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【エッセイ】1ヶ月間、毎日AIと小説を書き続けながらもがいたこと、面白かったこと

「AI小説百話」と題して、これまで約1ヶ月、AIと一緒に書いた小説をツイッターにて公開してきました。AIにあらかじめ書いてもらった文章の中から、良さそうなものを私が編集して公開しています。

本記事では、実際に1ヶ月やってみて感じたこと、考えたことを、備忘録もかねてダラダラと書いておこうと思います。

目下の問題は、時間がないことですね。編集済みストックは開始早々に使い切ったので、今は投稿前日や当日に準備を行っています。投稿時間が安定していないのはそのせいですね。

休みの日にストックを増やせればいいのですが、なかなか忙しく手が回っていません。

あまりツイートしたりしませんが、裏では真面目に資格勉強をしたり、小説の技法書を読んだり、在宅が増えたので「リングフィット」を始めたり、小説の勉強のためにアマプラで「ショーシャンクの空に」や「レオン」を観たり、小説の勉強のために「呪術廻戦」や「メイドインアビス」を観たり、小説の勉強のために「サイバーパンク2077」でナイトシティをバイクで駆け回ったり、小説の勉強のために「アンリアルライフ」でAI信号機と旅をしたりしている訳です。

さらに積ん読の山は増え続けているし、ウィンターセールで買った「デス・ストランディング」や「Outer Wilds」も積んであるし、「ポケモン剣盾」は雪原のど真ん中で立ち止まっているし、「Undertale」も「ニーア」も途中で放置してるし、減ってしまった他人との触れ合いを求めて「APEX」で(マイク繋いでないし、フレンドもいないけど)当たらないマスティフをぶっ放しているのです。

これでは箱推しのホロライブの配信を観る時間も限られてしまうではありませんか。

……私の杜撰なタイムマネジメントはさておき、これまでの経緯を振り返っていきましょう。

最初は、自分の小説から適当に取ってきた文章を最初の入力にして生成された文章を使っていました。ここでの最初の入力は、投稿している小説には残していません。
https://twitter.com/AshizawaKamome/status/1341322589763825666

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なるべくAIの文章を残そうと思っていたので、私の書いた文章の比率は一割も無いくらいです。文法的に変なところを直したくらいですね。

「ハートシェイピール」って単語は、完全にAIの造語です。私もよく分かりませんが、多分意味はハートシェイピールでハートシェイピールなハートシェイピールのことです。

中盤は、なんとなくドロドロした人間臭さを感じます。つまんない邦画っぽい。

冒頭で書いたような「有意義なこと」に時間を使っている間にAIが書いてくれるので、簡単にストックができるのは良かったです。

ただ、これだと「なんじゃこりゃ」という感じのよく分からない文章になってしまっていました。人間の想像力を超えた小説と言えなくもないですが、「これを続けても読んでくれる人は少ないだろうな」という問題意識はありました。

そこで、時節を反映した小説を書けたら面白そうだと思い付き、クリスマスっぽい文章を入力にして、クリスマス投稿用の小説を書いてもらってみました。初めから、ある程度人間の意図に沿った小説を書いてもらうようにした訳です。
https://twitter.com/AshizawaKamome/status/1342409761011212288

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結果的にクリスマスというワードを含んだ小説にはなりましたが、人間の思う「クリスマスらしい小説」とはかけ離れてしまったように思います。

「結局、『クリスマスの神様』って何だったの?」ってツッコミたいのは私も同じです。

途中で「ケーキ」が頻出していますが、こういう現象はAIの文章によく見られます。しかもケーキの概念が崩壊しているので、最低限意味が通るようにするのも大変でした。

後半、恋愛小説っぽくなっていますが、AIの文章では恋愛展開になることが割とよくあります。学習データのせいですかね。モデルはgpt2-japaneseのgpt2ja-mediumをお借りしています。

ボツにした中には、「お前らがくっつくなよ」と言いたくなるパターンもありました。

これ以降、物語への人間の介入する部分を少しずつ増やしていっています。
https://twitter.com/AshizawaKamome/status/1344586984979742720

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例えば、文脈的に主語が変な場合は適切な人物に置き換えたり、行動をストーリー的に都合がいいように改変したりしました。

上記では、元の文章が百合っぽかったのでガッツリ百合小説にしてしまいました。イイネと感じてくれる人はいるかもしれません。この不勉強な怠け者は百合を読んだことないですが。

現実的・物理的にあり得ない文章が出てきたりするのは、AIらしさのある良い面もあるのかなと思っています。「私の心音に気を良くした」とか「蛍のように赤い色の声が出た」とかは、元からある文ですね。私は凝った表現の文章を追加しないようにしているので、いい文章だなと思ったらそれは大体AIの文章です。

こうして続けるうちに一つのデメリットを感じるようになりました。小説では、冒頭部分で世界観や登場人物を説明することが一般的です。

しかし、AIに世界設定や登場人物を”明確に”認識させることはできていないので、冒頭での設定説明が無いままに物語が進んでしまっているのです。

そこで、私がツイッター小説を連載している時に使っていた手法を応用することにしました。それは、複数の話で世界観を共通させるというものです。要は、連載です。例えば、以下のようなパターン。
https://ncode.syosetu.com/n2012r/31/

同じ世界観、登場人物の設定の下に複数の物語を配置することで、二話目以降は設定が頭に入ってきやすくなります。

ただし、話同士の間で齟齬なく書かせる技術は持ち合わせていません。死んだはずのキャラが次話で平然と登場しても困る訳です。

そこで、それを回避するために、話の開始点と終点を決めてループできる構造の物語を書いてもらうことにしました。「水戸黄門構造」とでも言えば分かりやすいですかね。これで一話完結にしやすくなります。

それが無限に下降し続けるエレベーターの話です。
https://twitter.com/AshizawaKamome/status/1344780374606548996

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このネタも、最初はツイッター小説として書いていたものを流用しました。
https://ncode.syosetu.com/n2012r/67/

ちなみに、その後に「AI小説百話」で使っているのも過去のネタです。

ロボットと漂流する話
https://ncode.syosetu.com/n2012r/50/

文字が動き出す世界の話
https://ncode.syosetu.com/n2012r/14/

最初と最後の文は、私の書いたものをそのまま使っています。

「建物からぶら下がった球体」とか、「影」がなんやかんやしてるとかいう不思議展開になってますが、なんとなく分かるような分からないような印象にはなっているのかなと思います。

ループ構造で、しかもAIの意外性のある物語にも耐えられる幅がある物語を採用することで、物語に入り込みやすくしてみました。

ただ、それは書き手側の都合でしかないので、読者を楽しませられたかどうかは微妙なところだと感じていました。

現状、楽しいと感じてもらえる文章にするには、人間による介入を増やすしかありません。そこで、これまでは初めにだけ与えていた人間の文章を、生成中に断続的に挿入することにしました。

それが、現在連載中の「文字が動き出す世界の話」です。
https://twitter.com/AshizawaKamome/status/1350080295933005828

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「それは知人の……虫のように。」「もう論文が読めなく……書き留めなければなるまい。」「私は逃げ回る……逃げてしまう。」「そこで私は、スマホで……動き出していた。」「私は頭を……分かった。」は、それぞれ生成途中で加えた私の文です。他にも、加えたものの編集過程で削除した文もありました。

これにより、ループ構造でなくても、あらかじめ私が設定したストーリーに沿った文章になりやすくなります。話の自由度は増え、いい感じにオチをつけやすくなりました。そのためにちょっとアルゴリズムを変えたりもしましたが。

問題は、毎回ストーリーを用意する分、時間が取られるということです。全体の三~四割くらいは私の文章でしょうか。正直、面倒です。もっと楽したいです。

このまま平日に毎日更新し続けられるかどうか、あまり自信はありません。「有意義な時間」を削れという話ですが。

しかしながら、こうして振り返ってみると、この怠け者がこれまで毎日欠かさず1000文字程度の短編を投稿し続けられている理由は、執筆の一部をAIで代替しているからだと断言できるでしょう。

この一ヶ月で小説として仕上がった合計文字数は、約30000文字。百話続ければ約100000文字となり、文庫本一冊程度にはなります。

それが達成できたら、記念に同人誌として紙の本を作ってみようかな、と考えています。十冊くらい印刷すればいいんですかね、よく分かっていませんが。

何はともあれ、まずはあと二ヶ月、書き続けなければ話になりません。自転車操業なので、体調を崩したら一発アウトです。やばいですね(笑)。

やる気が余ってる人は、この怠け者にお恵みください。

それではまた。

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