時計

父、施設入居から1年

昨年の1月、足病変が発覚した私の父は、下肢切断を免れ2ヶ月半の入院後、帰宅することなく介護施設に入居した。

施設で仕事をしていると、珍しい話ではない。                それまで、そんな話を聞いても、どこか他人事にしか思えなかった。   

退院が決まっても足部の傷は治らず、主治医には次に悪化したら切断になると言われた。 父は独居、自分で毎日、足を洗ってガーゼを変えられる訳もなく、どうしたら良いか家族で悩んだ。    

足の傷だけでも途方に暮れるけど、その上にアル中、糖尿病、肝臓癌もあるのだから一人で生活できる訳がない。特に「酒」が厄介。              退院前に探しまくったけれど中々、受け入れ先は見つからなかった。

私の気持ちとは全く逆方向で、父は家に帰るつもりでいる。          看護多機能もたずね、一度は引き受けてくれると返事をもらったけれど、認定調査の結果が間に合わず介護がついてないので断られた。             

結局、仕事で散々お世話になっている法人の偉い方に相談し、受け入れてもらえることに決まったのが前日のこと。

「うちに来なさい」の言葉に、心からホッとした。              翌日、退院手続き後、父にはどこに行くとも言わずに施設に連れて行き、入居の手続きをして私は帰った。                          その後の1週間は、毎日のように文句の電話がかかってきた。         

あれから1年の間にも、色々とあった。                   一生、治らないと言われた足の傷は、施設看護師の毎日の足浴と処置のおかげで、今ではキレイにふさがっている。                      お酒も飲む機会がないので、何とか体調も維持している。           肝心の気持ちの方も、すっかり納得しているわけではないはずだけど、「家に帰る」とは言わなくなった。            

これも全部、施設の方々のおかげ。                     独りで家で昼も夜も関係ない生活をして、酒を飲む毎日をしていたら今頃、生きていないかもしれない。 とても人間らしい生活とは言えない。        

本人の気持ちを無視して、娘が強制的に施設に入居させるなんて!!と、批判する人もいるかもしれない。                          でも独りで酒に酔って、呂律の回らない父なんて大嫌い。           今は会うことは少なくなったけれど、まともな会話ができる。

1年、あっという間だったけれど、また父を好きになれた。          本当に1年って過ぎれは早いけれど、色々あるなあ・・・

              


       


「フットケアだより」ダウンロード役に立った!勉強になった!と思われた方は、サポートして頂けると嬉しいです。さらなる勉強のために使わせていただきます。