デザイナー5年目、2度目の転職。 転職活動の備忘録。
はじめまして、a.o.です。
デザイナー5年目、2度目の転職を決意。
これまで就職・転職活動が苦手だった私。そんな自分が2度目の転職活動でどんな思いを持って、どのように完遂することができたのか。
これまでの歩みと今回の転職活動を書き残してみたいと思います。
これまでの就職・転職の経緯
私は2020年に大学院を修了し、新卒でメーカーに入社。2年間インハウスデザイナーとしてプロダクトデザイン・UIUXデザインを担当しました。
このメーカーとの出会いは本当に偶然で、修士1年でプラプラしていた時に、自社製品を使ってスマホケースを作るインターンに参加しました。
「何でもいいから写真を選んでスマホケースに印刷しましょう」と言われたときに、ほとんどの参加者は家族・自分が好きなもの・思い出の風景など、その人にとって大切なものを選んでいることに気がつきました。
普段はものづくりをすることのない他の参加者がものを作っているときの試行錯誤の姿には、どことなく美しさを感じたり。実際に出来上がったスマホケースが出てきた時、参加者の目に少しだけ映るキラキラした光には、”人がなぜ創作をするのか”という自分の中の問いに対するヒントをもらいました。
この経験から、「人の中にあるクリエイティビティを発揮させることは、すごく興味深い」と思うようになり、選考を受けて入社を決めました。
1度目の転職活動
退職の経緯は、結婚に伴う引越で会社との調整がうまくできなかったことです。色々とドタバタしてしまい退職と引っ越しが先行。元々転職の予定もなかったところからドタバタの転職活動が始まりました。
とにかくスピード優先で就職したかったので、UIUXデザイナーで職を探しました。当時はポートフォリオ作成に苦手意識が強かったため、あまりのポートフォリオの完成度の低さから書類選考で少なくとも30社は落ちた気がします。書類が通って面接の印象が良くても、経験の少なさから落ちてしまう状況でした。
なんとか2社から内定をもらうことができ、その内の1社に入社しました。活動開始からおよそ1.5ヶ月〜2ヶ月ほどで終了したので、スピード重視の点では目標達成でした。
そして、2度目の転職へ…
2社目として入社したデザインファームでは、自走してUIUXデザインを経験させてもらうことができ、自分自身でもとても成長することができたと思っています。
一方で、人員の増加による業務負荷・職場の人間関係などの問題が顕在化し、ストレスによる体調不良で休職することになりました。
5ヶ月お休みをいただいて復職したものの、一度崩れてしまったものを再構築することの難しさに直面。このまま長期的な就業は厳しいと考え、転職することにしました。
振り返り・反省
これまでの就職・転職活動では、”とりあえずデザインに関わる職につければなんでも良い”という考えが先行していました。
また就職・転職活動によるストレスも感じやすい体質で、新卒の就活では発熱していました。書いていて思うけど流石に弱すぎる。
そのため内定が出たら早急に終わろうというスタンスになってしまい、自分の指向性の探究が浅いまま、自分に合った環境を選ぶことができていなかった点を反省しました。
ストレス負荷の高い時期ほど衝動的に白黒をつけてしまいがちですが、これをグッと堪え…
長期戦になることを覚悟して、転職活動を始めました。
今回の転職活動の概要
ざっくりスケジュール
全体スケジュールは活動開始〜内定承諾まで約5ヶ月でした。
元々の職場で続けていくかどうかも検討しながらだったので、2024年の6月までに次どうするかを決められていたらいいな…という想定で動いていました。結果ピッタリでした。
前半は自己分析と情報収集フェーズ、後半がポートフォリオ作成〜選考フェーズです。
選考の応募数・通過数
詳細は転職活動の軸で後述しますが、今回は自己分析・情報収集もしっかりすることができました。自分の希望に合う企業を判断することができたので、書類選考応募そのものをかなり限定しました。
実際に書類を提出したのは5社です。
その後、1社はカジュアル面談後に選考に進まない選択を取ったので、面接の選考に進んだのは4社。内定まで進んだのは3社でした。
利用したサービス
今回の転職活動は主にRedesignerさんを利用しました。
2月から始まったダイレクトリクルーティングサービスでスカウトが届くようになり、気軽にカジュアル面談を実施できたことが転職に踏み出す大きな一歩になったと思います。
一応他の転職サイトも登録はしていたのですが、求人、特にスカウトの質があまり良くないと思ったことから、継続利用はしませんでした。
Redesignerさんには選考の応募数のコントロール・転職の軸の言語化などトータルで伴走支援いただき、大変助かりました。
大切にした転職活動の軸
転職先を考えるときに大事にしたことは以下の3つです。
カジュアル面談での情報収集と自己分析を並行し、4月頭にようやく形になったように思います。
①オープン就労という選択
カジュアル面談を始めて、企業にも様々なカルチャーがあり、その中で自分にフィットする企業を選ぶことの大切さがより分かってきました。
その中でネックになっていたのが休職歴です。
休職歴を誤魔化した方が良い環境に行けるのではないか?と思いながらも、過去に休職していた事実、何がつらいのかを隠しながら働いていくことは、少ししんどいな…と思っていました。
そんな中、私は3月に「夜明けのすべて」という映画を見たことで気持ちがガラリと変わります。
この映画では、登場人物たちが相互ケアをしながら、栗田科学という会社での関わりを通してそれぞれの道を見つけて歩んでいく様子が描かれています。栗田科学のメンバーはそれぞれが異なる”つらさ”を抱えていますが、メンバーはその事実を理解しており、困ったときに助ける手段をそれぞれで考え、実行しています。
私はこの映画を見てボロボロと泣きながら、「自分のつらさも他人のつらさも分かち合って、助け合って働いていくことももしかしたらできるのかもしれない…」と考えるようになりました。
その後、気になったので障害のある方向けの就労支援サービスに話を聞きに行きました。私の場合は(一応)不安障害と起立性調節障害が該当しているので、障害者手帳を取得して障害者雇用で就労する道を提示してもらいながら、自分の病気や障害を職場に公開した状態で雇い入れてもらう”オープン就労”という言葉を教えてもらいました。逆に障害を隠しながら就職することはクローズ就労と言われています。
映画を見たこと、オープン就労の話を聞いたことで、私もオープン就労ができる職場がフィットするのではないかと考えました。これからクローズ就労で無理をしても同じことを繰り返してしまいそう、とも思いました。
デザイナーという職業はその職を選ぶ人も繊細な人が多く、心の揺らぎというのは誰にでも発生すると思っています。そうした”つらさ”があるよね、と気兼ねなく話し合えるフラットな関係性を仕事でも作れたら、と自然に思うようになりました。またそうした環境のある職場を作っていくことも私の願いだと思います。
なので、可能な限り自分の休職歴や抱えている”つらさ”をオープンにできて、働き方を柔軟に相談できる環境・カルチャーの企業を選ぶことにしました。
②ジェネラリストタイプのデザイナーとしてパフォーマンスを発揮すること
これまでの経験の中で、デザイナーにも色んなタイプがいることが分かってきました。
私は割とジェネラリスト型です。「どうして作るのか?」「どのように実現するのか?」「それを誰がやるのか?」などなど、デザインの対象となるものの本質を問いながら、最終的に形にするのが好きなタイプだと思います。色んな方法を試したり、デザインプロジェクトに関わる人とコミュニケーションをとりながらデザインを醸成することに価値を置いています。自分で手を動かすことの楽しさ・喜びはもちろんありますが、それはあくまでもデザインワークの手段の一つだと思うタイプです。
また、私は自分一人でできることには限りがあると思っています。他者との関わりの中で、自分では作り上げられなかった新しい発想に出会ったり、互いに高め合うことが、デザインに関わるなかでの一つの幸せだとも思います。
なので、割と裁量を持って上流工程から関わり自走する環境の方がフィットすると思いました。その視点で業務内容がマッチするかを判断していました。逆に、細かく指示がもらえる環境だったり、とりあえず手を動かして量産してくれればOK!のような環境は私にとってはマッチしなさそうです。
また、共創も一つのテーマだと思ったので、同じ方向を向いている人がいるデザイン組織に所属したいと考えました。
③アート文脈のデザイン組織
※まだ言葉が曖昧かつ完璧に整理できていない部分を多く含みます
アート文脈のデザイン、エンジニアリング文脈のデザインで少し違いがあるように感じています(切り分けられるものではなくグラデーションだと思っている)。UIUXデザインはソフトウェアの領域が多いためエンジニアリング文脈でデザインに派生した人材・組織も多いと思います。
個人的には自分の考え方やこれまでやってきたことはアート文脈のデザインが原点で、その視座を持った人と働くことができると、コミュニケーションコストが少ないように感じています。そのため、なるべくアート文脈のデザインの視座があるデザイン組織で探すことにしました。
ポートフォリオで考慮したポイント
自分の最も苦手なフェーズです。ただ、今回はちゃんと自分を知ってもらうためのポートフォリオにするため耐え忍んで作成しました。工夫したポイントを一部書き残しておきます。
作成形式
今回はfigmaで作成し、提出はfigmaプロトタイプのリンクで行いました。
最初はポートフォリオサイトの利用も考えていましたが、書きたい内容をうまく落とし込めなかったので断念。枠が決まっているスライド形式よりも上から下にスクロールで見てもらう方が良さそうと感じたこともあり、figmaで作成しました。自分の書きたい内容に合わせて一から形を作ることができて良かったです。修正も元のデータを直すと即時反映されるので、取り回しも優れていました。
一方で、作業しているPCでは問題がないのですが、別のPCで見ると一部のフォントがバグり散らかしていることに気が付きます。ここは確認不足を反省。
自分の強みを明示
転職の軸で”自分はジェネラリストタイプのデザイナーかも”と述べていました。そのため、成果物だけでなく案件へのコミット方法に強みがあると思い、案件における自分の役割と、どのように関わったかを明示することが大切だと思いました。各作品にチーム体制図を入れた上で、自分のアウトプット内容を説明する流れにしました。
とにかく言語化
”人とコミュニケーションをとりながらデザインをすること”を大事にしているので、可能な限り言語化を行い、伝える力を見せたいと思いました。
うっかりすると冗長な文章になるので、文章を書く→見る→不要な箇所を削る、を繰り返して自己添削しています。
構想3週間、実際に手を動かしたのは1〜2日という過集中の極みスケジュールで仕上がりました。
今回、自分のポートフォリオの雛形を作ることができたのも大きな成果です。今後はこの雛形でアップデートをかけていきます。
面談・面接の記憶
カジュアル面談
カジュアル面談はラフにお話したかったのであまり事前準備はせずに臨んでいました。話す中で、オープン就労の件について相談できそうな相手だった場合は踏み込んで質問したり、面談担当者の方が個としてどのように考えているかを深掘りしていることが多かったです。
選考
転職で聞かれやすい質問については要点だけメモにまとめて準備しました。あとは自分の考えや回答内容の一貫性を重視して、事前アンケートやポートフォリオの記載内容を見直しました。
回答の精度はもちろん必要ですが、話すスピードや落ち着いた姿勢みたいなものも大事にしていました。
とにかく自己開示
面談や選考でそれらしく回答することは大事だけれども、それよりも大事にしたことがとにかく自己開示することでした。
これから長く働いていく仲間を探している身なので、猫を被ったまま話をするより、ありのままの姿で話をしよう、と決めていました。ありのままの姿で話ができる企業を選んでいた、とも考えます。
そのため、自分の強みだけでなく弱みであったり、個としての考え方も可能な限り伝えるようにしました。今回の選考は色んな企業の方と対話をすることができたので、自分も知らなかったことを知る良い機会にもなって、世界が広がったと思います。
意思決定、最後は直感
選考を経て3社の内定を獲得しました。以下、A社・B社・C社と呼びます。
最初に内定をもらったA社はディレクターへのジョブチェンジとなること、勤務形態の面など諸々を考慮して辞退。デザイナーの職能で内定をもらったB社・C社で最後の意思決定をしました。
前提として厳選した企業に応募していたので、条件が出揃って比較をした上で、どちらに行っても幸せだと思いました。
ということで、最後は直感で決まりました。
目を閉じて浮かんできたイメージが以下です。
「どっちが合うかな〜、自分は透明感を一つのテーマにして生きているし、C社の方が親和性高いカモ!🦆」
ということで、C社にしました。
※もっと厳密に精査をするプロセスを踏んだ上での選択です※
論理的に説明する!合理的に判断する!などと日頃主張しておきながら、
結局は感性で生きている人間だな〜と…思いました。
おわりに
今回の転職活動は、”今やれることは全部やりきった”という達成感があります。
内定のタイミングから選考途中の企業を辞退するかどうか悩んだ時期もありましたが、全ての選考を受け切ると自分で決め、完走することができました。なので、「あの時最後まで受けていたら違う未来だったのかな…」というような後悔もありません。
自分で意思決定して決めた道、自信を持って歩いていきたいと思います。
ここまでご覧いただき、誠にありがとうございました。
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