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「量より質」の質とは

PRESIDENTオンラインで、ビールのマーケティング部門で働く40代女性の記事を読んだ。

彼女は小学生のお子さんを育てるワーママなので、育休復帰後から課長になった現在も「17時退社、夕方からの会議や土日のイベントも原則出ない」という働き方らしい。


なにげなくその記事を読み始めて、あっという間に心をつかまれ、読み終わった頃には、同じワーママの友人たちに「この記事読んでほしい!」とシェアしていた。


私としては、彼女の所属する部署には彼女以外に「子どものいる女性」がいなくて(そもそも男性ばかりの部署)、定時退社で人より仕事に使える時間も少ないのに結果を出した・・という彼女の有能ぶりを伝えたかったんじゃなくて。

記事中で紹介されていた「量より質」の考え方に、ハッとさせられたのだ。


量より質。

育休復帰後の女性(もちろん男性も)は、心にそっと抱く言葉じゃないかと思う。


有限の時間で出来ることは限られているから、仕事の精度を上げよう。

でも、現実はなかなか思う通りにいかない。


子どもはしょっちゅう熱を出すし、保育園で何かしらのウイルスをもらってくるし。

私の友人も「毎週、保育園から呼び出されてツライ」と。

誰が悪いわけでもないのだが、そんなときに真っ先にママに連絡が来るという現実に、夫への不公平感もぬぐえない。


もちろん、その記事の女性にだって、そういう局面はたくさんあった。
自分の存在意義を問うこともあった。

そんな中での、上司からの言葉が素晴らしいのだ。


「〇〇さんの見方とか物事の捉え方は、〇〇さんにしかないものだから、それをもっと出していってほしい」


そしてもっと素晴らしいのが、その言葉を受けた件の女性課長・〇〇さんが「量より質、の質とは私である意味。ほかの人と同じ働き方をするのではなく、私らしい成果が求められているんだ」と理解したということ。



質=私らしさ、私である意味


これは、ワーママに限った話じゃない。

すべての働く人に向けてのメッセージだと思った。


時短で働く人への配慮として「出張させない」「業務分担の量を調整する」などがあるかもしれないが、決してその人の能力を低く見積もっているわけではない。

「配慮」としてなされる。

でもそれが逆に、本人にしてみれば、心苦しいというのかやりきれない気持ちになることもあるのではないか。


一方で、調整された業務は、そのしわ寄せを当然受ける人もいて。

その人への配慮はどうなるの?という問題もある。



多様な背景を持つ人たちがまったく同じ働き方をするなんて、そもそも出来るわけがないのかもしれない。

だけど、制度や規定は、もちろんあって然るべきなんだけど。

チームで働く以上、チームメンバーのスタンスとしては、「一人一人がそれぞれの質を高めて、仕事はみんなでやっていこう」と思えることが何より大切なんじゃないか。


誰にだって、時間は有限だし、能力も出来ることも限られている。
ただ、その得意分野がそれぞれで違うのだから、カバーし合えれば良い。


キレイゴトだろうか。

でも、この4月に第一子の育休から復職した私としては、とても胸に響いたのだ。



友人たちに、この記事をおすすめした数分後。


「泣いた!」

「ありがとう!」


友人たちのリアルなエピソードとともに共感の言葉をもらって、また泣けた。



実は私も、この記事を読んだ時に、数日前の出来事を思い出した。

若いメンバーだけのミーティングに、オブザーバーとして入ってほしいと声をかけてもらって参加したのだが、気になった点をいくつかコメントさせてもらった。

ミーティング後に「あー、あんまり言うのも良くなかったかなぁ」とちょっと反省していたら、ファシリテーターをしていた女性に「たくさんアドバイスいただいて、ありがとうございます。やることや考えないといけないことがちゃんと見えてきました」と言ってもらえて。


感動してしまった。
その女性の謙虚さと配慮の優しさに。

ミーティングに声をかけてくれて、こちらこそ「ありがとう」だ。



私らしさをどう発揮していくか。


自分の得意分野を誇示することじゃない。

自分らしい視点で相手に気づきを与えること、自分自身が行動すること。

気負わず、やっていきたい。




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