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システム エンジニアの「客先常駐」が見直されている件

富士通はシステムエンジニア(SE)で一般的だった、顧客先に常駐する働き方を見直す。新型コロナウイルスの流行で「3密」になりやすい就労環境を改善し、テレワークへの移行を進める。日本IBMも在宅勤務向けのシステムを整備する。常駐で希薄になりがちとされる自社への帰属意識を高めるなどSEの就労意欲を引き上げ、人材の確保につなげたい。

金融など一般消費者向けのシステム開発を請け負う場合、トラブルがあればすぐに対処する必要があり客先にSEが常駐するケースが多い。大規模な案件では、顧客企業の1室に100人以上が集まり「3密」状態で働くことも珍しくない。

◯人材確保
 客先への常駐の見直しは人材確保にも有利に働くとの見方がある。人材派遣のヒューマンリソシア(東京・新宿)が3月に発表した調査では、日本のSEは109万人で、前年から4.8%増えた。

その一方で人手不足感は強い。SEの直近の求人倍率は8.6倍と、全体(2.0倍)と比べ突出する。

SEの声としては、以下のようなものがある。
 ・労働負荷が高い
 ・客先への常駐が多い勤務形態が魅力的ではない
 ・顧客企業の要望に応え続けるため、SE自身のスキルを高めにくい

◯結局はマネジメントの問題
 テレワークが機能するかどうかは結局は、それをコントロールするマネジメントの問題が大きい。システム開発のように大人数で、長期間のプロジェクト業務を行う場合、さまざまなトラブルや方向修正を行うことが多々ある。この時一番怖いのがコミュニケーションロスである。何度何度も意識合わせを行い、チェックし合い、進捗を確認し、という工程を繰り返すのである。そして、各会議体でレポートをあげ、承認を得ながら進めていく。この泥臭い仕事をテレワークで行えるのか?が問題だ。誤解を恐れずに言えば、いちプログラマーならテレワークも可能かもしれない。しかし、SEやプロジェクトマネジャーが行う業務には、ステークホルダーが多くなるほど利害関係が複雑になり、調整業務も一筋縄ではいかないという側面もある。この業務には人と人の寝技のような粘着質な性格があり、それをオンラインで本当にできるのか?がはなはだ疑問である。

ここでも、これまでの延長線上ではなく、開発手法やプロジェクトの管理、合意形成の取り方などの根本から見直さないと、形ばかりのテレワークとなり、システム開発は迷走し、不幸なSEが量産されることになるだろう。

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