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新幹線の旅

電車好きの長男は、新幹線があまり好きではないと言う。
新幹線には「特に惹かれない」とのこと。

彼が好きなのは在来線。

在来線(ざいらいせん)とは、日本国有鉄道(国鉄)およびそれを継承したJRにおける「新幹線鉄道」以外の鉄道を指す概念で、具体的には日本の鉄道路線のうち路面交通を除くもので最高速度160 km/h以下で走行するものを指す 。(『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用)

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我が家の新幹線利用履歴。

◆宮城のひいおばあちゃんの家に行くとき(複数回)……東北新幹線「やまびこ」
◆名古屋に大相撲名古屋場所を観戦に行ったとき……東海道新幹線「のぞみ」
◆九州の親戚(この時が初対面)の方の還暦のお祝いに行ったとき……東海道新幹線「のぞみ」
◆大阪に一度も行ったことがなくて、"グリコ"を生でどうしても見たくて行ったとき…東海道新幹線「のぞみ」

けっこう、乗っている(笑)

そして最後に家族で新幹線に乗ったのは、昨年2月初旬。
宮城のひいおばちゃんの葬儀。
帰りは「はやぶさ」で仙台乗り換えして、兄弟が喜んだ。

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東京から博多へ
思い出深いのは、東京から博多まで約5時間かけて乗ったとき。

「お父さん(=夫の父)の、父親ちがいの妹さんが還暦を迎えるの。来てって言われたから、お祝いに行きたい」と夫の母。
「春休みだし、みんな一緒に行かない?」と誘われた。
「おばあちゃんは飛行機が苦手だから、( 長男 )ちゃん、おばあちゃんと一緒に新幹線で行きましょ!」
長男(当時小3)はワード「新幹線」に即食いつき(彼は嫌いではないのだ。特に惹かれないだけ)その場で「行く、行くーっ!!」と即答。ちょ、待てよ!

博多まで新幹線……。
約5時間。
新幹線。
家族4人分。
宿泊先。夫の母は親戚のうちに泊まると言う

長男は大丈夫だと思う。
ただ次男は……
次男は、その頃幼稚園を卒園したてて、春から小学1年生。
兄ほど電車に興味はない。5時間を車内で、座席で、静かに耐えられるだろうか。
(この頃の我が家は子どもが楽しめるようなものが入ったタブレットを所有しておらず。そしてもし所有していたとしても(現在所有)移動中はお触り厳禁)

夫とかなり話し合った。家族4人分の新幹線代と格安航空券代金との比較もした。
でも、この機会を逃したら新幹線で九州へ行かないかもしれないよね、と決行を決める。
夫の母に伝えると大喜び。
いつものように出発や到着時間調べや切符購入は私のしごとだ。おまかせあれ!!

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家族での新幹線の切符購入は、出来る限り、駅員さんが対応のみどりの窓口で行うことにしている。

子ども達の年齢を伝え、トイレの場所、乗車時期の車両混雑予想、進行方向と座席の位置、駅員さんがこの条件でベストと思われるオススメ席をお聞きしたのち、券を購入する。
向かい合わせになれる4人分の席と、同列の二人掛けの窓側(1人分)を購入。言うまでもないが、窓側の1人分が私。
「あやしもさん、私がそこに行くわよぉ〜」
お母さんの申し出を笑顔で断って、全員が配置場所に座ると、新幹線は博多に向かって走り出した。

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私は仕事をしていた時、大阪へは何回か行ったことがあった。
子ども達がまだいない、私と夫と2人の時に、大相撲大阪場所を観戦しに行った。
友人の結婚式に出席するため岡山も行った。

今回はその先、博多。
東京から博多。
頭の中に浮かぶ日本地図の中で長く伸びたルート。
乗車時間の長さだけではないドキドキ感があった。

長男はひたすら車窓からの景色をデジカメで撮影。
博多までの駅はオレぜんぶ撮るんだ、と言っていた。
「お母さん、新幹線の座席には充電できるところがついてるからね。仕事中の人にも便利なんだよ」
誰もが知っていることのように語る長男。

駅弁やお菓子でおなかいっぱいになった次男は、夫にもたれるようにぐっすり寝ている。
朝が早かったからね。
よかった、これで少し安心だ。

夫とお母さんは昼ビールを飲みながらおしゃべり。
お母さん、楽しそうでよかった。
お菓子とかおつまみを大量に家から持ってきてくれて、通路を挟んだ席にいる私にも「食べなさいね」と渡してくれる。
この電車旅を楽しみにしていたのだろうなぁ。


新幹線の車内は、なんだか落ち着く。
私も昔、仕事終わりで東京へ戻る車内でひとり缶ビールを一本飲んだ。
美味しかったなぁ、あのビール。

新倉敷を過ぎて、広島、新下関を過ぎた頃、次男が長い昼寝から起きた。
ほら、九州にきたんだよと声をかける。

博多に到着。

とうとう着いたんだという高揚感でいっぱい。
どうやら私だけではなく、みんな同じだった様子。
博多駅のホームで、嬉しさと達成感と感動が混じり合ったような表情で立ち尽くした。

「JR九州、嬉しいなぁ!!九州の電車ってすごくいいんだよね〜〜」

初めて来たのに知っているかのように先導してくれる頼もしい長男に、ついて行こうと思った。

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連休中、家族で観ていたテレビ番組で、次世代新幹線「アルファエックス」のことを紹介していた。

新幹線E956形電車(しんかんせんE956がたでんしゃ)は、2019年(令和元年)5月に登場した東日本旅客鉄道(JR東日本)の新幹線用高速運転試験電車である。 愛称は「ALFA-X」(アルファエックス)で、『Advanced Labs for Frontline Activity in rail eXperimentation』(鉄道実験における最先端の活動を行うための先進的な試験室)に由来する(『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用)

新幹線の鼻先(ノーズ)が20m以上。
「はやぶさ」の鼻をもっともっと長くした感じで、ほとんど鼻だけな車両が特徴的。

夫も私も初めてその風貌を見て、うわー、こんな新幹線が今あるんだ!と新鮮に驚いた。

長男
「オレはもちろん知っていた。というか、お父さんたち、知らなかったの?この鼻が長いのはなんでだか、もう分かるよね?それは…ペラペラペラペラ……」

久しぶりに聞く、熱い電車トーク。
止まらない。
ぜんぜん止まらない…。

「いつかまた、新幹線乗りたいよな」
夫が言うと
「そうだね、やっぱ、秋田新幹線「こまち」には乗りたいね。だってさ、こまちは在来線と同じレールを走るじゃん。そこがオレは好きなんだよね、こまちは新幹線であって新幹線でないというか…ペラペラペラペラ……」

止まらない。  

「こまち?こまちに乗るの?いつ?」
ゲームに夢中だった次男も急に顔をあげた。
いや今じゃないよ、なんでキミは話を聞いてないんだ。あ、ゲームしてたか、ごめんごめん。

いつか「こまち」に乗りに行こう。
おばあちゃんも誘ってみよう。
そう思えることが、しあわせに感じた連休の夜だった。















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