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【ASE-Lab.メンバーの声】 #7 〜九州大学 塩田恭平君 編〜

海外や全国各地から宇宙好きメンバーが集うASE-Lab.。
都内に拠点を置かない団体の活動にメンバーは実際どのように参加しているのでしょうか。。
そんな疑問を持った皆さん!運営メンバーの舟坂が調査してきました
 
メンバーインタビュー企画第七弾!今回は、人気のCanSatゼミと電子回路設計ゼミというASE-Lab.の二大工学系ゼミの企画者を行い、数々の工学系ゼミへの参加も積極的に行ってきた塩田恭平(しおたきょうへい)君にインタビューしてきましたよ!九州大学では量子物理工学科という、工学部の中でも珍しい学科で学んでいるようです。FUSiONメンバーとしても大活躍中の塩田君、CanSatの大会やゼミの開催者に興味がある方は特に、是非ご一読ください!
 


自己紹介


舟坂:自己紹介をしていただいてもよろしいでしょうか
 
塩田:九州大学工学部の量子物理工学科[1]というところに所属してます、学部二年の塩田恭平と申します。大学で勉強していることについてですが、自分たちの大学は二年の後期から学科配属あるんです。なので、学科ではなく群を選んで入試を受けました。私は二年の学科選択で、その量子物理工学科というところに行くことにしました。まだ全然始まったばかりですけど、大きく素粒子系と原子力発電とかの原子力系に分かれる学科になりますね。
 
舟坂:結構専門的に分かれるんですね
 
塩田:はい。なので、工学部の中でも割と物理寄りなところではありますね。
 

[1]九州大学 工学部量子物理工学科/大学院工学府量子物理工学専攻:https://www.qpn.kyushu-u.ac.jp/

課外活動


舟坂:ASE-Lab.以外では何か活動はされていますか?
 
塩田:大学のサークルは実は入っていなくて、全部オンラインでの活動を主に行っているんですけど、一つがASE-Lab.とも割と関係性があるFUSiON[2]というCanSatの大会に出場するチームに所属していますね。あとは他のゼミの団体なんですけど、こちらもオンラインのゼミ団体で、統合ゼミコミュニティ[3]というところに所属しています。ASE-Lab.は割と宇宙系の人たちが集まったゼミ団体だと思うんですけど、統合ゼミの方は本当に色んな分野の人がやってるゼミの団体になります。

[2]CanSatのオンライン開発を行っている全国の大学生で結成されたチーム。ARLISSと能代宇宙イベントへの参加に向け、日々実験と開発に励んでいる。
参考:https://mobile.twitter.com/cansat_fusion

[3]統合ゼミコミュニティは、分野や年齢問わず様々な人達が活動を行っているコミュニティです。
参考:https://twitter.com/tougousemi

舟坂:なるほど、ジャンルが幅広いんですね。
 
塩田:そうそう、そんな感じですね。なので、哲学やってる人もいれば、物理をゴリゴリやる人もいるみたいな。そんな感じの団体ですね。所属しているのはそのくらいかな。あとは自分、うどん好きで売ってます(笑)。うどんといえば香川ですけど、僕は福岡の成人式で有名な北九州生まれで、そこも実はうどんが有名で。そこの柔らかいうどんで育ってきたので福岡のうどんが好きです。あとはドライブとかキャンプが趣味かな。
 

うどん好きな塩田君


舟坂:それにしても、だいぶ忙しいですよね?FUSiONもやって統合ゼミもやって、その上でASE-Lab.での活動を行って。統合ゼミってちょっと気になって、私たちのゼミは宇宙という分野の中でゼミ活動をしていますが、統合ゼミは一体どういうゼミをやってるんですか?
 
塩田:自分が一個主催してるのが、CADの勉強会みたいなのです。自分が参加してるのはそれくらいなんですけど、例えば気象予報士になるための勉強会とか語学とか中国語勉強会とか、ゴリゴリ物理の量子電磁気学の勉強会とかもあったりします。本当に幅広い内容を行っていますね。
 
舟坂:オンラインで勉強会をやっている団体が別であったんですね、全然知らなかったです!
 
塩田:自分が入ったのはASE-Lab.が最初でしたけど、その後で知った感じでしたね。
 
舟坂:ASE-Lab.でCADのゼミをやるのと、統合ゼミでやるのとではだいぶ違いますよね。多分ASE-Lab.で企画を行った経験が活きてきますよね。
 
塩田:そうですね。統合ゼミのCAD勉強会では、文系の方はいらっしゃらないんですけど、芸術系の人とか、理学系の人とかがいますね。工学系は多分僕だけだと思います。それに対して、ASE-Lab.でやると割と工学の人が入ってくれそうだなっていう印象ですね。そこでは実際にCanSatのCAD作ってみようだとか、ロケットのエンジンの勉強してそれのモデリングをしてみようだとか、そういう話になるんです。統合ゼミだとどちらかというと色んな学部の人がいてそちらはそちらで良い団体だなと。
 
舟坂:確かに。両方の団体でCADのゼミをやるというのでも全然違いますね。ASE-Lab.だったら宇宙分野の勉強会だからこそ入門的な内容だけじゃなくて、工学部の人たちと、ロケットのエンジンの仕組みについて理解した上で作成したり、ゼミが終わっても大会とかに出てみようとかプロジェクトやってみようって話したり出来ますよね。逆に統合ゼミみたいな、様々な学部の人達がいらっしゃって工学に限らない内容を行う場で教えるということも、それはそれで良い勉強になりそうですね。
 
塩田:いや、統合ゼミだと教えるというよりかは、本当に「勉強会」という形で、みんなで勉強するんですよ。
 
舟坂:じゃぁ講義みたいな形とは違うんですね
 
塩田:そうです。それもある意味ASE-Lab.の一般的なやり方とは違った形なのかもしれないですけど、YouTubeに挙がっている動画からいいものを持ってきて、それを事前にみんな見てくるんです。それでゼミの時間では、予習で学んだことを使ってこういうもの作ってみましょうとか、そういう課題をやるんですよね。ゼミの時間は45分くらいで、最後にそれぞれが作った作品を発表するんです。割と今のエースラボって輪読形式が多いですよね。そうじゃなくてみんなその場でやってその場で発表みたいな。
 
舟坂:なるほど。ワークショップっぽいですね。ASE-Lab.には塩田君みたいに違う団体のゼミとか勉強系の団体で活動やってたり色々と活動経験があるメンバーが多くて、勉強熱心な方がいっぱいいらっしゃいますよね。そういう人たちが自身の経験を活かしてゼミの講義を提供してくれるというのもまたASE-Lab.の魅力ですよね。

九州大学工学部、量子物理工学科ってどんなところ?


舟坂:学科が量子物理工学というのを聞いて凄く面白そうだなと思いました。私は物理学科なんですけど、工学系の人で素粒子とか原子力とかの方面の勉強をしている方に会ったことがなかったので。そこを選んだきっかけとかはありますか?
 
塩田:そうですね、元々学群を選択する形で入学したんですけど、僕が選択したのが機械とか航空宇宙工学科だとかがある群なんですよね。最初はその機械とか航空宇宙工学科を目標にして入学したんですけど、航空はGPAが足りないなとか思って。そうやって色々と考えていたときに、工学部の学科紹介の授業があったんです。そこで学科それぞれの「こういう研究してます」みたいな紹介があったんですけど。自分の学群くらいは聞いとこうと思って聞いてたら、意外と量子物理面白そうじゃんってなって。当時、なるだけ宇宙に関わりたいなと思っていて。量子物理だったら、素粒子の内容もあるので宇宙と関われないこともないなと思って。あとは、量子力学面白そうみたいな部分も決め手となりましたね。今までやってきた力学の内容は、割と直感でわかったりなんとなくイメージしやすかったりしたと思うんですけど、ミクロになるだけで全然違うんだなと。そんな世界があるんだみたいな。それで興味持った感じです。
 
舟坂:宇宙って聞くとみんなマクロなものをイメージしますけど、むしろミクロな素粒子とかが元になって宇宙は成り立ってるので、ミクロな視点から見ることで宇宙の成り立ちに対する理解が非常に深まりますよね。ミクロな現象や僅かな変化が、後の宇宙の姿に大きな影響を及ぼすという。。これまた不思議ですよね。
 
塩田:そうですね。やっぱりでも理学部物理学科に比べると、もちろん工学寄りの学科で。工学部の中では理学部寄りの内容でも、理学部からすると全然工学の内容で。素粒子とはいえ、加速器だとか実験系の内容を行うことが多いです。あとは割とやる内容の幅が広くて。例えば低温物質の挙動の研究をやっているところもあれば、医療分野での研究も行われてたりしますね。
 
舟坂:前に神田さん[4]の取材をした時に、あの方も素粒子実験の研究室で研究されてるんですけど、実際に医療とか、産業界で使用されてる検出器を素粒子物理の研究に使ったりもするというお話を聞いて。医療とかと関係する研究室は純粋物理というより応用物理をメインに行っている研究室になりますよね。宇宙について研究したいという気持ちが変わらなくても、そうやって日常生活に宇宙の技術をどう応用できるのか考える機会を得られるのは面白そうだなと思います
 

神田芽生さんには、『海外メンバーの声』のインタビュー企画で取材を行いました!記事はコチラ!:https://note.com/ase_lab_/n/nb85dc1be333f


塩田:そうですね、切り口は確かに広いかもしれない。なので、今までは宇宙で食っていきたいと思っていた節がありましたが、最近はちょっと他のところも意外と面白そうだなと思ってきました。最終的に宇宙分野に繋げるということは、割とどの分野からでもいけるかなという気はするんです。けど、前段階として幅が広いだけに迷わされてるというか。あれも面白そう、これも面白そうっていうのが結構出てきて、今困ってます(笑)
 
舟坂:いいですね、今勉強している内容でこんなに色々と自分の可能性を広げられるのは楽しいですよね。
 
舟坂:学科に入る前、一年ではどういう科目を勉強されていたんですか?また、今後はどういった科目を行っていくのですか?
 
塩田:一年生の時は、機械とか航空の子達と一緒に勉強していました。最初は基礎教養みたいな感じで、高校物理の発展の内容だとか、線形代数、微分積分をやってた感じでした。そこまで他の機械系の学部と変わらないかなという感じですね。でも学科に配属になってからは、機械系とは全然違って、ちょっと化学寄りの内容が増えてきたなという印象です。物理化学だとか原子核物理とか、化学寄りの物理になってきたなという感じです。
 
舟坂:そうですよね。シュレーディンガー方程式とかを扱う量子力学は、化学科でも必修だったりして、化学と縁の深い学問ですよね。やはり、機械とかとは全然違うんですね。
 
塩田:量子力学は実はまだやっていなくて三年からなんです。一応前段階としてだと思うんですけど、波動とか電磁気とかをやっているという感じです。
 

宇宙を好きになったきっかけ


舟坂:宇宙を好きになったきっかけはありますか?
 
塩田:明確に覚えているきっかけは、小学5年生くらいに漫画『宇宙兄弟』[4]を読んだことです。福田さんというキャラがいるんですけど、その福田さんは日本初の有人ロケットを飛ばすことを目標としているおじさんでした。その人に感化されたというか、めっちゃかっこいいなと思って、ロケット飛ばしてみたいなと思ったことが明確に覚えているきっかけですね。でも、それより前、小さい時からも割と母親が星を見るのが好きな人で、母親からの影響もあったかなと。山の中にあるおじいちゃんの家に行ったときに一緒に星座に関する会話をよくしてて、そういうこともきっかけとして少しあったのかなと思ったりはしてます。母親は文系の人なんですけど、サイエンスに興味がある人で。NHKの地球ドラマチック見るとか、そういうことが好きな人でした。それが一つの要因なのかなって思ったりはします。
 

[5]小山宙哉、『宇宙兄弟』、講談社、2008.

ASE-Lab.に加入したきっかけ

 
舟坂:ASE-Lab.に入ったきっかけはなんでしたか?
 
塩田:入ったのは今年の一月だったと思うんですけど、一年の時、何もしなかったんですよ。。ちょっとまずいなと思っていた時期だったんですね。宇宙に興味はあるけど、なんもせずに1年間過ごしちゃったという感じで。そろそろ何かしないとまずいなと思っていたところに、Twitterで情報が流れてきました。そこに入会フォームを送って入りました。あと、ASE-Lab.ホームページのトップページにメンバーの大学情報が書いてあるじゃないですか。そこに、自分の大学の人が1人いることが書いてあって。自分と同じところの人いるじゃん!みたいに思って入ったら、実はその人元からめちゃくちゃ仲良い友達だったんですよ。そういうこともきっかけでした。
 
舟坂:凄いですね、最初に始めたのがASE-Lab.だったのですね
 
塩田:そうですね。大学のロケットサークルに実は初め入ったんですけど、コロナで活動行けなくて、結局幽霊部員みたいになってしまって。それもあって後悔があったんです。だから、大学に入って最初にちゃんと活動を行えたのがASE-Lab.でした。
 
舟坂:コロナで一年目何もできなかったという話は割と聞きますよね。だからこそオンラインでの活動だと入りやすいですよね。
 

ASE-Lab.で行ってきたゼミについて

 
舟坂:加入されてから、どういったゼミに参加されましたか?
 
塩田:宇宙工学ゼミは完走しました。あとは、流体力学ゼミですね。途中から予定が合わなくなっちゃったりして行かなくなってしまいましたけど。完走したゼミは他にもあって、CanSatゼミはつい最近完走しました。
 
舟坂:完走したのが二つも!宇宙工学入門ゼミはどんな感じでしたか?
 
塩田:そうですね。幅広く、工学分野の話を扱う感じでした。わかりやすくいうと、ロケットの話だとか、衛星の話だとかを扱いました。同じ工学の技術でも、地上で扱うのと宇宙で扱うのとでは環境が違うのでまた違った難しさがあります。なので、宇宙環境の話だとか、実際作るときにどういうことを考える必要があるかとかも勉強しました。
 
舟坂:本当に宇宙工学全般なんですね。
 
塩田:そうです。あとはISSについても勉強しました。幅広く、でも要点を凄く捉えていたゼミでした。瀬戸晴登(せとはると)君[5]が企画者で、割と人数の少ないゼミでした。ですが、瀬戸君が初回から凄いしっかりした内容の発表を用意してくれて、これはちょっと俺らも頑張らなきゃまずくないかみたいな気持ちになりましたね。それを機に、その後もみんないい発表を行いました。良い循環が生まれていましたね

[5]瀬戸晴登君には、第3回のインタビュー企画で取材を行いました!記事はコチラ!:https://note.com/ase_lab_/n/n257e02a41d76


舟坂:とても勉強になりそうですね(笑)
 
塩田:少ない人数の良さもありますし、主催者側がちゃんと回せれば、こういう良いゼミができるんだなと学んだので、電子回路設計ゼミとかCanSatゼミを主催することにした感じです。自分は人を引っ張るような立場は得意じゃないんですけど、1人だと続かないことも多くて。途中で挫折しちゃうとか。そういうことがないようにしたくて、ASE-Lab.を活用しようと思いました。自分1人だときつい勉強も、他の人を誘うことで逃げられないように出来ますし、教え合ったりもできるので自分でやるだけよりも勉強になるなと感じます。なので、自分のやりたい勉強のゼミを主催者として開いていこうという気持ちでいましたね。
 
舟坂: ASE-Lab.を最大限に活用出来ていますね!
 
塩田:これはみんなに向けて言いたいんですけど、ゼミの主催者が一番美味しい立場だと思うんですよ。自分の予定や都合に合わせて進めたり、カリキュラムも率先して自由に組んだり出来ますし、割とやりたい放題できるんですよ。だから、主催者の魅力をもっとみんなに知ってもらってゼミが自然とたくさん立つような団体になればいいなと思います。
 
舟坂:今、みんなのことを率いるのが苦手とおっしゃっていましたが、結果的に率いる立場に慣れてとてもいい経験になってそうですね。

CanSatゼミってどんなゼミ?


舟坂:CanSatゼミは、内容はどうでしたか?
 
塩田:CanSatについて、よくまとめられた本があるんですよね[6]。その本を使って、基本的には輪読の形式で、発表者を毎回決めて次の回までにその人に資料を作ってもらって発表してもらう感じでした。それとは別で、毎回宿題を提示したんですよ。宿題やってきてもらって、ゼミの最初に解説を行って、その後メインの内容に入るという流れで行なっていました。具体的な内容としては、CanSatを作るときに考えるべきこととか、通信機能など搭載されたそれぞれの機能はどういう仕組みで使われるのかとか、CanSatを使用するときに考えなきゃいけないこととかでしたね。CanSatとは言っても、割と実験ベースの内容を行ってました。大学の学生実験と一緒で、目標をまず立てて、それに対してどういうアプローチで進んでいくのかというところと、実際にCanSatの操縦を実行した時にそれをどう評価していくかとか。一回の実行で終わるわけにはいかないので、終わる毎に、結果とか考察とかも考える必要があるし。次に繋げるためにどうすればいいかとか。でも、学生実験だと一回で終わるけど、こういう自分たちでやる学生主体のプロジェクトだと次に繋げる必要があるんですよね。そこでどういうことを行う必要があるかということまで、テキストには詳しく書いてあるんです。そういうことについて勉強しました。
 

[6]大学宇宙工学コンソーシアム、『CanSatー超小型模擬人工衛星ー』、オーム社、2014.


舟坂:本格的ですね。CanSatの授業って大学でなかなかないですしね。だけど大学での実験の知識を活かせそうですね。
 

CanSatゼミの様子

FUSiONでの活動

 
舟坂:FUSiONでの活動はどのような形で行われているんですか?
 
塩田:自分がFUSiONに入ったのが今年の4月なんですけど、4月から能代宇宙イベントに向けて大体3ヶ月半くらい活動をした時は、電装、回路の設計、あとはパラシュート作ったりもしました。今は新たなメンバーを募集していて、また新しくやっていこうとしているんですけど。今月くらいからは、3月の種子島ロケットコンテスト出場に向けて活動させていただこうと思っていて。前回の能代の大会では割と系ごとに分かれて開発を行っていました。ですが今回は系横断的に活動できたらいいなと思っています。みんなCADを触れて、回路もある程度わかって、プログラミングもそれぞれちょっとずつ書けるみたいな状態を目指しています。
 
舟坂:なるほど!割と今までは専門ごとで分かれてやってたって感じでしたよね。そこをガラッと変えるんですね!
 
塩田:そうですね。元々のFUSiONのやり方なんですけど、前回の能代宇宙イベントの時は専門ごとで別れて活動をしていました。ですが、種子島ロケットコンテストではそういうことはやらないで、自分の将来の目標とも被るんですけど1人でもなんでも出来る状態を目指していて。だから例えば、CanSatでもある程度1人で全部作れるように。構造系の設計だけじゃなく、回路も組める。そういう自分を目指したいという目標があったので、今のFUSiONは割とそれができる場ですね。自分たちで行ってる団体なので、いい意味で方針も自由なんですよね。大学とかのサークルだと上からの引き継ぎがあるので、系横断的に活動するとめんどくさい部分はあるかと思うのですが、それが良い意味でないんです。なので、みんながやりたいこと出来る感じです。そういう環境でこれからも頑張りたいです。
 
舟坂:やっぱり、それぞれの人が専門を極めるということも良いことですけど、色んな知識を得た上でその中から一つの分野を専門として極めるという方が、学び方としてはいいなと思います。今の時代だと、宇宙分野でやっていくには、色んな分野を統合していくことが大事になってきそうですしね。
 
塩田:そうですね、視野が広がるという点では本当にそうで。どうしても宇宙界隈だけだと視野が偏っちゃうかなと。視野がもしかしたら狭くなっちゃうかなって思うので、いろんなことを知ってその上で将来のこと考えれたらいいなと。
 
舟坂:確かに。さっきの学科の話ですけど、量子物理工学に興味を持てたのも、他の分野に視野を広げたことによって行えたことですものね。色々知ってて、そこから何を極めるべきか見極める方が、やりやすいですよね。

FUSiONのミーティングでの様子

電子回路設計ゼミってどんなゼミ?


舟坂:電子回路設計ゼミではどういう内容を行っているんですか?
 
塩田:CanSatゼミとか宇宙工学入門ゼミは割と広く工学系の内容を学ぶ感じだったんですけど、電子回路設計ゼミは狭く深くという感じで、正直かなり難しい内容にはなっています。様々な素子を使ってどういった回路が作れるのかを勉強しています。基本的には、電子デバイスの色々な使い方や、それらがどういった構造をしているのか、どういう風に動いているのかといったことから、それらを使ってどういう回路を組めるのかといった内容まで、色々と勉強しています。色々な回路の組み立て方を学ぶんですけど、その回路が何に使われているかまではやっていません。
 

電子回路設計ゼミの様子

塩田君が刺激を受けたメンバー


舟坂:憧れの人や、刺激を特に受けた人がもしいれば教えて欲しいです。
 
塩田:自分の考え方として、仲良くしてくれている人のことはみんな尊敬しています。色んな「尊敬」があると思うんですけど、例えば、大学の友達だったら「カラオケで歌が上手い」とか。それだけでも「尊敬している」に入ると思うんですよ。それぞれ尊敬出来るところがあるので優劣は付けづらいですね。なので、仲良くしてくれている人のことはみんな尊敬してますし、憧れています。

塩田:その上で、敢えて尊敬してる人を挙げるとするなら、まず代表メンバーの阿部舞哉(あべまや)君ですね。阿部は本当に色々やっていて凄い!という尊敬です。何かしらの形で、エンジニアやビジネスの世界とかで、今後宇宙界隈に残っている人とはまさにあの子のことだと思います。彼は、一緒に頑張っている仲間でもあるし、今後もずっと応援したいと思っている人です。

塩田:2人目としては、加藤数麻(かとうかずま)君[7]です。彼はFUSiONの代表をやっていて、本当に色々なことを教えてくれたなと思っています。彼は彼で凄いところがあって。FUSiONってバリバリ工学系の活動を行う場所なんですけど、彼は理学部の人間なんですよね。大学で天文の勉強を主にやっている人でありながら、FUSiONの代表としての活動をやりこなしているわけです。それだけでなく、彼はASE-Lab.の運営にも携わり、更には他の団体でも宇宙教育の活動も熱心にやっているみたいで、本当に凄いなと。自分は自分のことで精一杯なので、他人のための宇宙教育にまで手を回せて、本人もすごく楽しそうにやってるので凄いです。自分にはない良いところを持っているなと。

[7]加藤数麻君には、第一回のインタビュー企画で取材を行いました!記事はコチラ!:https://note.com/ase_lab_/n/nb899b1739d39

塩田:そしてもう1人が、松浦星河(まつうらせいが)君です。彼が初めの方で話したエースラボに入るきっかけをくれた九州大学のメンバーです。彼自身一時期はプロジェクトを4つ掛け持ちしてたこともあって。全てエンジニア系の活動なんですけど、ハイブリットロケット、CanSat、スペースバルーン、そしてCubeSatの四つでしたね。マジで凄くて。FUSiONも彼が誘ってくれたんです。割と趣味も通づるところがあって、キャンプに一緒に行ったりとかもします。本当に凄いと思っているし、それこそ絶対エンジニアで宇宙開発にかかっていく人だなと思ってて。みんなはそんなに知らないかもしれないけど、本当に頑張ってる子で仲良くしてくれていて僕の中で一番応援したい人です。
 

キャンプをする塩田君。松浦君とは一緒にキャンプに行くほど仲が良いそうです。


舟坂:三人みんなに共通している点としては、それなりの覚悟を持って活動をされていることが非常に伝わってくる方々であるということですね。
 
塩田:そうですね。ゴリゴリに活動してる人ばかりですね。
 

塩田君の今後の目標


舟坂:今後、塩田君が行っていきたいことを教えてください
 
塩田:まず、ASE-Lab.での活動に関しては、運営じゃなくて参加者が活動をメインで回しているような団体になって欲しくて、なので僕は今後もゼミの主催は続けていきたいなと思ってます。やっぱり工学の人なので、工学系のゼミをやっていくことになるんだろうなと思うんですけど、常に一個何かしらのゼミを受け持っているのが理想かなと。もっと活動をしている人の割合が増えるように、参加者ながら僕も頑張っていきたいです。

塩田:また、個人として今後行っていきたいことについてですけど、さっきなんでも1人で出来るようになりたいという話をしたんですけど、それはもう今から行っていきたいなと思ってて。その一方で、種子島コンテストを終えてからの1年間、団体で活動することはあったんですけど、自分1人じゃ現状何もできないなとここ最近思っていて。自分1人で色々やってみるということをやってみたいなと。それがどういう形かはわからないけれど、例えば1人でロボットみたいなのを作るでも、色々な分野で活動してみるでも、なんなら学問とは関係ないですけどドライブで日本の色々なところを巡ってみるとかからでも良いかなと。色んな人とか物に触れて自分を深めるみたいなことを今は一番やりたいです
 
舟坂:もちろん、生きていく上では、みんなのそれぞれの良さを見て、お互いの良さを引き出し合いながら協力していくことは不可欠ですけど、やっぱり団体での活動が多いと自分自身は何が出来るのか見えなくなってしまいますよね。自分自身と向き合う時間が少なくなってしまうから、やっぱりそういう意味でも1人で何かをする時間を設けることは大事ですね。そういう時間を作れれば、また更に自信を持って団体でも活動していけますね
 
塩田:そうですね。1人で色々やりたいとは言っても、やっぱり団体の人たちには凄いお世話になったなと思っているので、恩返し出来るだけのスキルを持った人になりたいという意味もあるんです。尊敬される人になるには、何かしら強みがないといけないじゃないですか。人に尊敬されるくらい凄い人になりたいという気持ちがあります。あとは、自分が他の人には出来ないことを出来る人になりたいなと。例えば宇宙界隈でなら、敢えて一見宇宙とは関係ない分野から宇宙と関わったりとか。みんなに刺激を与えられる人になりたいです。今まで他の色んな人から刺激を受けたり色んなことを教わってきたので、今度は自分がやれる側になりたいです。
 
舟坂:自分の個性や自分の強みを育てること、とても大事ですものね。塩田君は、ASE-Lab.にいても、その環境を自分が成長するためにどう使えば良いのかをよく考えていらっしゃいますし、既に自分自身の成長に団体での活動を上手く繋げることができていてすごいなと思います。また、自分1人で色々出来るようになりたいという気持ちは、周りの人たちのことをとても尊敬し感謝しているからこその気持ちなんだなと。1人での活動も、団体での活動も、応援しています。本日はありがとうございました。

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団体ホームページ


取材・文:早稲田大学 先進理工学部 物理学科2年 舟坂柚香 
(広報部メンバー)

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