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いすみ鉄道の旅

「いすみ鉄道に乗りに行きませんか?」
夫の元同僚で相撲仲間(相撲…とるのではなく観戦オンリー)のIさんから声をかけてもらった3年前の秋。

Iさんがお仕事で関わった「いすみ鉄道」が登場する漫画を、電車好きな長男にといただいた。当時小3の長男は、その漫画を気に入って繰り返し読んで「もう表紙がボロボロです」とIさんに伝えたところ、「そんなに読んでもらえたなんて感激です!」と喜んでくれた。


嬉しいお誘い
「僕、今ならすごくいすみ鉄道に詳しいので、よかったら一緒に乗りに行きませんか?ナビしますから!

のお誘いに、即決でお返事させていただいた我が家。

いすみ鉄道、千葉の房総半島を走るローカル線。春は沿道いっぱいに広がる菜の花畑……私の中ではこんなイメージだった。

いつもの家族電車旅であれば、どこから乗ってどう乗り換えて、何の電車に何時間くらい乗って、最終的にどうやって帰ってくるか、食事はどうするかなど、入念に下調べしてから出発するのが常だったが、今回は別。
超優秀なナビゲーターさんがいるのだ。頼ろう、こんな機会は二度とあるまい、思う存分頼らせていただこう! 私は完全にデータ無しのまっさらな状態でこの電車旅に参加した。

Iさんと池袋駅で集合して東京駅まで行った。
その先は確か…JR総武線で千葉まで行って、JR内房線で五井(ごい)まで行って、そして「小湊鐵道」(こみなとてつどう)に乗った。

小湊鐵道、千葉の内房を走るローカル線、ディーゼル機関車。

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五井駅から終点の上総中野(かずさなかの)駅まで1時間20分くらい。まだ本日のメインである「いすみ鉄道」には乗っておらず。

うっかり私が「ねぇねぇ、これがいすみ鉄道だっけ?」と口を滑らしたら、長男とIさんから「これは小湊鐵道!!」とダブル突っ込みを受けた。


ポッポの丘、そこは電車の楽園
上総中野駅から「いすみ鉄道」に乗り、国吉駅で下車。そこからタクシーでむかう「ポッポの丘」。ポッポの丘、Iさんがおすすめの場所とのこと。

ようやく乗れた「いすみ鉄道」! 車体のムーミンがかわいい♡

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国吉駅からタクシーを呼んで、ポッポの丘に向かう。ご年配のタクシー運転手さんがやさしく子ども達に話しかけてくれる。
「へぇー、遠くから来たんだね。電車が好きなんだねぇ、いいねぇー」

「ポッポの丘は、鉄ちゃん達にはたまらないんじゃないかな」と言うIさんの予想通り、うちの兄弟にはたまらない場所だった。電車パラダイス!どこ見ても電車。電車しかない。屋外展示してある鉄道博物館のようなところだった。

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ポッポの丘にある「カフェTKG」で美味しい卵かけごはんをいただいた。こちらの卵、とても美味しかった!カフェTKGは電車車内が飲食スペースになっている。

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この時点で、今日の私は何時間電車に乗っているのだろう……と意識が朦朧としてきた。電車好き兄弟に日々鍛えられている私ですらこうなのだから、電車が苦手だとか1㎜も興味がない人だったら耐えられないのではないか。

おなかいっぱいになって眠たく重い体ではあったが、この広大なポッポの丘敷地内で子どもも大人もたくさん遊び、さあ、そろそろ帰りましょうかね、となった。

タクシーを呼び、再び国吉駅に向かう。乗車してびっくり。なんと、行きに駅から乗せてくださった運転手さんだった。

「たくさん遊んだかい?」
「うん!いーーっぱい電車があった!!」
「よかったねぇー」
初めて訪れた土地でやさしくされると、そこがもっと好きになる。


さあ、おうちに帰ろう
国吉駅からいすみ鉄道に乗り、終点の大原駅をめざす。
私たちを乗せてくれてありがとう、いすみ鉄道。

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大原駅からはJR外房線に乗って、とにかく家に向かうのだという気力のみ。外房線に1時間半以上乗って東京駅に着いたときには、胸をなでおろした。

Iさんにたくさんの御礼を伝えて東京駅で別れた。
帰り道は家族全員くたくたで、正直しゃべる元気も残っていないくらいなのだが、
「いすみ鉄道、全駅制覇!」
「小湊鐵道も乗っちゃったね!」
「ポッポの丘、サイコー」
と口々に今日の成果を称えあった。小3の長男、年長の次男、二人ともよくがんばった電車旅だった。

夫が私にだけ聞こえるような小声で
「エコノミー症候群になるかと思った……」
と言い、二人で笑った。今日の6時間以上は電車内だったよね。

電車好きの人というところの〝鉄ちゃん”の、電車に対する愛情を〝鉄分”といったりするけれど、この日の私たちの鉄分、かなり濃いめだったに違いない。

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