シリーズ:米国のアジア人脈 ⑭ 及川正也 NSCの中核担うポッティジャー氏 安保担当の大統領副補佐官に昇格

NSCの中核担うポッティンジャー氏
安保担当の大統領副補佐官に昇格
及川正也・毎日新聞論説委員

トランプ米政権の安全保障チーム「国家安全保障会議(NSC)」の刷新が進む中、アジア政策を含む外交の要として注目されているのが、マシュー・ポッティンジャー氏(46)だ。トランプ外交の最優先課題である中国と北朝鮮問題で辣腕を振るい、大統領の信頼も厚い。強硬派のボルトン氏に代わって国家安全保障問題担当大統領補佐官に就任したオブライエン氏から副補佐官に抜擢された。ポッティンジャー氏とは。

安保政策ナンバー2

ポッティンジャー氏の起用をオブライエン大統領補佐官が発表したのは、9月22日、トランプ大統領が国連総会出席のためニューヨークに向かう大統領専用機の機中だった。オブライエン氏はその前週、政権内の意見の相違からトランプ氏が解任したボルトン大統領補佐官に代わって任命されたばかりだった。そのオブライエン氏が真っ先に「片腕」として選んだのがポッティンジャー氏だ。

国連総会では、ホストする側の米国は、各国の首脳・高官らとの協議が目白押しだ。政権内の混乱を露呈させた「ボルトン更迭」で、同盟国から敵対国まで、米国の次の安全保障チームの体制がどうなるかは、衆目の関心事だった。外務省の幹部は「トランプ外交の裏方を仕切ったのはNSCのアジア上級部長のポッティンジャー氏だった。その人物を安保チームの中枢に据えたことは、同盟国に安心感を与えた」と話す。

国務省の人質交渉担当として評価が高いオブライエン氏は現在、NSCの改革に取り組んでいる。大幅なリストラで現在の3分の2の117人まで人員を削減し、機能もホワイトハウス主導の外交・安保政策ではなく、より国務省や国防総省との調整役を重視するという。そうした中で最初に側近に起用されたのは、それだけ期待も高いことを示しているといえよう。

記者から海兵隊へ転身

ポッティンジャー氏の経歴は変化に富んでいる。司法省高官からウォールストリートのバンカーに転身した父に持ち、マサチューセッツ大学で中国語を学んだ後、1998年に英通信社ロイターに就職。中国特派員としてキャリアをスタートさせ、米紙ウォールストリート・ジャーナルに転じた後も中国取材を続け、中国政治の腐敗などを報じた。米ジャーナリズム最高の栄誉ピューリツァ賞にノミネートされた。

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