いくあてもなく

行くあてもなくて、友達でもない誰かと話したくて
クラブに毎日のように通った
あの頃がふと頭に浮かんだ

どこかきもちわるくて
でもどこかここちよくて
ずっとここにいたくて

耳の中の音も
ぼやけて、ただただ手首から脈打つのが聞こえてくるようだ

どこかでしっかり音にまみれていたいのに
どこかそとでコンクリートの冷たさを感じたい

次の曲は何かななんて何かをかんがえてるようで
気持ち悪くて外に出たいななんて、何にもかんがえてなんかない

気がつくと機械まみれになって
検査室の片隅にいて、看護師さんに囲まれていた

カウンターから聞こえてくる
もう水飲んどきな

ではなく

いつもと違う様子だからすごく心配だよ

そう、
クラブの店員ではなく、看護師さんの声が聞こえて、水を渡された

ここはクラブではない
病院なのだ
これが現実と夢の境目

次から次へと
体が悲鳴をあげる
次から次への
次はどうやら心臓のようだ

脈がどんどん早くなっていくのに、血圧がどんどん下がっていく。
気持ち悪くなって、涼しいのに汗が止まらず何回も意識が遠のいて行く

クラブでベロベロによって、スピーカーの前に行って、
意識が遠くへ行きながらもローの四つ打ちだけを感じていた、あの時のような感じだ


先生からは
心不全だと告げられた

また病気が増えたってことだ
一瞬また「なぜ自分ばかり」という考えが浮かんでくる

でもまだぼくには

耳がある
声もでる
心がある
友もいる
命がある
命がある
命がある

心音がドクドクと生々しくそれを証明した


まだ…
かたちを
かたちを残していない
かたちを残していきたい
天命を果たせていない
天命を果たしていきたい
そこまでは這いつくばる
血を吐いても、飲み込んで起き上がる

生きる
とにかく生きる
友よ、そこまでは一緒に付き合って

そして、
綺麗な赤い
朝焼けの空を
みんなで笑いながらみれたら、

そう思うんだ

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