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The Bellini(ザ ベリーニ) ―桃には桃を。掛け合わせで見える本領

 最近は風味付けしていない茶葉を取り上げることが増えてきた気がするが、紅茶ブランドTWGのフレーバーティー全てを試した訳ではない。今回は、桃とスパークリングワインで作るカクテルと同名のThe Belliniを紹介する。


 果物が入ったカクテルと同名のため、爽やかな桃の香りを想像していたが、袋を開けてみると、想像よりも甘めの印象だ。イメージ的にも、フルーツというよりもココナッツに近い気がする。抽出して飲んでみても、あまり桃の風味はない。茶葉から感じたのと同様に、ココナッツが近いと思う。今まで取り上げた中だと、ココナッツに果実が入ったHarlequin Tea(ハーレクイン ティー)が似ているだろう。また、少しアールグレイを彷彿とさせる部分も感じられた。

 飲み方としては、一応ストレートが良いと思う。絶対と言えないのは、個人的にまだしっくりとくる飲み方に出会えていないように思えるからだ。ちなみに風味から合いそうだと推測してミルクティーも試してみたのだが、悪くないもののピタリとはまる感じはしなかった。

 個性が突出するあまりペアリングが難しい、という茶葉ではないものの、ある程度合う食べ物の傾向がある。マリアージュを考える際は、Coconut Tea(ココナッツ ティー)や前述のHarlequin Tea(ハーレクイン ティー)が参考になりそうだ。

 食事系は紅茶の持つ風味から考えて、バタートーストならともかく、基本的にあまり合わないと推測していた。しかし、牛肉のトマトソース煮込みを塗ったトーストと合わせてみたところ、意外にも結構マッチしていた。理由は定かではないが、トマトの持つ酸味が桃の風味と呼応したのではないかと考えている。他にどのようなペアリングが良いか明確な基準は提示できないものの、私が試したトーストのように、酸味の要素があれば成り立ちやすいのではないかと思う。

 スイーツと合わせる場合、1番良いのは桃を使用したタルトやケーキだろう。あまり桃の風味はないと書いたが、桃のキャラメル煮とオレオを混ぜたクリームチーズのサンドイッチと合わせてみたところ、非常にマッチしていた。どういう仕掛けか不明だが、単体では感じられなかった桃の風味をペアリングによってしっかりと実感できるので、ぜひ試してみて欲しい。

 次におすすめなのは、ココナッツのような風味に合いやすい焼き菓子だろう。具体的には、バニラかチョコレート風味のクッキーやマドレーヌなどだ。個人的には、エッグタルトやバニラのシフォンケーキとペアリングしみたところ、紅茶の甘いフレーバーとよく合っていた。

 The Belliniは大体の菓子と楽しめると思うものの、果実味が強いフルーツゼリーやタルトのような爽やかな味わいのものとは、あまりしっくり来ない可能性が高い。茶葉に付いた名前から考えるとかなり不自然な気がするが、フレッシュな果実味が前面に出た物は避けることをおすすめする。


 最後に、The Belliniは量り売りのみの販売となっている。ティーバッグがない分、扱いづらいとは思うが、TWGの中では比較的安価なS$10.75(約1,075円)と試しやすい価格帯の1つではある。同じ名前の酒をイメージして飲むと違う、と感じるとは思うものの、カクテルが好きならきっと面白いと想像するので、試してみてほしい。

The Belliniの量り売りが入った袋。


↓Coconut Tea(ココナッツ ティー)の記事はこちら。

↓Harlequin Tea(ハーレクイン ティー)の記事はこちら。


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