資産運用について『リスクをコントロールする方法』をアドバイスする人は少ない?
金融商品のリスクは、ある程度コントロールすることができる。
リスクは選ぶもの?
投資や資産運用のアドバイスで、「自分でリスクをコントロールする」ということについてはあまり触れられていない気がしています。
投資や資産運用のアドバイスのほとんどは、「どの程度のリスクがある商品を選びますか?」といったものばかり。
「リスクが大きい株式投資をしますか?、それともリスクの抑えられた債券投資にしますか?」とか。
「個別銘柄を選んで株式投資をするのはリスクが大きいので、インデックスファンドを選びましょう」とか。
「リターンを犠牲にすることなくリスクを抑えながら運用ができる、ポートフォリオ運用の商品を選びましょう。」とか。
与えられた商品の中から、自分にあったリスクの商品を選びましょうというような話ばかりが目立ちます。
投資のアクセルとブレーキの扱い方。
でも、投資をする者にとって、リスクというのは、選ぶものではなく、コントロールするものではないかと思うのです。
自分が思うに、少なくとも著名投資家と呼ばれるような人たちの投資の仕方は、リスクを選んでいるのではなく、コントロールしていると感じることが多々あります。
そして、このリスクをコントロールするという作業は、私たち素人でも簡単に行うことが出来る。
攻める時にはリスクを大きくし、守るときにはリスクを小さくする。
車の運転と同じようなもので、早く走りたいときにはアクセルを強く踏み、危険を感じたり、安全運転をしようと思ったらアクセルを緩め、時にはブレーキを踏む。
投資も似たようなものだと思うのですが、このアクセルとブレーキの扱い方を教える、投資のアドバイスというのは、あまり見たことがありません。
リスクのコントロールが出来てしまえば、投資は怖いものではなくなる。
よくわからない=恐怖
「よくわからないもの」に対して、私たちは恐怖を感じます。
投資の初心者が、株式投資などに対して感じている恐怖のほとんどは、この「よくわからない」という感覚なのではないかと感じています。
投資の相談で、「株式投資は怖い」と答えるひとのほとんどが、株式とは何なのかをよくわかっていない。株式市場という世界のことをよくわかっていない。
そして、株式投資でなぜ儲かるのかがよくわかっていない。
だから株式投資に恐怖を感じている。
でも不思議なことに、ネットやテレビ、雑誌などで、投資の情報に触れていると徐々に聞き馴染んでくる、『インデックスファンド』に対しては、あまり恐怖感がなかったりもする。
よく目にする言葉だけに、「知った気になっている」からなのではないかと思います。
よく聞く言葉。みんながやっていること。「自分は知っている」と思えることで、恐怖感は無くなる。
インデックスファンドは安全で、個別銘柄への投資は危険?
それに、「インデックスファンドなら」と話す人に、「個別銘柄はどうですか?」と聞くと、「個別銘柄を選んで投資するのは怖い」と答えたりする。
でも、自分の経験則的な感覚から言っても、個別銘柄を選んで投資をするのも、インデックスファンドに投資をするのも、リスクとしてはそんなに差はないと感じています。
怖いと感じてしまうのには、「知らないこと」ともう一つ、「コントロールできない」と思っていることも挙げられます。
株式投資のリスクを自分でコントロールする方法を知らない。だから、怖いと感じる。
自動車の教習所に通って、初めて自動車を自分で運転するという時には、「怖い」と感じたりもするものですが、自動車のコントロールに慣れてしまえば、怖いとは思わなくなるものです。
また、さらに言うなら、スポーツカーのような速い車の運転も、アクセルとブレーキの扱い方が分かっていれば、怖いと思わずに、速く運転することができたりする。
コントロールの仕方が分かっていれば、怖いものはなくなる。
個別銘柄への投資でリスクをコントロールする方法は、そんなに難しいことじゃない。
「分散投資」。これのやり方が分かっていれば、ほぼ誰でもインデックスファンドと同等レベルのリスクに調整することはできる。
「分散投資なら、アドバイザーから聞いている。」という人もいるかもしれない。
じゃあ、「どういう風に分散投資でリスクをコントロールするのですか?」と聞かれると、具体的な方法はうまく答えられないことがある。
ただ、いろんなところに分散して投資をする。何百も何千も細かく分散して投資をすることだと考える人もいる。
しかしこれだと、分散投資の意味がよくわかっていないから、分散投資によってリスクをコントロールしているという感覚は得られない。
どんな分散投資が、どんな風にリスクをコントロールすることにつながるのか。それを理解していることは大切です。
投資のリスクをコントロールしているという感覚
この世の中では、この『コントロール感』というのは、とても大切ことだと思っています。
どんなことでも、自分にとってコントロール感のある世界にいることは、精神的にも安心感があり、ストレスも少なくて済むものです。
自宅の中にいる時や、良く知った仲間と一緒にいる時。良く知っている道路を通って、良く知っているお店に行くことや、いつも食べている物と同じものを食べること。
投資においても、自分でコントロールできているという感覚があると、どんな時でも、心を乱さず続けることが出来るようになる。
長期投資とは、そうやって可能になるものなんだと思う。
人任せの投資。買って放置の投資。リスクをコントロールしているという感覚がない投資は、運用成績が急にマイナスになった時に、不安になって投資が続けられなくなってしまう。
投資をやめてしまう時というのは、だいたいそういう時です。
あまり教わることの少ないものではありますが、投資のアクセルとブレーキの扱い方や、リスクのコントロールの仕方というのは、投資や資産運用をつづけていくために、大切なことなのではないでしょうか?