9日目

 午後にアムリットサルへ移動する前に、バラナシの日本食レストランで食事をしようと、場所もよくわからないまま街にでた。

 大きな荷物を背負って歩くと、トゥクトゥクのおっちゃんたちに「どこ行くんだ?駅か?空港か?」と、よく声をかけられる。テキトーにあしらっていたが、ひとりのおっちゃんがしつこく付きまとってきたので、「飯を食ってから空港に行く」と言ってしまった。するとおっちゃんは日本食レストランまで案内してくれて、一緒に入店した。

 私は唐揚げ定食を注文した。おっちゃんは何も注文することなく、遠くの日本人女性をナンパしていた。一緒にきたやつだと思われるのが恥ずかしくて、落ち着いて食事することもできなかった。

 空港へ移動する間、おっちゃんはずっと後ろを向いて、下ネタを喋っていた。前を向けと何度言っても、振り返って「日本のオンナはどうだ?」と聞いてきた。空港に着いて交渉した金額を渡すと、「チップくれよ〜」と言ってきた。少し渡すと、「もうちょっと〜」と迫ってくる。ウザいけど、憎めないこの感じがインドっぽいのかな、と思うようになってきた。

 デリーで乗り換えて、夜遅くにアムリットサルに着いた。空港はしょぼくて、薄暗かった。外に出るとやはりタクシードライバーが群がってきたが、それを振り切って、遠くのやる気のなさそうなトゥクトゥクに声をかけた。想定より安く乗れて、自分もだんだん旅に慣れてきたな、と思った。


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