2020年シネマ10選
今年はコロナ禍により映画館の休館が相次ぎ、公開延期やネット配信のみとなった作品も多数ありました。
そんな苦境にあっても話題作、傑作と呼べる作品には事欠かなかったと思います。
正直、この中から10本選び、あまつさえ順位をつけるなどめんど……もといおこがましい。
というわけで、2年目にして早くも主旨が変わってしまいますが、あえて順位をつけずに10作品を選出することにいたします。
選考基準は単純な作品のクオリティだけでなく、私個人に刺さったもの、印象深かったもの、また観返したいと思ったものといった点を重視しています。
『ミッドサマー』
今年の始め頃、たしか『パラサイト 半地下の家族』とともに話題になっていた記憶が。
マンガ家・新井英樹は、読者を嫌な気持ちにさせたいと公言しているのですが、アリ・アスター監督には通じるものがあると思います。
過去記事→『ミッドサマー』評
『カラー・アウト・オブ・スペース』
原作はH.P.ラヴクラフトの怪奇小説『宇宙からの色』――農場を営む一家が理不尽そのものの悲劇に見舞われる。
小説世界が毒々しい色彩とともに眼前に突きつけられる映画ならではの体験が楽しく、父親役のニコラス・ケイジの怪演も光る。
原作にはなかった家族ものとしての要素が、より一層悲劇性を強めていると感じました。
『ディック・ロングはなぜ死んだのか』
しょうもない男たちによるしょうもない顛末。
仲間同士で集まって馬鹿騒ぎしていたらその一人が体調に異常をきたし、他の二人は彼を病院の前に放置して逃げてしまう。
どこまでも軽薄で無思慮ながらどこか憎めず愛おしい……いややっぱクズだよなあ……でも……みたいになる作品。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
京都アニメーション制作。同盟のライトノベル原作で、テレビアニメシリーズの完結編。
いわゆる「泣けるアニメ」なのだが、そのクオリティは折り紙付き。
「言葉」を届け続けた主人公が、クライマックスで言葉を失う展開は見事。
過去記事→『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』感想
『ウルフズ・コール』
今年一番のダークホース。
これを観る直前、BSで潜水艦映画の古典『眼下の敵』も鑑賞していたのですが、潜水艦ものの要点のほとんどをすでに押さえていたこの作品とは、また違った方向の面白さがあったと思います。
過去記事→『ウルフズ・コール』感想
『スパイの妻』
黒沢清の最新作。秘密を隠した夫とそれを知った妻の駆け引きを描いたサスペンス。
高橋一生、蒼井優の佇まいが美しく、黒沢清らしい全体に漂う不穏さもベネ。
『ビルとテッドの時空旅行』
アレックス・ウィンター&キアヌ・リーヴス主演のコメディ。
『ゾンビランド』等、過去作のキャストをそのままに数十年ぶりに続編が作られるという流れがここ最近あるのかも知れない。これもそのひとつ。
終始ばかばかしいのに、シリーズ全体を貫く底抜けに前向きなメッセージには感涙。
「レーザーしちゃってごめん」としょんぼりする暗殺ロボットがめちゃくちゃかわいかったです。
『メイドインアビス 深き魂の黎明』
個人的に『ハンター×ハンター』の暗黒大陸編はこの作品みたいになるのではないかと予想してます。
絶海の孤島にあいた謎の縦穴の探検記。
かわいい絵柄にエグすぎるストーリー。
テレビシリーズは前振りにすぎず、ここからが本番といえるでしょう。
サブタイトルは一見ありがちながら二重三重に意味があり実に秀逸。
過去記事→『メイドインアビス 深き魂の黎明』評
『ジョジョ・ラビット』
第二次世界大戦末期。ナチスに憧れる少年が、自宅の壁の裏に隠れて暮らすユダヤ人の少女と出会う。
スカヨハお母さんがとにかく素敵で、実は楽しい映画でもある。
まあ、それだけにあのシーンはめちゃくちゃ辛いのですが……
今年前半に日本でも話題になり、その後コロナ禍と図らずもリンクした。きっとこの先、たびたび観返したくなる作品。
『PSYCHO-PASS3 FIRST INSPECTOR』
こちらもテレビアニメシリーズの続編。
第3期で決着がつかなかったあれこれにケリがつき、そのカタルシスを味わう作品というべきか。
梓澤(CV堀内賢雄)の憎々しさや虫型スパイロボットの活躍など見所はたくさん。
また本シリーズのアクション、特に近接格闘シーンは相当の試行錯誤を繰り返しているフシがあり、本作ではその成果が観られる。
『蜜蜂と遠雷』
公開は昨年で、今年ようやく観られました。
原作は恩田陸の小説。
人生を変え得る音楽映画です。
以上10本。
あくまでベスト10ではなく、今年忘れがたかった作品10選でした!
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