私の貧血のお話⑨(最終話)
⑧の続きなります。
たった4日間の入院で
(病院の救急に着いた日はカウントせず。日付けが変わってから入院)
こんなに弱ってしまうとは……。
心底トホホな気持ちだった。
外科的な処置や手術をした訳ではなく、ほとんどがベッドで安静にしていただけなのに。
しかも上げ膳据え膳。
たっぷり休養できたはずなのに、家のスピードとリズムについていけない。
「お母さん、輸血して治ったんだよねー!」
「もうコンビニのごはん飽きたー!」
という息子達に、心を鬼にして伝えた。
良くはなったよ、
でも治ってはいないの、治している途中。
まだこれから子宮の病気を見つけて、治していかないと、また貧血になっちゃうの。
そうならないようにしたいから、協力してほしい、お願いします。
私が戻ってから息子たちは終始ハイテンションだった。
腹立たしいくらいにわぁわぁと騒いだ。
お母さん、お母さん、お母さん。
ふたりとも、もうそんなに小さくはないよね。
でもそれは、心の中の不安を極力出さないようにしてきた反動だと思うと、胸が苦しくなった。
「嬉しいんだよな。寂しかったんだよな」
夫がそっと言った。
小6の次男が寝る前に手を繋ぎたがったり、中3受験生の長男が夏休みの追い込み時期に爆発したり……
暮らしの中には「ゆっくり寝てはいられないこと」がすごろくのマス目のごとく連なっている。
8月の終わり、二学期始業式目前の我が家は、騒然としていた。
本当なら全て自分でやってしまいたいことを、言葉を選びながら家族に頼んだ。
家事は、適当の適当の適当に。
二世帯同居で別の階に住む母の手も借りながら、出来る限り体調回復に努めた。
動悸が怖い。
息切れが怖い。
またあの激しい動悸が起きたらどうしよう。
窓の向こうから救急車のサイレンが聞こえると、それだけでドキドキドキドキが止まらず、身体がギュッと硬くなった。
緊張しながら受けたMRI検査結果を聞きに、退院から2週間ぶりに病院へ向かった。
入院中に診てもらった先生の外来の日だった。
「子宮腺筋症で間違いないですね。
それと前も伝えたとおり、子宮筋腫もあります」
「子宮腺筋症は、私のは、どのくらいの症状ですか?
例えば軽度、中度、重度のような段階で言うと……」
恐る恐る質問した。
「これだけの貧血を引き起こしているので、手術(子宮全摘)対象レベルだと言っていい。
でも貧血の治療を始め、症状も改善してきているので(この日のヘモグロビン数値は9.9)今すぐに手術しなくてもいいでしょう。
問題は、貧血を起こす生理を、閉経までどうするか。
強めのホルモン剤で生理を止める方法をお話ししましたが、このくすりは生理をとめ、一時的に閉経の状態にします。
もし手術ご希望であるなら、このくすりを飲んで、子宮を今より小さくしてからの方がいいです。
このくすりは服用期間が決められていて、最長6ヶ月間しか飲めません。
それとこれは個人差がありますが、副作用が強くて、6ヶ月飲み続けられないかもしれません。
副作用がつらく飲み続けられない場合には、弱めのホルモン剤に切り替えることも出来ます。
もしくは6ヶ月飲み切ったけれど、手術を希望しない場合、こちらの弱いホルモン剤の服用を始めます。
弱めのくすりは生理を完全に止めることは出来ないけれど、貧血に気をつけて、これで閉経が来るまで逃げ込むのも一つの手です。
手術するかどうか迷っていらっしゃるなら、まずは強めのホルモン剤を飲み始めるのはどうですか?」
強めのくすりからスタートすることにした。
そして入院中からずっと飲んでいる鉄剤についても聞いてみた。
「鉄剤は、ずっと飲んでいていいものでしょうか?」
「いや、それはよくないです。
鉄剤のむやみな長期服用は身体に弊害もあって、内臓にはよくないのです。鉄沈着とかあるのね。
なので、頃合いを見ながら血液検査をして、もうやめていいとこちらが判断したら、服用をやめてもらいます。
でもまだ飲んでていいですからね。
今回は鉄剤、処方しますよ」
鉄、鉄分サプリについて、noteのなかよしのN.O.T.Eさんが書いてくださった記事を拝読していたので、先生の答えを不安なく聞き入れる事ができた。
太郎さんの鉄のお話、ぜひお読みいただきたい。
私のnoteを読まれて、「私、ずっと処方された鉄剤飲んでるけど、それいけないの?」という方もいらっしゃるかもしれません。
医師により、個々人の症状によりそれぞれ違うと思いますので、これは私の場合であること、ご了承ください。
飲み始めた強めのくすり(ホルモン剤)。
副作用に振り回されてしまうこともあるが、先生につらさを訴えたらすぐ処方してくれた漢方にだいぶ助けられている。
私は私の身体と生きていこうと思う。
身体からの声に、気をつけて耳を澄ませよう。
今まで逃げてばかりでごめんなさい、私の身体。
あのドドドドドドドド……の動悸の恐怖は今でもはっきり残っている。
動悸の音もまだ耳に残っている。
人に「実は先月入院して……ひどい貧血で…」と切り出すと、驚きのあまりか、聞き間違えた?のような表情でフリーズしてしまう。
次の言葉は、
「たかが貧血で??????」
そう、それがこんな話です。
私の貧血のお話です。
長い長い話を読んでいただき、本当にありがとうございました。
血液の話、鉄の話の noteを書いていただいたゆうゆうさんと太郎さんに、お礼申し上げます。ありがとう!
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