見出し画像

【実施レポート】あしらせユーザーさんのリアルな声を聴く会 第2回~神奈川県にお住まいの全盲ユーザーさんご登壇~

こんにちは。私たちAshiraseは、視覚障がい者向けのナビゲーション「あしらせ」の新モデルを今秋に発売開始を目指して開発を進めています。

前回は、「あしらせユーザーさんのリアルな声を聴く会」の第1回目として、北九州にお住まいのあしらせユーザーさんに登壇いただき、実際にあしらせを使ってみた感想や、良かった点、改善してほしい点などのコメントをたくさんいただきました。

まだご覧になられてないという方は、是非こちらの記事もご覧ください。

今回は、先日開催された「あしらせユーザーさんのリアルな声を聴く会」の第2回目の内容をお届けいたします。
ゲストは、神奈川県にお住まいの鈴木さん。鈴木さんには、様々な視覚障がい者向けのサービスを使ってきた経験を踏まえて、あしらせの魅力を率直に教えていただきました。

以下より対談サマリをご案内します。動画での様子は以下のYoutubeページからご覧いただけます。

対談サマリ 第2回目ゲスト:鈴木さん

【鈴木さん プロフィール】
・54歳男性。平日はヘルスキーパーの会社にお勤めされている。
・10歳辺りから全盲。それまでは色や物体の区別はできていた。

オンラインイベント中の様子と、弊社香山の写真

ここからは、鈴木さんにお伺いしたお話の内容をご紹介します。

普段の外出頻度や移動方法

・基本は単独歩行で同行援護は使っていない。白杖を使って出かけている。

・中学生の頃は白杖だけで単独歩行をしていたが、年齢と共に勘が鈍っていると感じ、10年前くらいから様々なデバイスやナビを使用し始めた。同時期から行動範囲が広がり、今まで全く行っていなかった場所に行ってみたりもしている。

歩行時に利用しているサービスについて

・現在はあしらせとブラインドスクエア、アイナビ、OKOを併用している。いくつかサービスを併用している中で、どのサービスにも強みと弱みがあるように感じているので、色々使い分けをしている。

あしらせの使い方

・休みの日のお散歩や週末のお出かけの際に使用している。

・ほぼ振動のみで使用しているが、不安な時や初めて行くところに行く時などは音声も重要な手がかりになるので、あしらせアプリの音声も聞いている。

・自分は神奈川に住んでいるが、高田馬場や銀座で催しがあったり、友達と会ったりするときに、目的地のお店の名前と最寄り駅さえわかれば、あしらせで検索して歩いていく。

・歩いている途中にコーヒーが飲みたくなったりお腹が空いた時などは、AIおすすめ検索を使って、そこに立ち寄ったりしている。

・家族や友人と歩くときに、今まではその人のナビゲーションがないとどこにも行けなかったが、あしらせを使って「ここに行ってみない?」と提案することもできるし、自分が近くまで案内することもできるあしらせを使って、自分が案内する側になることもできている

あしらせの強みとは?

あしらせは方向を教えてくれるところに強みがあると思う。目的地がどっちの方向にあるのかを検知して、今からどっちに進めばいいのかをスタート地点から教えてくれる

・例えば行く方向で東西南北の指示が出たときに、その東西南北が分からないとiphoneや音声コンパスで調べてからじゃないと歩きだせない。あしらせはその必要がないので、荷物を一つ減らすことができた。

歩いている方向が正しいと両足の甲が振動をして目安になるし、アプリの音声でも正しい方向を歩いていることや、何メートル先に曲がり角があると教えてくれることが、頼りになって安心感がある。

振動で教えてくれるのもとてもありがたい。車の通りが激しいところに行った時などは、特に振動で教えてくれることが頼りになる

他サービスとの使い分け方

あしらせは交差点が近づいていることを教えてくれるので「そろそろ信号なんだな」と認識して歩くペースを調整したりしている。そして、実際の交差点に差し掛かると、アイナビやOKOを立ち上げて信号の検知をしている。

・ブラインドスクエアは場所と場所がどれくらい離れているかのシミュレーションできる機能があって、それでルートを作ることができる。その情報をあしらせのお気に入りに登録すると、ここは歩けそうとか、ここはタクシーじゃないとダメだなとかが分かるので、確かめながら歩くようにしている。

あしらせ購入を検討されている方へのアドバイス

・正直、このあしらせがあればどこにでも一人で自由に行けるというわけではない。ですが、いままでどんな食べ物屋さんがあるとか買い物できるところがあるとか、そんなことが全く分からなかったものが、あしらせを使うことで知って近づくことができる

今までは誰かに連れて行ってもらえないといけなかったのに、自分で近づいていけるという魅力がある。もしかしたら、すごくプライベートなことであまり知られたくないものの買い物に行く時、自分一人で行くためにあしらせが役に立つのではないかと思う。

・そのためにもある程度の練習が必要なのではないかと思う。

参加者の皆さんからの質問

質問1.ほとんど視力はあてにならない状況なのだが、音声やVoiceoverを頼りに利用することはできるのでしょうか

回答)白杖単独歩行でも盲導犬でも、多少の歩行スキルや練習は必要だと思う。自分もそうだったが、最初は分かりやすい、自分がひとりで行けるコンビニでも何でもよいが、そこをあしらせを使って行ってみる。わかりきった道を行き来したり、敢えてルートから外れて歩いてみたりして、アプリの操作や振動、あしらせの癖や特徴を把握することが大事だと思っている。自分の場合は、1週間くらいこれを繰り返すことで特徴をつかむことが出来た。

当社香山から補足)あしらせユーザーさんの中には、半年ほど慣れるのにかかったという声もある一方で、普段から単独歩行されている方だと数回使って慣れるという方もいるため、個人差はありますが、お一人おひとりのペースに併せてご利用ください。

質問2.あしらせのアプリを使っての行先登録のやり方も教えてほしいです。どのように目的地を設定して、どのようにして目的地を探したりしていますか?

回答)例えば、「ファミリーマート」といって検索をしてそこでお気に入り登録したり、散歩の途中で「コンビニないかな」と思った時には、「近くのコンビニ」と検索をかけてそこでお気に入り登録をしている。AIおすすめ検索はかなりアバウトな言い回しでも検索がかかるので、助かっている。
ついこの間、コーヒー飲みたいなと言って検索かけてお店が出て50mから100mくらいで方向指示があり、あしらせだけを頼りにして、行ったことがないお店に行くことができた

質問3.あしらせのセットアップはご自分でされましたか?それとも、ご家族やヘルパーさんなどの晴眼の人たちに手伝ってもらいましたか?

回答)Bluetooth等されている方であれば全く問題ない。私も1人でしました。設定というほどの大袈裟なものではないくらいに簡単だった。

当社香山からの補足)鈴木さんはすごくスムーズにされていますが、もちろん個人差はあると思います。できるだけセットアップを簡単にするために、Voiceoverなど音声のみでセットアップできるようなご案内を充実させたり、サポートデスクでもご対応させていただいております。

質問4.革靴しか持たないが、利用にはスニーカーなどを購入する必要がありますか?あるいは、お勧めのシューズを紹介していただけますか?

回答)基本的にはスニーカー。革靴も履いて試したことはあるが、革靴だからダメということはなかった。

当社香山からの補足)革靴にもつけられる形状です。薄めのパンプス、横が薄いといったものでは、つけずらい場合があるので基本的にはスニーカーがおすすめです。

質問5. 率直な質問だが、満足度や買ってよかったかどうかを知りたい。点数をつけるとしたら何点ですか?

回答)昨年の横浜で体験歩行があったときはアプリの強制終了があり、振動も適当で正直使えないだろうと思った。ほとんど可能性にかけたという形だった。これによって今までのアプリとあしらせで行けるところが広がれば良いと思った。このあしらせだけではすべてというわけではないので現状は70点くらいでしょうか?買ってよかったと感じます。

質問6. 今まで使用していて、危なかった場面などあれば教えてください。

回答)アプリの情報が必ずしも正しいわけではないので、「間もなく交差点です」と言われた時には交差点に乗り上げたりしているときがあった。また、危険とは少し違うが、ある方向に歩いている時はずっと正しい方向だというが、曲がった際に突然つきましたといわれたこともある。致し方ない部分ではあると思うが、そのためにも練習をしっかりしてあしらせの癖を熟知して使用しないといけない。

質問7. 大雨や水たまりにはまっていたりの時、防水と汚れも気になるのだが、汚れたなと感じるとき推奨している手入れの方法があると教えてください。

当社香山からの回答)こちらはあしらせから回答いたします。利用自体は大丈夫ですが、汚れや濡れには乾いたタオルやハンカチで拭いてください。中の振動する部分が汚れるというのはないと思いますが、外の汚れは拭いていただくのをおすすめしています。また、汚れだけでなく破損や傷などの心配の声も聴くので、新モデルではカバーをつける予定です。カバーも何色かそろえていこうと思っております。

終わりに

いかがでしたでしょうか。鈴木さんのお話では、利用開始時にあしらせの練習を徹底して行い、サービスの出来るところと出来ないところなど特徴を明確に把握して利用されていることがとても印象的でした。様々なサービスを試されてきた鈴木さんに、「こんなことができるようになった」であるとか、「買ってよかった」というお声を頂けて、とてもうれしく思いました。

また今後もユーザーのリアルな声を聴く会は開催を予定しております。ご興味のある方はこちらのフォームよりメーリングリストへご登録いただきますようお願いいたします。