『Fate/Grand Order』キャラの登場する創作物まとめ・欧米編


 今年、新しく始めたことのひとつに、スマートフォン向けゲーム『Fate/Grand Order(以下FGO)』がある。
 Fateと呼ばれる作品群の基本コンセプトは、人類史に刻まれた英雄を召喚して戦わせるというもので(源流は山田風太郎の『魔界転生』にある)、とりわけFGOは、その設定とストーリーががっちり噛み合っているのが素晴らしい。
 作品の性質上、このシリーズには神話、歴史、文学等からの膨大な引用が含まれている。
 元ネタを知らずともゲームを愉しむことが可能だが、知った上であればなお面白く、また好きになった英雄の物語を追いかけていく愉しみもあるだろう。
 そこで、今回はFGOに登場する英雄(作中用語でサーヴァントと呼ばれる)を扱った創作物の中から、私の観測範囲でおススメのものを紹介してみようと思う。
 いつもと趣向が違うと思われるかもしれないが、やっていることは映画記事でしばしば関連作品を挙げているのと変わらない。
 要は知識をひけらかしているだけである。
 なお、作品によってはその英雄がメインであることもあれば、ゲスト的に登場するだけの場合もある。
 完全なる独断と偏見につき、ご容赦されたい。


①『ヘラクレス』:映画(2014)、監督ブレット・ラトナー
 登場人物:ヘラクレス、アタランテ

 まずは私が初めて引いた星4サーヴァントの作品から。
 人間ヘラクレスが本物の英雄となるまでの物語。
 仲間たちとの絆が熱く、観終わったあと何故か『男塾』が読みたくなる。
 実は合戦シーンの出来が良く、陣形の効果と動きがしっかり確認できる。
 アタランテも仲間の一人として登場。
 あと、覚醒シーンは絶対真似したくなる。

「ふー、あー、ゆー!?」「あいあむへらくりいいぃぃぃぃぃぃぃす!!!!」


②『300〈スリーハンドレッド〉』:映画(2006)、監督ザック・スナイダー
 登場人物:レオニダス一世

 300人のむくつけき男どもによる裸祭。
 独特の演出から色物と思われがちだが意外と原典に忠実。


③『ガリア戦記』:戦記、ガイウス・ユリウス・カエサル
 登場人物:ガイウス・ユリウス・カエサル

 カエサル自らの手による遠征記。
 単純に読み物として抜群に面白く、かつローマ軍の技術力、ガリア人の習俗などを伝える資料としても一級。
 アンビオリクスの智謀、ウェルキンゲトリクスのカリスマ等、敵対するガリアの族長もキャラが起っている。


④『カエサルを撃て』:小説、佐藤賢一
 登場人物:ガイウス・ユリウス・カエサル

『ガリア戦記』をガリア人側から描いた小説。
 どうも佐藤賢一は英雄を貶めるのが好きらしく、本作のカエサルも禿げだの小さい男だの散々な言われよう。
 NTR展開もよく出てくるので、そういう需要にも応えてくれる。


⑤『剣闘士スパルタクス』:小説、佐藤賢一
 登場人物:スパルタクス

 本作のスパさんは美形かつ佐藤賢一作品ではおなじみの野蛮な雄。
 叛乱の失敗を予感しつつ、それでも突き進んでいく姿が切ない。


⑥『スパルタカス』:映画(1960)、監督スタンリー・キューブリック
 登場人物:スパルタクス

 正直、観たのが昔すぎてあまり覚えていないが、看守の声がやたらと印象に残っている。
 あと、密集隊形《ファランクス》が全部実写なのしゅごい。
 主演のカーク・ダグラスが製作総指揮も務めた。


⑦『ロビンフッド』:映画(2010)、監督リドリー・スコット
 登場人物:ロビンフッド

 2018年公開の『フッド・ザ・ビギニング』は未見なのでこちらを。
 手堅く良質なエンタメ。
 狡猾なフランス王フィリップ2世が素敵。


⑧『傭兵ピエール』:小説、佐藤賢一
 登場人物:ジャンヌ・ダルク、ジル・ド・レェ

 ジャンヌ・ダルクとともに戦った架空の傭兵ピエールの物語。
 ジャンヌは本作のヒロインで、展開に伴い様々な顔を見せる。
 ジルは『青髭』の元となったエピソードも。
『カエサルを撃て』で挙げた佐藤賢一作品の二大要素も出てくるよ!


⑨『マーク・トウェインのジャンヌ・ダルク』:小説、マーク・トウェイン
 登場人物:ジャンヌ・ダルク、ジル・ド・レェ
 
 『トム・ソーヤの冒険』等で知られるマーク・トウェインが筆名を隠し、ジャンヌの小姓の回顧録という体裁で出版したフェイク・ドキュメンタリー。
 裁判パートがかなり詳しく、法廷物としての一面もあるかと。


⑩『ナポレオン -獅子の時代-』:マンガ、長谷川哲也
 登場人物:ナポレオン・ボナパルト

 作者は原哲夫の元アシスタントで、もろにその絵柄。
 そして、どいつもこいつもキャラが濃い。
 葦原は処刑おじさんことロベスピエールがお気に入り。


⑪『黒博物館 ゴースト アンド レディ』:マンガ、藤田和日郎
 登場人物:フローレンス・ナイチンゲール、シュヴァリエ・デオン

 婦長ことナイチンゲールを語る際、必ずといっていいほど挙がるタイトル。
 鋼鉄の意思を持ち、重戦車の如く突き進む史実のナイチンゲールをしっかり押さえつつ、可憐なヒロインとしても描いている。
 敵役として性別不明の騎士デオンが幽霊として登場。複雑なパーソナリティを持つ魅力的なヴィラン。
 なお、ナイチンゲールとバディを組むもう一人の主人公の名はグレイだが、『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』とは何の関係もない。


⑫『R.O.D -READ OR DIE-』:アニメ、舛成孝二監督
 登場人物:マタ・ハリ、玄奘三蔵

 原作は倉田英之のライトノベル。
 メディアミックス展開され、いくつかの作品があるが、ここで挙げるのはOVA版。
 能力バトルもの。
 歴史上の偉人が蘇って戦うのはFateとも共通する要素。
 マタ・ハリについての詳細はネタバレに抵触するので、えっちなお姉さんである、とだけ言っておく。
 玄奘については今回調べるまで完全に存在を忘れていた……。


⑬『ジョジョの奇妙な冒険』第一部:マンガ、荒木飛呂彦
 登場人物:ジャック・ザ・リッパー

 吸血鬼化し、マッチョになった姿で描かれる。
 登場演出のインパクトでは全編通じてトップクラス。


⑮『ヒストリエ』:マンガ、岩明均
 登場人物:イスカンダル/アレキサンダー

 アレキサンダー大王の秘書官エウメネスが主人公。
 本作の名言はネット上でもよく見かける。
 アレキサンダーご本人が登場するのは結構話が進んでから。
 ヘファイスティオンの解釈は、知っている人ほど「そうくるかあ~!」ってなるやつ。


⑯『屍者の帝国』:小説、伊藤計劃・円城塔
 登場人物:フランケンシュタインの怪物

 夭逝した伊藤計劃の遺稿を円城塔が引き継ぎ、完成させたスチームパンクSF。
 ワトソンがヘルシング教授の下でフランケン・シュタインの怪物を追跡する話。
 本作での怪物はザ・ワンと呼ばれ、メアリー・シェリーの原作とはまるで別物。
 他にも幾つもの有名作品のキャラクターが登場。

⑰『巌窟王』:アニメ、前田真宏監督
 登場人物:エドモン・ダンテス

 GONZO制作のテレビアニメ。全24話。
 設定はSFで独特の色彩が印象的。


⑱『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』『IT THE END/“それ”が見えたら、終わり。』:映画(2017、2019)、監督アンディ・ムスキエティ
 登場人物:ポール・バニヤン

 広場に立つ像として登場。
『THE END』では動き出し、ルーザーズの一人を襲う。


⑲『プレステージ』:映画(2006)、監督クリストファー・ノーラン
 登場人物:ニコラ・テスラ

物語の肝となる物質転送機を発明したのがテスラという設定。
出番は一瞬だが、演じるのはあのデヴィッド・ボウイ。

東洋編に続く


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