シリーズ:米国のアジア人脈⑨ 毎日新聞論説委員 及川正也 「政治犯」釈放へ米議会が法案 主導する人権派のアンドルー・レビン下院議員

米国でミャンマー政府の人権問題に対する不満が高まっている。4月には相次いで対ミャンマー法案が議会に提出された。上院案は制裁・懲罰強化を盛り込み、下院案は「政治犯」の釈放を促した。ミャンマー政府は5月7日の恩赦で国際的に関心を呼んだロイター記者2人を釈放したが、その後も法案の賛同者は増えている。下院の法案「ビルマ政治犯支援法」を提出したのは、アンドルー・レビン下院議員(58)=民主党=だ。ユダヤ系米国人という出自を背景にする政治家一家に生まれたレビン氏は人権問題に長らく取り組んだ筋金入りの「人権派」議員で、学生時代にはアジア言語を学んだ「アジア派」でもある。有力議員が名を連ねる上院法案とも合わせて、ミャンマーの人権問題への動きが鈍いトランプ政権を突き動かす狙いがある。制裁機運が高まれば、トランプ米大統領もミャンマー問題に向き合わざるを得なくなるだろう。

アジアの言語文化に精通

レビン氏が提出した法案は「ビルマ政治犯支援法」(Burma PoliticalPrisoners Assistance Act)で、4月15日に外交委員会に付託された。与党・共和党のアン・ワグナー下院議員が共同提案者になっている。法案では「国務長官に対し、ビルマにおける良心の囚人と政治犯の釈放の実現に取り組むビルマの市民社会団体に対する支援、良心の囚人と政治犯、その経験者に支援を提供するよう求める」としている。

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