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ゆふいんの森号の旅

電車好きな小さなお子さんのいるお家には、プラレールがある率が高いように思う。我が家の初めての電車系玩具はNゲージ。「うちの子、もう要らないから」と、友人がどっさりくれたのだ。

Nゲージのリアル感、重厚感に、ミニチュア好きの私は思わず「おおーっ!」となったのだけれど、それを手にした時の長男にはまだちょっと早かったらしい。大好きな電車に興奮して連結部分をカジカジ噛んだり、手に持って振りまわしたり(身体にあたるとめちゃめちゃ痛い!)せっかくいただいたNゲージたちは、しばしの間封印されることになった。


時は流れ、長男の幼稚園入園。幼稚園で出会った電車好きなお友達たちは皆プラレールを持っていた。遊びに行ったおうちで見て、触らせてもらって、自分で組み立てた線路を走らせる楽しさ。うちの子も当然の流れのように「ぼくもプラレールが欲しい」となった。この時はもうカジカジも振りまわしもしなくなって、いただいたNゲージは彼のおもちゃ箱に入ってはいたのだけど。

クリスマスやお誕生日のプレゼントはプラレール一択。もともと特急や新幹線よりも地下鉄や通勤電車が好きで、選ぶプラレールも山手線、中央線、埼京線、東西線、千代田線などだった。

そんな長男にしては珍しく「特急のこれが欲しい」とリクエストされたのが『ゆふいんの森号』

深い緑色。丸みをおびた可愛らしいフォルム。『ゆふいんの森』という響きも素敵。

電車好きな長男に付き合っているうちに、私自身も電車が好きになってきたころで、いつかこの『ゆふいんの森号』に乗ってみたいなぁと思うようになった。



3年後、長男の卒園間近、家族で別府に旅行することになった。旅の目的のひとつには「ゆふいんの森号に乗る」があり、別府駅から由布院駅まで乗車した。

駅のホームで初めて本物を見たとき、

「プラレールと同じ…」

と思い、そのたたずまいに圧倒された。ずっと憧れていたスターに会えた時は、こんな気持ちになるのだろうか。

中に乗り込むとこれまた素敵。木をふんだんに使った車内は、レトロ感もあり心地良い。子どもには駅長さんの制服や帽子(子ども用)を貸してくれて、車内で記念写真を撮らせてくれるサービス(無料)もあり、親の方が興奮気味に。

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客席とは違う車両にある「サロンスペース」木の温もりを感じながら、車窓の景色を眺めることができる。


別府駅から由布院駅までは大分駅、由布院駅と2駅で、時間にして約1時間。もっと乗っていたいなぁと思った頃に由布院駅に到着。

博多駅に向かう『ゆふいんの森号』をホームで見送った。ありがとう、乗れて嬉しかったよー。会えて嬉しかったよー。ありがとうー。

長男の電車好きがなかったら、乗ることはなかったと思うし、その存在すら知らなかったかもしれない。電車にわくわくする気持ちを初めて知ることができた。長男、ありがとう。

いま写真を見返すと2人ともうんと小さくて、こんなサイズだった時に『ゆふいんの森号』に乗ったのか、と愛おしく思う。2歳の次男は乗った記憶がない。そうだよね、今や大浴場や温泉好きの君からは信じられないけれど、この時はまだとっても小さかったから「大きなお風呂がこわい〜」って由布院のお宿の温泉で泣いたんだ。

いつの日かまた、緑の特急に乗りに行きたい。2回目でもきっとわくわく間違いなしです。







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