作環境がアルバムにオルタナティブな性質をもたらせることになった。俗に言う暗黒期の最後の作品で個人的にこの頃の作品好きだけど、まぁいい曲もあれば微妙な曲もあるしなぁってことでこの順位に。

ミスチル屈指のオルタナティブロックナンバー「CENTER OF UNIVERSE」で始まる本作は、カラオケで歌ったら喉ちんこ爆散する名曲「NOT FOUND」、冷たくひねくれた感じが堪らん「スロースターター」、あまりの神々しさに絶頂する「Hellelujah」と一癖も二癖もある曲が並ぶ一方、「つよがり」や「口笛」といった美メロ曲かましてくるわけで、ミスチル作品の中でも一番ツンデレな作品なのも多くのリスナーに愛される所以なのかもしれない。


9位 Atomic Heart

1994年リリース

バンドの出世作にして累計売上343万枚というあたおかなセールスを記録した一枚。もうこのくらいの順位になってくるとどの作品が一位になってもおかしくないというか、どのアルバムも名曲揃いで非常に順位付けが難しくなってきますね。各楽曲の強度だけで言ったら全作品のなかでもトップクラスなんですけど、バブルの残り香をほのかに感じる瞬間があって、シリアスに行きたいのか甘ったるく行きたいのかどっちつかずな印象があるのがこの順位になった要因です。

J-POPの金字塔的楽曲「innocent world」はいつ聴いてもこの全世代に強い請求性を持つ強靭なポップセンスに圧倒されるというか、マイラバの「Hello Again」然りこの頃の小林武史エバーグリーンな楽曲作らせたら右に出るものおらず。それに加えて錆がくっそエモーショナルな「CROSS ROAD」という名曲もあるわけでね、そこに前作のダークな部分をさらに煮詰めた「ジェラシー」とか、初期ミスチルの集大成的バラード「Over」もあるわけで、デビューから2年間の歩みをしっかり昇華させている部分を楽しむのが今作の醍醐味なのかなと。とはいえ「クラスメイト」とか「雨のち晴れ」みたいな90年代当時の生活感ある楽曲や、激ダサイントロの「Round About~孤独の肖像~」みたいな垢ぬけないミスチルも見えてしまう非常にかわいいアルバムでもある。


8位 シフクノオト

2004年リリース

ミスチルは歌詞こそ至高!っていう人がフェイバリットに挙げる作品という印象が強い本作。とはいえポップバンドとしてのミスチルの楽曲のクオリティ面が最も充実していた時期の作品であり、サウンドも「It's a wonderful world」のポップさと「I LOVE U」のドライさのいいとこどりをしているため非常に聴きごたえのある楽曲が多い。ちょうどこのアルバム制作前に桜井さんが小脳梗塞を発症、今作のCM撮影の時も肋骨を骨折したりとまぁついてない笑。そりゃこんだけアクシデント続いたら色気駄々漏れロックスターからニコニコフットサルおじさんになるよな。

ミュージックビデオがめちゃくちゃ泣ける温かい名曲「くるみ」、からっとしたバンドサウンドが印象的な「PADDLE」、久しぶりに聴くとサビの強烈なキャッチーさに心奪われることに気付く「Any」、シフクノオトツアーの時のライブアレンジやべぇよな「天頂バス」、そしてラストを説明的な「タガタメ」と~になりたい系の「HERO」という、作詞家桜井和寿の最大極値とも言える楽曲で締めくくっています。ずっしりと伸し掛かる言葉のウェイトに圧倒される一枚だ。


7位 Kind of Love

1992年リリース

きぃぃぃゃぁぁぁああああああ!のび太さん西日と同じくらい眩しすぎて直視できないわあああああああ、でお馴染み初期ミスチルの傑作ですね。この顔面ニキビまみれの垢ぬけない感じが堪らないというか、桜井和寿って生粋のメロディメイカーなんだなと実感するぐらい傑作ポップソング集なんですよね。スタバの新作フラペチーノばりの甘ったるさと、JENの牧場ソングが許せねぇっていう意見も分かるんですけど、初期の4作の中では甘ったるさに全振りしてる感じが潔くて好きなので高順位に。

初期からこんな素晴らしいバラード書いていたことにびっくり「抱きしめたい」、思春期のあどけない感じが上手く表現されてる「星になれたら」、ミスチルファンの男カラオケで目当ての女いるとき高確率で歌いがち「車の中でかくれてキスをしよう」、その他にも初期のSMAPが歌ってそうな「グッバイ・マイ・グルーミーデイズ」とかまだ駆け出し中の瑞々しいミスチルが楽しめる一枚。あとジャケ写の田原がめちゃくちゃ浜田。


6位 DISCOVERY

1999年リリース

発見というタイトルとは裏腹に、なにも見いだせないまま1年の活動休止が開けてしまった二日酔いのようなアルバム。タイトルを見れば明らかだと思うが某アイルランドのバンドの名盤と丸被りなジャケ写、某アイルランドのバンドの名曲の邦題と全く同じ「終わりなき旅」、そして露骨なくらい不穏でダウナーなサウンド。明らかに迷走しているんじゃねぇかと言いたくなりそうだが、当時の日本のロックシーンと言えばフジロック開催やオルタナ系の名盤が多く登場した年代なわけで、メジャーの最前線で活躍するミスチルが変わりゆくシーンの様相に食らいつこうとした実は野心的な作品なのではないだろうかと勝手に思う今日この頃だ。

トムヨークをバチバチに意識しすぎてなにも発見できてなさそうなオープニングトラックから始まる本作は、「ニシエヒガシエ」や「#2601」といった今のミスチルしか知らない人が聴いたら失神するようなハードな楽曲に、どこまでも冷たい「Prism」に酩酊のアンセム「I'll Be」、「Simple」や「ラララ」などのアコースティックナンバーがあったりと、その不穏なパブリックイメージに囚われがちだがアルバムの核にあるのは日々の中で生まれる不安や優しさ、紛れもない"生活"が中心にあるわけでな。そんな何気ない日々を振り返ることなく、雨にも負けず風ニモマケズ、高い壁上ったら気持ちいいもんなとケロッと歌ってしまう「終わりなき旅」とかいう日本のロック史に残る名アンセムが控えてるんだから、もう幸せならOKです!好きな言葉はLet It Be(めっちゃきれいな発音)。ミスチルがごく普通の、僕たちのバンドであるが所以が詰まった作品だ。


さて17位から6位まで発表して、いよいよトップ5の発表です!





え?




ミスチルのオリジナルアルバムは全部で18枚だから1枚足りないって???




ついに来てしまいましたか...

このアルバムについて触れなきゃいけない機会が...








論外 [(an imitation) blood orange]


2012年リリース

論外です。


もう一回言います、論外です。


本当はそびえたつクソって言いたいですが、気持ちを堪えて論外です。


このアルバムを聴いてみて桜井和寿の次に誰の顔が思い浮かびましたか?

田原さんですか?

中川さんですか?

JENですか?



違いますよね、小林武史ですよね。

「SENSE」の段階で少々許しがたいとこまで来てた小林武史の介入がより深刻なものとなって、桜井和寿と小林武史のアルバムといった趣のいやそれbank bandでヤレやっていう、完全にバンドとしてのミスチルが骨抜き状態にされちゃったわけなんですよ。しかもそれに拍車をかけるのが今作は桜井さんの歌詞もいまいち冴えわたってないというか、震災の影響で変にリスナーに寄り添う感じになってしまったとこもあるのかもしれんが、それにしても「祈り ~涙の軌道」のさようなら連呼は桜井さんにしては捻りが無さすぎねぇか???と思ってしまう次第。

まぁこのアルバムのダメなところor悪口言い始めたら止まらなくなりそうなんで簡単にまとめますと、00年代以降の国民的ロックバンドとしてのミスチルの悪い所しか出てない。バンド好きな人間がミスチルを舐める理由ここにあり。

結論、論外です。


というわけで気を取り直してトップ5の発表です。


5位 HOME

2007年リリース

今までの傾向と対策的にコイツ00年代中盤のミスチルが嫌いなんだな、って読んでる人に思われてそうなんでこの作品のトップ5入りに驚く人も多いのではないだろうか。カラっとした質感の前作から一転して穏やかな楽曲が多く収録されており、また後の作品のように小林武史のアヘアへストリングスアレンジもドバドバと出ているわけでは無くて、抑えるところは程よく抑えていてとても品がある感じがあって良いんですよね。

めちゃくちゃレイドバックしたこのまったりとした空気感がたまらない「彩り」、ミスチルの中でもかなりドライブ感のあるバンドサウンドの「箒星」、実はミスチル最強のラブソングこれなんじゃないか説「Another Story」、焦らすようなギターと怪しげなメロディに惹かれる「フェイク」、Qなんかに収録されても違和感なさそうな「ポケットカスタネット」、そして「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁりんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁるいぃんんんんnおおおおおおおまだあああああああれぇいえへっへぇぇぇぇぃいいいいいい」といった名曲オンパレードリオのカーニバル状態。"生活"という普遍的なテーマを今まで無意識の状態で描いていたミスチルが、ついに自覚的な状態で向き合ったことで万人に愛される小林武史の編曲と桜井和寿のソングライティング、そしてその土台を支えるバンドアンサンブルの相乗効果を生み出した。


4位 深海

1996年リリース

最高傑作とも名高いJ-POP史に残る問題作である。ビーチボーイズだって名盤ペットサウンズの最後の「Caroline No」で'あんなに明るかった君はどこへ行っちゃったの?'って言われていたのに、深海に関しては初っ端の「シーラカンス」の時点でアレレ???って感じである。瞬く間に成功してしまったことの重圧、自身のスキャンダルなどもあって心身ともに限界にまで追い込まれていたわけだが、何度も言っているように何物でもない普通の少年たちで結成されたバンドが自身のアイデンティティとは何か?ということに自覚的になった記念碑的作品であり、ここから始まる疾風怒濤の時代があるからこそミスチルは多くの人々の心にぶっ刺さるバンドになれたわけなんですよ。

ミスチルは「HOME」と「深海」に関してはアルバムに明確なコンセプトが見えてくるわけだが、とかくこの深海に関しては冒頭の「シーラカンス」の時点で一気にリスナーを作品の世界観に引き込むことに成功している。そして「ありふれたLove Story」、「Mirror」、「名もなき詩」というミスチルさんだぞって言わんばかりの三連弾をかましてきて安心させつつも、「マシンガンをぶっ放せ」で頭を強烈な打撃攻撃をかまして、「ゆりかごのある丘から」で奈落の底へと落としていく。そして「虜」と「花」でこのどこまでも果てしない深海に居心地の良さを覚えつつも、息苦しさとここがお前の居場所でないことを告げられ地上へと戻っていく。しかし陸へ上がったところでどこにも居場所が無いことに気付いてしまう、何の解決策を見出せたわけでもないのだ。そんな絶望の果てから見えた景色を鮮やかなメロディラインで描いてしまった傑作。


3位 BOLERO

1997年リリース

ミスチル作品の中で最も問題作なのは実はこのアルバムなんじゃないか?だってまずジャケ写が怖い。そしてこのジャケ写の少女の虚ろな目と同様に桜井和寿の精神状態はズタボロであって、社会的に影響力を持ってしまったポップスターの役割を完全に放棄してしまっているのである。しかもこのアルバムの残酷なところは「Tomorrow never knows」以降のアルバム未収録のシングルが収録されていることで、ポップスター桜井和寿が壊れていく様を残酷なまでに描いているドキュメンタリー的性質も備えているところだ。

「Tomorrow never knows」、「シーソーゲーム」というメインストリームのど真ん中で愛の歌を歌ってきた圧倒的主人公であった彼らが、「Brandnew my lover」でパールジャムとマッシブアタックをごった煮にした怪しげなサウンドでFuckする豚だと罵る姿を誰が想像しただろうか?確かに作品の統一感という点だけなら「深海」に軍配が上がるが、シングル曲を入れてしまったがゆえにアルバム曲の持つ狂気性が余計際立ち、この時期のミスチルの異様なまでの刺々しさに恐れつつも魅了されてしまうんですよね。しかしながらこのアルバムのほんとの魅力は、そんな絶望的な状況においても守るべき人は君だと歌う「Everything (It's You)」とわずかな希望を信じている「ALIVE」という楽曲が根幹を担っていることであって、結果論としてミスチルはこの修羅の時代を乗り越えたことでパワーアップしたわけなので、改めて人間としての彼らの屈強さに感嘆するアンビバレントな問題作なのである。


2位 It's a wonderful world

2002年リリース

疾風怒濤の時代を乗り越えミスチルは最強ということを完膚なきまでに示した大傑作。それまでの作品に見られた陰鬱さ窮屈な感じはなく、かといって「Atomic Heart」以前の時代性みたいな野暮ったさも無い。どこまでも広大でボーダーレスなサウンドは時代を感じさせず、いつ聴いても究極の普遍性を持っているわけだ。自分たちのアイデンティティを模索していたバンドが、究極に普通のバンドであることがわかったことで特別になれない普通の僕らのためのサウンドトラックとして寄り添うことが最適解だとわかった瞬間である。ただ彼らは少し見当違いをしていて、ミスチルは普遍的なポップスを書かせたら唯一無二の凄さを発揮する特別なバンドであるということだ。

長い暗黒期を抜けた先に「蘇生」という美しすぎる景色が見えてくると思うと涙が止まらねぇよおいら。でもこのアルバムが本当に凄い所は、例え彼らがメインストリームのど真ん中に立ち返ることを決意しても、清廉潔白なポップスターとしてでは無くて少し癖のある捻くれたありのままの姿で帰ってきたこと。飛び跳ねるようなブラスに相反して少しやさぐれたボーカルの「one two three」、なんかちょいちょい気持ち悪い「渇いたkiss」、ほとばしる疾走感とあふれ出るエロス「youthful days」、強い強すぎる「Bird Cage」などなど、ビシッとスーツでキメてくるんじゃなくて少しよれっとしたジャージ姿でニヤニヤしている感じがすごく親近感湧くんですよね。ほんで終盤の「君が好き」→「いつでも微笑みを」→「優しい歌」でハイ惚れたー。もぉ一生ついていきます。はぁ、、、ほんと好き。ってダメ男に急にお優しくされてしまうそんな乙女心が炸裂してしまうメンヘラ製造機的な究極のポップアルバム。


1位 SOUNDTRACKS

2020年リリース

1位はなんと!まさかの!最新作!!!

僕も割と長らくミスチル聴いてきましたけど、まさかもうすぐでデビューから30年近く経とうとしているバンドの最高傑作がこのタイミングで出るとはとリリース当時思ったわけでね。でなぜこのアルバムが最高傑作なのかというと、それまで桜井和寿とその他というワンマンバンドだったミスチルから、4人でミスチルとしての強固なバンドアンサンブルを完成させたことが大きいです。これは失われたバンドアンサンブルを取り戻すという近年のバンドのテーマ性を完遂させるものであって、ベテランの立ち位置になっても更なる飛躍を遂げようとする姿勢に拍手。そしてこの未曽有のパンデミックの時代の中で残り少ないバンドの終わりまでの時間を照らし合わせたことで、過去のどの作品の中でも"命"と"生活"に立ち向かっているんですよね。それを過去一の出来と言っていいくらい強固なバンドアンサンブルで奏でているんだから、この作品を1位にすることはなんら不思議な事ではないんだな。

いつもとは違った感じのオープニングナンバー「DANCING SHOES」でおやっと思わせ、そこにミスチル印のポップナンバー「Brand new planet」で田原さんのいぶし銀のスライドギター炸裂。初期の渋谷系ぽさとドリームポップみのあるギターが印象的な「turn over?」、この明かるげなポッポナンバーにすら三浦春馬との歩みがあるわけで、そこから続く楽曲たちも表面的にはある程度のポップスを装いつつも実は物凄くシリアスのテーマ性が見えてきている。そして今までのミスチルの集大成的楽曲にして、"死"という新たなテーマと向き合うことになったアンセム「Documentary Film」が待ち構えているわけだ。細かいことに関しては別の記事で書いたからそれ見てって感じで、ていうかこのアルバムを聴いたことないんだったら今すぐ聴いてくれ。ミスチルは今も僕らのためのロックバンドとしてシーンの最前線で戦っていることがわかる作品だ。


いかがだったろうか?

我ながらミスチル好きの中でもひねくれた部類のファンであることは重々承知なので、もっとちゃんとしたミスチルファンからしたらこんなチョイスするんじゃねぇって怒られそうだけど、こういうランキングで個性が出るところがミスチルの良さだと思うんですよね。少しでもこのランキングが役に立ってくれればと思います。それではこのへんで。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?