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【実施レポート】あしらせユーザーさんのリアルな声を聴く会 第1回

こんにちは。私たちAshiraseは、視覚障がい者向けのナビゲーション「あしらせ」の新モデルを今夏に予約開始することを目指して、開発を進めています。


あしらせのデバイスを靴に装着している写真

先日、2023年に実施したクラウドファンディングを通じてあしらせを購入・利用いただいているユーザーをお招きし、「あしらせユーザーのリアルな声を聴く会」と題して、オンラインイベントを実施いたしました。
今回のnoteではそのイベントの内容をお届けいたします。
第1回目のゲストは、2000年代から視覚障がい者向けの様々なデバイスを利用されてきた山田屋さん。様々な電子機器やサービスを利用されてきた山田屋さんから見たあしらせの魅力について、ぜひご覧ください。

動画での様子は以下のYoutubeページからご覧いただけます。

対談サマリー 第一回目ゲスト:山田屋さん

【山田屋 健次さん プロフィール】
・小学校卒業までは手動弁、色がはっきりわかるくらいあり。
・20歳までは光覚があり、20歳以降は見えなくなってしまった。
・福岡県北九州市在住。

オンラインイベント中の様子と、山田屋さん・弊社代表千野の写真

ここから以下、山田屋さんにお伺いしたお話になります。

移動手段について

・家から800mのところに職場があり。他、交通機関での移動は800メートルほど離れたバス停や、4キロメートルほど離れた電車の駅を使って出かけている。周りには点字ブロックや音響信号などはほとんどない環境。

利用しているサービスについて

・あしらせを使う前はOKOを信号把握に利用。
様々なナビアプリに共通していた問題点は、歩き始めるときににどの方向で歩けばいいかわからないこと。あしらせは、最初の方向がわかることが嬉しかった。

・現在はOKOとあしらせをメインに使っている。あしらせの足りないところである、駅やバス停からの目的地までの行き方の把握はナビタイムの有料版が有効。

あしらせのお気に入りの機能について

マイルートは最初に登録して、毎日利用している。

AI検索機能についても、周辺情報を検索すると住所や電話番号、口コミ情報などがすぐにわかってナビを開始してくれるのでとても気に入っている。また、目的地に早くついたときに、これまではぼーっと待っていたところ、近くのコーヒーが飲めるところを探して入ることができて本当に役立っている。

あしらせアプリの操作性について

・高機能で簡単に操作ができるようになっていて、すごく使いやすい。ほとんどの機能がクリックで、ボイスオーバーも使う場合はダブルタップのみで操作が可能で、初心者にも優しいソフト。
・僕らが扱うアプリはリクエストして2〜3年後に直ることが多いため、あしらせへのリクエストの改善も何年後かなと思っていたが、とても早く変わっている。

あしらせの改善点

・耐久性を上げてほしい。
・音声と振動が同じ情報を伝えていること。音声に適した情報と振動に適した情報でそれぞれいいところと悪いところがあると思う。音声と振動が二重になっているので、そこを整理してもらいたい。
・また現在は検索範囲が50メートルの情報を読み上げているが、田舎だと何もないので範囲を変えられるようになるとよい。
・慣れるまで足が痛いこと。
・靴の形が変わってしまうと思われる方がいること。
・充電をケースに入れて充電できると良い。

改善点に関して、代表千野より

・耐久性については次のモデルでできる限りの改善を行なっています。痛みに関しては柔らかい素材にし、耐久性もあげています。
・靴の形が変わる点や振動と音声による情報については、まだまだ改善の余地があると考えており、次のモデルに向けて検討を進めています。

音声に関して

・今まで音声が歩行の邪魔をすると言われていたが、聴き方が大事だと思う。
・おすすめするのは、オーディオサングラス。長良機器イヤホンは、聞くところが耳の位置から遠いイヤホンが外の音も拾うので良く、華為のオーディオグラスを使っていて結構良い。
音声が苦にならない形で、歩くことができる。

また一人で歩く上では白杖の使い方もマスターしておいた方が良い。あしらせは方向を示してくれるが、上り下りやホームに落ちないといった歩くテクニックは白状で訓練して使えるようにしておく必要がある。
・また使い方次第でガイドを受ける方もあしらせが役に立つと思う。曲がり角や周辺施設を教えてくれるので、介助されながらも自分で歩くことができる。

・あしらせアプリはデバイスがなくても利用価値が高いので、サブスクに入ったアプリだけでも使えるようなコースを考えていただければ嬉しい。

山田屋さんが感じるあしらせの良さ

・あしらせが本当に良いと感じる点として、マイルートで入り口を登録できること。できるだけ入り口の近くに行けるようになり、目的地と違うお店の入り口が開いてしまったりする恥ずかしい思いをしなくなった。

・あしらせと歩くとき、新しいところに行けることをこだわるが目が見えないとはじめての所に行くのがハードルが高い。一方で今まで5回の歩行訓練で行けるようになっていたところが、あしらせを使えば2回3回で行けるようになったり、私は1週間に1回、1ヶ月に1回いく郵便局や買い物、食事などをあしらせで確実に行けるようになれたら良いなと思う。

参加者の皆さんからの質問

質問1. 外で使ったものを部屋の中に入れることに抵抗があるが、専用のバッテリーからあしらせを充電できるようにならないか?

代表千野より回答)2時間程度で充電できるモバイルバッテリーをそのように使われる方もいらっしゃいます。タイプCで充電できるので、よく使う方で2〜3日に1回、通常は2週間に1回の充電で使用が可能です。

質問2.ルートから外れるの定義と、外れた場合の動きについて

代表千野より回答)ナビゲーションの計算の中で、ルートから外れるのは体の向きや距離を見ながら判断しています。基本的に道に沿って歩いていたら外れることはないのですが、GPSの精度の悪いところやiPhoneの機種によって精度が変わるため、次のバージョンで位置情報の精度を高めていければと思っています。
また、道の真ん中か端っこを歩いているかの認識はまだできないので、白杖で確認して頂きながらあしらせを使っていただくことが前提ですが、それらのニーズについても聞いていきたいと考えています。

質問3.バージョン2が発売になった時の、バージョン1のユーザーへの対応について

代表千野より回答)新しいモデルをバージョン1と呼んでいる先行販売モデルのユーザー様にお渡しし、バージョン1を回収させていただく予定です。先行販売モデルの方がいいという方がいらっしゃった場合は、臨機応変に対応を検討していきたいと考えています。

質問4.目的地に行くのに本線と迂回していく場合があるが、迂回の場合安全な場合は修正されるのか?

代表千野より回答)(本イベントの)1週間前くらいにあしらせアプリ内で、できる限り曲がり角が少ないルートと最短ルートを出せるようになりましたので、どちらかを選んでいただくことができる。そういったものが煩わしい場合、普段歩かれる場所であればマイルートに設定いただく形になります。その他、音響信号や展示ブロックなども使えるようにはしていきたいと考えています。

質問5. あしらせ装着時に壁にぶつかったりしたときに故障などはないか?

代表千野より回答)現時点で、壁にぶつかって故障という例は聞いておりません。山田屋さんからフィードバックのあった品質は、靴の中に入れる柔らかい部分の断線しやすいという不具合がありました。新しいモデルでは改善して、断線しづらい構造にしようとしています。また壁にぶつけたりするのは、表面に傷がつくというもので、次のバージョンでは本体の表面にカバーをつけることを進めています。

質問6.あしらせの利用におけるトレーニングの必要性について

代表千野より回答)実際に歩いていただいて、設定したルートに対して振動を確認して歩行していただくのが一番習熟が早いと思います。練習用の情報を音声でご提供していますので、まずは慣れた道で、不安な方はご家族とで、音声を聞きながら歩行していただく必要があります。次のバージョンでは、できる限り振動の伝え方も直感的に感じていただけるように開発を進めています。

質問7.駅を歩く場合のあしらせでのサポートについて

代表千野より回答)現時点では、屋内ナビゲーションはできていない部分です。屋外はあしらせ、屋内はアイコサポートさんという形で、逐一アプリのアップデートはしていきます。

終わりに

いかがだったでしょうか。実際にあしらせの使い始めはがっかりしたものの、改善リクエストの修正やサービス向上のスピードに喜んで下さっていることが印象的でした。バージョン2に向けて引き続き、ユーザーの皆さんのお声を聴きながらプロダクトの性能の向上を進めてまいります。

また今後もユーザーのリアルな声を聴く会は開催を予定しております。ご興味のある方はこちらのフォームよりメーリングリストへご登録いただきますようお願いいたします。