エピローグ

 帰国してから3週間後、全日空から電話がきた。私宛の荷物が羽田に着いたとのことだった。着払いで家まで送ってもらい、無駄に買わされたお土産たちと再会した。もう戻ってこないものだと思っていたから、とても嬉しかった。


 刺激的な旅を終えてから、もとの日常生活に上手く順応できなった。戻ってすぐに学校・バイト・フットサルと毎日忙しい生活を送っていたが、いろんなことに身が入らなかった。あの2週間が夢のようで、その夢から抜けられないような感覚に陥ることもあった。ぽっかりと空いた穴を埋めるように、たくさん酒を飲んで、たくさん失敗した。

 だんだんと、いろんなことが意味のない、くだらないことのように思えてきた。大学には何も得るものはなかったし、バイトはただ時間を浪費しているだけのように思えた。このまま意味のない大学生活を過ごして、意味もなく生きることはしたくなかった。もっと意味のあることをしたいと思った。かと言って、具体的に何をすべきかもよくわからず、真っ暗な世界を生きていた。

 ずっとインドのことを考えている自分にも腹が立ってきた。たった2週間なのに「インドに行って人生観が変わった!」と言うのはダサすぎるが、そうであるらしかった。しかし、まだケリはついていなかった。このモヤモヤした気持ちにケリをつけるためには、もう一度インドに行く必要があるのかもしれない。

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