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司法の世界へITサービスを!

法的なトラブルを迅速に解決するため、IT・AIを活用した「ODR(Online Dispute Resolution、オンラインでの紛争解決)」の拡大を目指す、政府主催の「ODR活性化検討会」がこのほど、2019年9月~2020年3月まで検討してきた内容をとりまとめた。

日本は諸外国に比べ、「二割司法」といわれ国民の2割しか適切な司法サービスを受けられていないという問題がある。

ODR検討会の取りまとめでは、
 ・どのような紛争がODRに適しているのか
 ・民事訴訟の判決データをビッグデータとして環境整備すべき
などの提言があった。

◯「あっという間に双方納得の賠償額」が算定される未来も?
 たとえば、交通事故発生時の損害賠償額が過去の判決データ(ビッグデータ)からAIで分析できれば、当事者も納得しやすくなり、裁判になる前の段階で紛争が解決でき、費用も時間もとても効率的である。

◯どんな紛争がODRに向くのか?
「IT・AIを活用し紛争解決を図る」とはいうものの、あらゆる紛争がODRに適しているわけではないらしい。不向きとされるのは、

1.前例が乏しい
2.争われている金額が極めて高額
3.当事者が多数で関係が複雑

などの場合は、基本的に不向きとされる。
逆に以下のような場合、適している分野といわれる。

(1)低額で定型的な紛争が大量に生じることが想定される分野
(2)紛争の前提となる取引などがオンラインで行われる分野

◯まとめ
 司法の世界にもこのようなITの技術が使われることは、とてもいい傾向だと思う。やはり紛争は少しでも短期間で少しでも納得感があり、少しでも低コストで解決されることにこしたことはない。特に、(多分一番多く、今後も増えそうな)離婚調停などは「相続額も不倫の慰謝料もあっという間に算出」、そんなサービスを目にする日が近々来るかもしれない。ただ、ODR検討会は、「今後ODRを広く社会に浸透させるには、コンテストなどで競わせ、ODRに資する取り組みにインセンティブを付与するなどして、民間の創意工夫を引き出す方法を検討すべき」としている。しかしこれについて僕が思うことは、ビッグデータを活用するヒントを早期に得たいのであれば、判決データをこれまで以上に公開し、その上でオープンデータとしてそれらを民間で実際に使ってもらい、実業としてサービスを開発していってもらうことが、コンテストなどという「ぬるい」実験をするよりもスピードも早く世の中に浸透していくと思う。ただし、その際には判決に含まれるプライバシー・営業秘密への配慮などについても検討が必要となってくるのは言うまでもない。

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